絶対城先輩の妖怪学講座 六 (メディアワークス文庫)

  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048693431

作品紹介・あらすじ

「『鬼』の正体は探るな」クラウス教授に忠告された絶対城だったが、妖怪学における鬼の正体、そして晃の死の真相を探るため、絶縁した家族と対峙することを決める。妖怪学最大の禁忌に迫る第6弾!

感想・レビュー・書評

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  • 「鬼とは即ち角を生やしてひとを食う原色の怪人であり、朝廷に服従しなかった勢力であり、邪悪で危険な気配であり、怪事件の正体や原因を明言できない際に使う符丁であり、そして妖怪全般を指す総称でもある」と絶対城先輩は宣う。鬼を研究する者たちを脅迫し、挙句は殺してしまう組織と対決する壮大な話かと思いきや、意外としょぼかったり。しかし、そこにのっぺらぼうが関わっていて意外な真相が明らかになる。お人好しで義理堅い湯ノ山彩音ちゃん、頑張ったよ。最後におっと思ったぜ。

  • 絶対城の思い出の女性晃さんと晃さんが追いかけていた「鬼」の話が一段落つきました。

    予想外の「鬼」の解釈、正体で楽しめました。
    相変わらず、明人や蒼空君と絡むところはほのぼのしていいですね。

    明人の鬼の考察で「記録を残したのが男の人だったから」とあります。よく戦いでは勝者が記録をするため真実かどうか怪しいなんてザラにあらますが、戦い以外の記録云々でもそのような見方もあるんだなあとスッキリしました。

  • シリーズ全体の謎であった「鬼」の回。鬼を妖怪といっていいのか、どうかは本当に難しい問題なのであくまでこれは「絶対城シリーズ」ならではの答えが出ましたね。

    意外な答えに納得するような、しないような……。
    ですが、鬼ということを知るには格好の入門書になってると思います。

  • 今回は鬼のまき。鬼の話はシリーズの最後まで絡むかと思ってたら、意外とあっさり解決。不穏な空気はつらいので私としては嬉しい。それにしても何だかんだで仲良いねぇふたり。

  • 【『鬼』を巡り絶縁した家族と対峙する絶対城! 待望のコミックス1巻も好評発売中!】
    「『鬼』の正体は探るな」。クラウス教授にそう忠告された絶対城だが、妖怪学における『鬼』の真相を探るため、節分の時期に行われる厄払いの儀礼「修正会の儀」に参加することになる。
     政財界の有力者が集まるパーティで、絶縁した家族と対峙した絶対城は、『鬼』の正体はこの国のタブーであったことを知る。さらに、幼い頃に絶対城の世話をしていた元執事の高岩と再会し、秘匿されていた櫻城晃の死の真相を告げられることに──。
     妖怪学最大の禁忌に、黒衣の妖怪博士絶対城が迫る! シリーズ緊迫の第6弾!

  • 【感想】
    河童のほうが手強かったね?

    【内容】
    ・方相氏、清姫、牛鬼、鬼、酒天童子。ついにビッグネーム、鬼との対決ってことかな。って、方相氏って妖怪やないやん? 表紙カバー絵で絶対城が持ってるのが方相氏の面やね。
    ・鬼について調べることにした絶対城だが鬼の範疇が広すぎていきなり行き詰まり打開のヒントがあるかもと気の進まないパーティーに出席することにした。
    ・チャラ男が依頼してきた妖怪は。
    ・鬼について調べるために牛鬼由来の場所に行く。夜のテントのなかで絶対城は礼音に彰の話をせがまれ「お前にだったら、心を覗かれてもかまわない」とか言う。けっこう口説き文句じゃん!!
    ・酒天童子システムとの対決。ガンダム・ユニコーン? 鬼、弱すぎ!!

    ▼文学部四号館四階四十四番資料室についての簡単なメモ(妖怪については基本作中の説明によるので一般的な説とは異なるかも?)

    【アイビー】東勢大学内の喫茶店。第一学生食堂より値段は高く量は少なく客層はおしゃれで華やか。
    【朝霧シアン】謎の少年。高校生くらい。頭脳明晰で運動神経も抜群。読んだ人はまず河童かもしれないと思うだろう。でも、河童はある意味創作された妖怪やし?
    【礼音/あやね】→湯ノ山礼音
    【いくち】第二巻に登場。
    【糸倉】大日本護法息滅会のメンバー。じつは・・・
    【今村】映画研究会の部員。
    【牛鬼】概ね危険な妖怪。伝わる地域によって姿かたちごバラバラでまとめにくい。水中の妖怪としては河童よりも古い。牛鬼と言えば宇和島あたりだがわりと広く分布していたらしい。
    【馬鬼】第一巻に登場。不慮の事故で死んだ馬の霊が妖怪化し不幸を招く。
    【映画研究会】専門はホラーとアクション、バイオレンス。高尚なアート系はシネマ同好会の領分。
    【遠藤】映画研究会の部長。
    【大柴】映画研究会の副部長? 茶髪で猿っぽい顔の人。
    【大百足】第二巻に登場。
    【大蛇】第二巻に登場。
    【鬼】牛のような角を生やし虎のパンツをはいているのはウシトラの方角すなわち北東、鬼門が不吉だからだそうだ。あのクラウス教授をして「鬼には手を出すな」と言わしめた恐ろしい存在のようだ。
    【織口乃理子】国文科准教授。28歳だが20歳そこそこにしか見えないお嬢様っぽい美女。大学創始者の一族だが今は没落。一時期敵対していたが、後に協力者(?)となる。

    【ガイラゴ】ぶよぶよした肉体の妖怪。第四巻に登場。漠然とした恐ろしい妖怪のひとつ。
    【香宇良山/かうらさん】かつてクラウス教授が謎の集団に脅迫された山。W県にある。
    【河童】超有名な水妖だが創作された妖怪に近い。鬼が古代、天狗が中世を代表する妖怪なのに対して河童は近世を代表する。発生当初から人間より弱い存在という設定らしいが櫻城紫さんの説では自然(特に水関係)に対する人間の感覚が江戸期には、畏れつつも最後には支配できるというふうに変わってきたからではないかとのこと。もともとあった河童的存在のイメージに人間があれやこれや付け加えた結果、今の姿になった。医療・薬学とも関わりが深い。
    【鎌鼬】第三巻に登場。有名妖怪。民間伝承系でしぶとく生き残っている。真空説はあり得ない。
    【川坊主】ぬめぬめした体表を持つ人型の妖怪。第四巻に登場。河童の亜種。人を見ると襲ってくる。エンドウ豆が苦手。
    【考える】知らなければ考えろ。 第二巻p.21
    【着ぐるみ】《男はな、着ぐるみに入ったら、女子に接触したくなる生き物なんだよ。これはもう自然の摂理だから仕方ない。》by大柴、第五巻p.91
    【杵松明人】理工学部の三年生。絶対城の友人にして協力者。すごく聞き上手で人あしらいがうまい。元演劇部。「ロマンとセンチメンタリズムは人生を彩る大事な要素だ」第四巻p.317。
    【木村茂吉】小久保荘の営繕担当。節足動物ラヴァー。
    【きよ】はるか昔の兵部家の当主で、河童と闘い腕を切り落とした。
    【京極夏彦さんとの違い】京極夏彦さんの作品とものごとを解決させる方向性は近いが、テイストは異なり、こっちはおどろおどろしい感じはほぼなくあっさりと軽くてドタバタしてる。コケオドシがないので好ましくはある。
    【清姫】安珍清姫の清姫。彼女も鬼の一種。
    【クラウス・インフォレスト】絶対城の師匠。紳士的にだが、美女はとりあえずナンパする。文学部四号館の正式な持ち主。フィールドワークが好み。密教系古武道の達人。正体は自称・・・。「声を荒げた時点であらゆる議論は終了となる」第三巻p.122。
    【光陰】罵王院光陰。大日本護法息滅会のトップ。自称「憑きもの」。昨年まで東勢大学工学部バイオ資源学科の大学院にいた。担当教授は真萱/まがや。今は退職。本名は番場尚敏。
    【コーポ・ネオ苗代】礼音が入居している集合住宅。大学から自転車で二十分。いろいろ不便な位置にあるので家賃はお手頃。
    【小久保日奈美】礼音の友人。今はひなびたしかし通好みの温泉宿小久保荘の若女将。
    【駒引川】櫻城紫の屋敷の近くを流れる川。河童が出る。なるほど、やからその名前か。最近開発計画が出ている。

    【三枝】東勢大学の学生。大日本護法息滅会に関心あり。
    【櫻城晃/さくらぎ・あきら】櫻城紫の妹。鬼について調べていた。亡くなっている。
    【櫻城紫/さくらぎ・ゆかり】非の打ち所のない美人。礼音は彼女にコンプレックスを抱く。絶対城いわく「同好の士」。大学と同じ市内のようだが人里離れた感じの深泥淵(みどろぶち)の傍らに建つ屋敷で暮らしている。茶道櫻城流宗家の令嬢にして櫻城流の家元でもある。河童専門のアマチュア研究家として絶対城も一目置く。
    【沢渡冬二郎/さわたり・とうじろう】櫻城さんちの庭師。
    【しかみ】恐ろしい顔をすることで鬼神に近づく。糸倉は自分たちを「しかみ衆」と読んだ。
    【七人みさき】第二巻にちょっと名前が出てくるけど、個人的には昔からあれがけっこう怖い。なんでかわからないけど。いつかメイン妖怪として出てくるだろうか? まあ、あれを妖怪と呼べるならやけど。
    【酒天童子】ビッグネーム。元々が妖怪なのか、鬼なのか、ゲリラ組織、テロ組織なのか、盗賊団なのか、ただの怖い人間なのか、あるいは正義の味方だが中央にとってはおもしろくなかった連中だったのかよくわからない。この話ではなんらかのシステムの頂点のようだ。体制とは別の視点で日本を守っているらしい。かつて体制に倒されたわりに体制と協力することもあるらしい。
    【城之内】映画研究会の女性部員。
    【白尾根】隣の市の小さな町。雪女が出る。
    【しろまくれ】第三巻に登場。はしてないけど名前は出た。それに例えたせいで礼音を怒らせた。
    【真怪】ほんとうの妖怪と分類されるもの。中には怪異を操る「技術としての真怪」というのもある。
    【真怪秘録】幻の本。物語の中心になっていると言える。絶対城が追っているものとも言える。
    【絶対城阿頼耶/ぜったいじょう・あらや】文学部四号館四十四番資料室に住まうワイシャツに黒の羽織で黒色の長身の怪人。妖怪に詳しい学生。バリトンボイス。スポーツは嫌いだがフィールドワークで山歩きには慣れている。改名しているらしく、その名の由来は井上円了の文章のようで、絶対城はあらゆる知識の集まる書庫のこと、阿頼耶は最も深い場所くらいの意。本名というか元の名前は不明。クラウスは知ってるようなので過去にあったらしい出来事のときに変えた可能性が高い。実家は政治家を輩出する家柄。
    【創作妖怪】絶対城は創作された妖怪にはそう大きな関心を示さないが、創作物であっても多くの人のイメージとしてあるのなら、脳内にいるのなら、いつかそれら多くのイメージがかたちをなすこともあるかもなあとか思う。AIM拡散力場みたいに。
    【蒼空/そら】小学五年生。礼音が通う市営スポーツセンター二階の柔剣道場で合気道を習う受講仲間。船幽霊を目撃してしまった。礼音のことをコーチと呼ぶ。

    【第一学生食堂】通称「いっしょく」。礼音御用達。
    【大日本護法息滅会】宗教団体。東勢大学から車で二時間半ほどの山間の朽縄町にあり、教祖の光陰は大学のOBで昨年まで理工学部の院にいたらしい。
    【高岩】とある若手政治家のボディーガード。
    【竹上行哉/たけがみ・ゆきや】依頼人。勘違いしたイタリア人またおに大袈裟で軽い人物。不特定多数の女性への愛に生きている。
    【立見菜月/たつみ・なつき】薬剤師。四十歳手前くらい。白尾根の温泉で出会った。天寺市の兵部製薬で働いていた。
    【多邇具久/たにぐく】蛙を神として敬うときの呼び名。特に知恵の神としての性格を強調するとき。農業国の日本では蛙が田の神とされることも多い。
    【憑きもの】第四巻に登場。大日本護法息滅会のトップ、光陰が使うとされる。飯綱使いとか管キツネなどのこと。光陰はトウビョウ(小蛇の集団)を使うらしい。持ち主の意思を反映して勝手に働いたりする。おおむねいい目にあっているヤツへの社会的制裁として「あいつは憑きもの」だとレッテルを貼る形らしい。「今日はついてる」と言ったりするのはこの憑きもののことなんだとか。
    【付喪神】第一巻に登場。長く使われた道具が変じた妖怪。
    【土蜘蛛】第一巻に登場。人を襲う蜘蛛妖怪。けっこう強力な妖怪として描かれることが多い。
    【手品】妖怪学と近い方向性を持つので絶対城はその手の資料も多く持っている。
    【天狗】第三巻に登場。超ビッグネーム。公的記録にも民間伝承にも現れ、歴史も長く、さまざまな様相で描かれる。絶対城先輩の暴くその正体は・・・
    【東勢大学】舞台となる私立大学。天寺市(てんじし)にある。古い施設を流用して創られており怪しい噂がいっぱい。
    【ドレス】礼音が絶対城をしばらく居候させた礼に買ってくれた。礼音いわく《あんな王室主催フラメンコ大会みたいな服》第四巻p.77。
    【泥田坊】第四巻に登場。メジャー妖怪だが鳥山石燕の創作なんだとか。当時の誰かを風刺したものらしいが昔からの伝承と創作妖怪を区別なく並べたために同列に扱われるようになった。ご近所に似たようなのが出没しているらしく小学生の間では「ドロドロ」と呼ばれている。

    【ナメラ筋】位置的な妖怪。超常的な存在が利用する道。ナメラとは一般的には蛇のことを今するらしい。
    【南郷蒼空/なんごう・そら】→蒼空
    【鵺】第三巻に登場。その正体は・・・
    【ぬらりひょん】第一巻に登場。頭が大きくて背丈の低い老人の姿の妖怪。「妖怪の総大将」的な言い方は後付けの設定だとか。
    【粘菌】南方熊楠で有名になった、かなりおもろい生物。第四巻の重要ファクター。
    【のっぺらぼう】メジャー妖怪。闇夜の象徴。意外なところで登場。この話の中では、相手の持っているイメージを利用して、幻覚で変身しているように見せる能力を持っている。

    【春田】市営スポーツセンターで合気道を教えている師範。
    【一つ目小僧】メジャー妖怪。第四巻に登場。絶対城は月を擬人化したのではないかと考えている。
    【判断】「それを決めるのは本人じゃないさ。判断するのはギャラリーだ」第二巻p.40
    【ひょうすべ】河童の仲間。古いタイプ。うん? ひょうすべと、いっこ下の兵部って音が近いな。神話伝説系では音には意味があることが多いのでたぶん関係あるんやろな。
    【兵部統子】天寺市市会議員。駒引川を開発しようとしている。兵部製薬の一族。駒引川開発は誰が考えても赤字になるので企業と議員の癒着は取沙汰されていない。他者に命令したりすること自体を好むタイプと織口先生は言う。男の権力者に多いタイプ。「若いチカラ活用プロジェクト」を推進している。
    【広人】そらくんの友人。合気道を習っている一人。
    【船幽霊】第二巻に登場。
    【ふれあい牧場】白尾根で雪女の話を聞いた寺の隣にかつてあった動物園と牧場の中間のような施設。動物虐待をしていたらしく、管理も甘く苦情が多かったからか夜逃げした。
    【べとべとさん】第一巻に登場。足音だけがついてくる追跡系の妖怪。あるフレーズを唱えることで去ってゆく。
    【方相氏】鬼を追い払ったりする。
    【星川】海洋生物学専門の小柄で童顔で気弱そうな女子学生。理工学部のバイオ資源学科四年生。船幽霊事件で関わった。見た目に反してイヤなことはテコでもやらない強さも持つ。いつか礼音のライバル? になるかも? 「恐竜とかマンモスとか、単体で強い生物って、意外とあっさり滅びますから……。弱くて小さくて小賢しい方が、結果的には有利なんですよ……?」

    【真萱鋭吉/まがや・えいきち】東勢大学で研究室を持っていた生物学者。粘菌が専門。憑きもの使いの血族らしく、その教え子がトップを務めている大日本護法息滅会と何らかの関わりがありそうな感じ。
    【間刈/まがり】市営スポーツセンターで剣道を教えている警官。厳格で短気な性格。
    【見越し】第二巻に登場。
    【水木しげる】民俗学的伝承のある妖怪と、鳥山石燕などの創作した妖怪を、おそらく意識的に混在させて紹介し、そのことで最近の妖怪観が決定づけられたと絶対城は言う。
    【海晴/みはる】蒼空(そら)の友人。小学六年生。市営スポーツセンターで剣道を習う美少女剣士。鎌鼬の被害に遭った。
    【目目連】いっぱい目がある妖怪。鳥山石燕の創作。
    【門】平安京の門、有名どころでは羅生門や朱雀門ではおにがよく出る。内と外を隔てる境界だからということだそうだ。ただあくまでも象徴なので門はあっても防壁とかはなかったらしい。

    【夜行さん】第二巻に登場。
    【山姥/やまうば】第三巻に登場。個人的には「やまんば」と呼んでいたが「やまうば」が正式? 絶対城によると民間で広まった伝承ゆえに鬼や天狗に較べより直接的な怖さがある。恐怖をもたらす者であると同時に善性を抱くこともある不可解な存在。
    【ユーレイ】絶対城は湯ノ山礼音をこう呼ぶ。
    【友香/ゆか】礼音と同じ学部の友人。
    【紫/ゆかり】→櫻城紫
    【雪女】ラフカディオ・ハーンの雪女が秀逸すぎてイメージが固まってしまったが、多くは出会った人間をいきなり殺す。いろんな話が混じりやすいタイプ。
    【湯ノ山礼音/ゆのやま・あやね】語り手。ヒロイン? 大学一年、経済学部。長身でツルペタ系の女性。たぶん、うまくすれば男装の麗人ふうになれると思う。絶対城先輩はユーレイと呼ぶ。とある妖怪の末裔らしくサンプルとも呼ぶ。能力を解放したら凄いんやけど普段は解放していたくはなく、そのためには絶対城先輩の作る(怪しい)アイテムが必要でほぼ下僕扱いされている。趣味と特技は合気道。蒼空くんいわく《コーチには女子のことは分かんないだろうけど》第六巻p.81
    【妖怪】個人的に考えているだけだが、妖怪は概ね、人間が主に自然(および自然現象)と折り合いをつけるため、そのズレを埋めるために発生したのかなと思っているので絶対城先輩のやり方は本来のありように合ってるんだろうと思う。
    【妖怪学】井上円了がつくった学問。その意図は妖怪という怪しい存在に理性の光を当て、そのバックボーン、背景に隠されたものを探ること。要するに妖怪なんていないと証明したかったってことかと。それは時として不都合なことを隠蔽してきた権力側にとってまずいことでもあり、それゆえに危険でもあった。
    【妖怪学の意義】礼音がいつか誰かの役に立つかもしれないと言って、ある程度絶対城先輩が納得したみたいなのが不思議。そんなもんとはちゃうでしょ? よっぽど弱ってたのかと思ったら、そうでもなかったみたいやし。ちょっとキャラがブレてたかな。
    【妖怪の分類】井上円了が提唱したらしい。生物などを見誤った「誤怪」、捏造された「偽怪」、自然現象などを超自然と思い込む「仮怪」(その中でさらに物理的実体に由来するものを「物怪」、心理的要因に由来するものを「心怪」)、そして「真怪」はほんとうの妖怪。

    【霊】妖怪は自然発生だが霊は人工的なもので深みが違うらしい。それは、ぼくもそう思ってる。
    【六条清香/ろくじょう・きよか】小学生。竹上の英会話教室に通っている女子グループの一員。蒼空くんいわく「ロードオブザリング」みたいなかっこいい名前のスポーツをやってたらしい。って、六巻第二章の答え、それだけでわかるやん。

    【わいら】第三巻に登場。名前と姿だけはいくらか流布しているがバックボーンを持たない妖怪。どうやら無名の絵師の創作かもしれない。
    【若いチカラ活用プロジェクト】兵部統子市会議員が推進している。大学生などの能力を地域振興に使おうというプロジェクト。織口先生は反対している。
    【笑い女】第三巻に名前のみ登場。

  • 「方相氏」
    古代中国の官職名。
    追儺の際に鬼を祓う鬼神を演じる役職の名前だが、本邦では鬼神そのものの名称として用いられる。
    こんな著名人ばかり集まるのに、入場の際に名簿確認とかなかったのだろうか。

    「清姫」
    道成寺説話として知られる物語に登場する紀州の姫。
    暴走した一途な思いは女を鬼に変えるもの、清姫の体はいつしか蛇身に変わっていた。
    一人でもリーダーの役割をしているつもりの人がいると、おとなしい子たちはどうしても飲み込まれてしまうものだよな…。

    「牛鬼」
    近畿以南のほぼ全域に伝わる妖怪。
    牛鬼に遭ったらこうなるという話は残っているが、具体的な容姿が全く描写されていない。
    あんな状態で計画も聞かされず寝たふりを続けるのは、とても怖いだろうな。

    「鬼」
    日本を代表する妖怪の一つ。
    平安時代、実在の場所に鬼が出たという記録は多いが、その出現場所は宮中ではなく橋や門といった境界線上に限定されている。
    いくら警告とはいえ、身体にではなく心に傷を負わせるやり方は気にくわないな。

    「酒天童子」
    絵巻物や読み物、芸能など、様々な媒体で伝わる鬼。
    鬼と金棒が切れない関係であるように、鉄鋼や製鉄は鬼と呼ばれた人々と古来から深いつながりを持つ。
    街全体でこの様な形をとり秘密を何年も守り続けるなど、本当に出来るのだろうか…。

    「のっぺらぼう」
    目、鼻、口がない、卵のような顔をした妖怪。
    のっぺらぼうの正体に驚きが隠せない。
    結局彼らに直接手を下すことは絶対に無かったということだろうか。

  • こちらも前作を読んでからかなり開いてしまった。また、借りて延長しては読めずに返してすぐ借りて、を、繰り返して、半年近くは積読になってたんちゃうかな。
    相変わらず図書館の本を積読にしてすいません。

    メディアワークス文庫にしてはわりと読み応えのあるシリーズやと思ってたけど、今回はまあ、一番面白かったな!!
    ちゅうかだんだん著者もはっちゃけてきたよね?
    もともと会話はリズムがよくてなんちゅうか小粋というか(?)、ボケやツッコミが
    「文章で書く面白さ」
    が、わかりやすくてうまい。つい引き込まれちゃう。

    基本礼音ちゃんのモノローグで構成されてるんやけど、ちょいちょい挟んでくる礼音ちゃんのツッコミ(もどき)がさりげなく、おしつけがましくない塩梅ですごいいい。

    こんな風に会話が書けたらいいなあ。
    著者は滋賀県在住とのことで、このおしつけがましくない程度のツッコミに非常に納得(なんとなく)。

    せやけど、冒頭でおでんに白滝を入れてるのは
    「へー」
    と、思ったのに、礼音ちゃんが食べてるのが
    「糸こんにゃく」
    やったので、どっちやねんとは思った。どっちでもいい? いやだって白滝と糸こんって違うんやろ?
    ちゅうか関西で白滝は見ないけども!


    さて、内容ですけれども、これまた前回同様
    「絶対城先輩可愛すぎやろ」
    ちゅう具合。ここまで総受けの人もなかなかいてはらへんやろ。
    ここのカップリングは絶対に礼音×絶対城先輩やんね。
    (えっ、左右がそれなの)

    著者はぽんと甘酸っぱいことを放り込んできはるから困るー!
    タイトルと(シリーズ)冒頭を読んだ限りでは、小野不由美氏のゴーストハントシリーズみたいに、絶対城先輩と礼音ちゃんの間になんらかのキュン要素があるんかしら、と、思ったんやけど、1冊も終わらんうちに

    「ああこれキュンはないな・・・(主に礼音に)」

    と、思ったのに、どうよこれ。巻数を重ねるごとに、絶対城先輩にキュン要素がどんどん増えてくるんですけど!
    ちょいちょいちょいちょい放り込まれる、絶対城先輩の礼音ちゃんへの距離感は、これは額面通り受け取っていいんよね?

    例えばパーティに向けてドレスアップした礼音ちゃんに対して「気恥ずかしそうに見る」とかいうのは、単に普段見られないおしゃれな礼音ちゃんにキュンキュンしちゃってるってことでいいんよね、妖怪学徒!!

    それにしても、
    「お前になら心を覗かれてもかまわない」
    っていうのは、究極のプロポーズとちゃいますか。

    礼音ちゃんの鈍ぶりにも、ほどがあるわ! 笑


    でもその礼音ちゃんがめちゃくちゃ可愛いんよねー・・・。けなげっていうか、ピュアっていうか・・・。
    今回はのっぺらぼうのせいで心理的に追い込まれるけど、それでも
    「気にしない自分」
    を、演じる姿は絶対城先輩でなくても、無理せんでも、ってこう、きゅっとしてあげたくなるっちゅうか。

    たしょうのことなら前向きにふっきれる礼音ちゃんも、さすがに「悲観のスパイラル」にはまりそうになってたね・・・。
    このあたりはすごいかわいそうやったなあ。この後どうなるんやろうとちょっと心配したけど、結果的には何事もなく終われてよかった。

    ひつこいけど、周囲からの陰口や悪意ってある程度はスルーする必要があり、また現在の私はここ数か月その状態に立っているんやけど、さっぱり気質の礼音ちゃんならどう対応するのかな、と、思ったのよね。
    きっと
    「すごいさっぱりしてるねー・・・」
    と、苦笑したくなるほどなのかと思ったら、真逆!!

    礼音ちゃんですら悲観のスパイラルに入るとは。いや、入りそうになるのに必死で抵抗していたから、やっぱり礼音ちゃんは礼音ちゃんだ。すてきだ。そら、惚れるわ!!

    ちゅうかこのへん、しかみ衆の仕業かと思わせといて、実動はのっぺらぼうよね。
    ほんで、のっぺらぼうの正体は晃やったよね。
    てことは、晃、ひどいよね? ^^;

    冷静に考えると晃の捨て台詞にほだされてる場合ちゃうやろ、礼音ちゃん! 人がいいにもほどがあるわ。
    そののっぺらぼうが礼音ちゃんに対して辛辣な評価をしても(見た目に関しては)
    そのくらい誰でも思うよ
    と、むしろ友香ちゃんに同情してるんやから、ほんまに、この子は・・・。


    ほんで、第一部のくぎりというだけあって、妖怪学としての内容も相当面白かった。
    著者はあとがきでいつも「フィクションです」と、繰り返すけれど、このシリーズを読むとこういう事実なのだと思いそうになる。
    平安時代のことなんてほんまに何も知らんので(・・・)これを機にちょっとでもかかわってみたいな。


    今回の鬼退治のくだりなんか、結構ホラーやったよ?
    日本人は単一民族国家やから、
    「実はルーツが〇〇」
    と、具体的に示されるだけで、結構ホラーよね。

    源頼光の鬼退治の話は私でも知ってる有名どころなので、今回はより、妖怪という存在が身近に感じられた。
    「神様の御用人」を読んでいても思うけど、記紀のころって、
    「自分とは違う士族集団」
    や、よくわからない集団に対しての呼び方というかまとめ方を、鬼や妖怪にしちゃうんやから、なんか、すごいな。
    勝てば官軍というか・・・。残虐を正当化しているというか・・・。
    争いが起きるとそういう決着をつけねばならんのはなんとなく理解できなくもないけど、なんちゅうか、争いがあるということは必ず負けるほうがあり、滅びるものにも歴史と生活があったということかな。

    見方角度を変えれば違う物語があるのよね。きれいごとならフィクションですむけど、実際はねえ・・・。

    そのあたりを踏まえても、「絶対城シリーズで鬼をテーマにするならこうだよな」と、いう今回の鬼の話は

    「えっ、ちゅうことは、自分の祖先は鬼?」
    「しかも、鬼であってもいいかもしれない??」

    と、読みながらどよどよとなった(ひとりで)。ほんまに、ほんまにこのくだりは面白かった!!

    酒呑童子の正体は
    「えっ・・・」
    ってなったけども(笑)。

    著者はよく子どもを書くね。妖怪ネタに子どもは必須なんかな。ほんで、伏線は一文字たりとも逃さず回収するのも素敵。
    これだけのボリュームで、伏線も張り、アクションもし、妖怪うんちくも入れ、絶対城先輩のキュンも放り込む・・・。
    ほんま、お得すぎる1冊やわー。

    今回こそ続きを早く読もう(と、どのシリーズでもいうけど、結局間が開く・・・)。
    そしてこのシリーズは完結してるのかと思ってたら、まだ続いてる感じ?
    今月の新刊リストでシリーズ九冊目(やったかな)があったのが意外やった。

    京都の橋姫の縁切り伝説についてはもうちょっと詳しく知りたい。

    ポジティブと言えば今回は竹上さんやんね。
    間違いを指摘してほしいというのはともかく、その理由は
    「次に生かすから」
    と、いうのがとてもいい。文字にするとわかりやすいな、確かにそうやわ。
    誤りを指摘してもらってすることは後悔ではなく、繰り返さないことやもんな。前向き素敵ー!


    ■■■■

    ■携行

    [名](スル)身につけて持って行くこと。「旅行に携行する品」「昼食携行で参加する」


    ■発勁 はつけい

    中国武術に於ける力の発し方のこと。決して不可思議な力などではなく、「気」とはまた別の力を指す。多く武術の深奥とされ、身に着けるためには中国武術をしっかりと学ばなければ意味がない。


    ■蒼空


    ■訝る いぶか・る

    1 疑わしく思う。怪しく思う。「不審な挙動を―・る」「機械がたてる異音を―・る」
    2 はっきりしないので気がかりである。心もとなく思う。「目標の達成を―・る」


    ■眼窩

    眼球の入っているくぼみ。


    (2017.02.18)

  • 想定外のキャラが…!
    そして先輩の本名でないのね。

  • 第一部完結編ということで、いろいろな謎が解けたりふたりの関係性に変化があったりと、なかなか面白かったです。
    まぁ北森鴻さんみたいにはいかないよね…とかなんとか、でもこういう流れも好きです。
    幽霊の正体見たり枯れ尾花、的なものの腰砕けタイプ。

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著者プロフィール

小説家。2008年に『ほうかご百物語』でデビュー。著作に『少年泉鏡花の明治奇談録』『金沢古妖具屋くらがり堂』『今昔ばけもの奇譚』『ゲゲゲの鬼太郎(TVアニメ第6期ノベライズ)』など。予言獣を扱った作品に『ほうかご百物語8』、『絶対城先輩の妖怪学講座 十』(いずれもKADOKAWA)、『アマビエを探しに』(『文芸ラジオ』8号)などがある。
○推し予言獣は「左立領」。中に二人くらい入っていそうなデザインが着ぐるみ怪獣愛好家としてはたまりません。

「2023年 『予言獣大図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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