死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • アスキーメディアワークス
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本棚登録 : 834
レビュー : 112
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048700566

作品紹介・あらすじ

「永遠の命を持った生徒がいるらしいんですよ」生物教師・伊藤が着任した女子校「私立藤凰学院」にはそんな噂があった。話半分に聞いていた伊藤だったが、後日学校にて、ある女生徒から声をかけられる。自分がその「死なない生徒」だと言ってはばからない彼女だったが、程なく彼女は何者かの手によって殺害されてしまう-。果たして「不死」の意味とは?そして犯人の目的は!?第16回電撃小説大賞"メディアワークス文庫賞"受賞者・野崎まどが放つ、独創的ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • ライトノベルである、あるいはこのレーベルから出版される事自体が『信頼できない語り手』としての効果を発揮しているのが面白い。

    『死なない生徒』であるという一人の女生徒が何者かによって殺された。幼稚園から高校まで一貫教育の私立の女子校。新任の生物教師、伊藤は不死の生徒の伝説を信じない。しかし、少しずつ不思議な出来事に巻き込まれていき、しだいに半信半疑となっていく。

    虚構と現実、冗談とシリアスの狭間を行ったり来たりしながら物語は進んでいく。二人の探偵役の立ち位置と役割の入れ替わりも巧妙だ。そしてこの事件の犯人像にはゾッとした。本当に解明すべきことはいったい何なのか。この作者はライトノベルであることを最大限に利用した確信犯なのだろう。

    ラストのサプライズはちょっと蛇足かとも思ったが、そう考えればキャラクター造形にも納得がいく。読み返してみればそれを示唆する部分もいくつかあり、構成も巧かった。

  • 【読了】野崎まど「死なない生徒殺人事件 識別組子とさまよえる不死」 今月15冊目

    野崎まどを最初に読んだのは、彼の4作目である「小説家の作り方」という本で、本棚に差さっていたのを運命的に発見したのだけれども、すっかり魅せられてしまって、以来、見つけては買うようにしている。

    この「死なない生徒殺人事件」は3作目にあたる作品である。とあるマンモス女子校に赴任した生物教師が「永遠の命を持った生徒がいるらしいんですよ」という話を耳にするところから物語は始まる。

    野崎まどの魅力は、その軽妙な文体、そしてキャラ造形の巧みさであろう。全ての作品が単体ものであるにもかかわらず、キャラが登場した時点で、既にどういうキャラクターなのか読みとることができるのだ。それはいかにも属性的なキャラクターだからというわけではなく、文字だけの表現であるのに、あたかもビジュアルが浮かび上がってくるかのような表現の巧さによるものである。

    また作品の要となる部分のアイディア、ここも野崎の魅力の1つである。いや、最大の魅力というべきか。本作においても実に刺激的なアイディアをもとにしたストーリーが展開されており、読み終わった後もしばし、そのアイディアについて思考を重ねたくなってしまう。

    そのアイディアの方向性はは若干の荒唐無稽さがあるものの、科学的にあるかもと思わせる絶妙のラインをついてくる。そのバランス感こそが野崎まどという人に夢中になってしまった最大の理由である。

    またアイディアだけでなく、きちんと撒かれた伏線が最後に回収されるのも見事。きとんと書ききれるだけの技術があるのも素晴らしいし、ストーリーにあった量感で書けているのも素晴らしい。

    野崎まど、オススメである。

  • 氏の著作は、むしろ諦めてジャンルの跨ぎ方で語ろう。今作、ミステリーだと思っていたらサスペンスホラーだった。現実的ではない不思議が存在するのは読了作と同様で、どんでん返しの入り方も同様。で、きちんと面白い。これらの構成は、大まかにパターン化されているような感はあるのだが、同じものでは無い。もしや読者は、作者の実験に付き合わされているのではないだろうか、とまで思ってしまう。内容的には、永遠の命という概念的なものを、女子高を通じ、軽妙な会話を通じて、ある種コミカルに描いている。

  • 初めは、難しくてよく分かりませんでした。
    でも、意味が分かったら面白かったです!

  • 新任教師が不死の命を持つという女生徒の殺人事件の謎に挑む小説。

    野崎さんの作品を読むごとに主人公の語り口と、主人公と周りのキャラのかけあいがどんどんつぼにはまってきています(笑)今回は様々なタイプのボケ役が登場したのでにやにやしながら読みました。

    作中に示される生命の定義は、学校で生物を習った時の感覚が呼び起こされ懐かしく、不死の定義の発想も面白いです。

    ミステリーとしては設定が特殊なので、その設定を生かしたところもあり、また思わぬ展開もあり楽しみの多い作品でした。

    ページ数を増やしロジックの部分や、容疑者をもっと増やしたらさらに面白くなりそうな気はするのですが、メディアワークス文庫というレーベルを考えるとこのくらいのボリュームがいいところでもあるので何とも微妙なところ。

    不死の生徒が三角形と四角形の間の図形を描く記述があるのですが、これはぜひ死ぬまでに見たいです(笑)

  • 生物教諭の伊藤が着任した女子高には「永遠の命」を持つ生徒がいるという噂があった。ある日、自分こそがその「死なない生徒」だと主張する生徒が殺害されて…。ミステリ的な仕掛けはシンプルなものながら、その巧妙な見せ方によって、ラストの一捻りが効果的なものになっている。傑作!!

  • ちょっと異質な推理小説。
    不死だと自己紹介した側から殺害される識別組子。
    その矛盾の殺人事件もさることながら、
    「不死の人間」という、どうやっても有り得ない謎に、
    最後には、"納得"の理路整然とした答えと"迷宮"を提供する作品。
    純粋に面白かった。おすすめ。

  •  ずっと読みたいと思っていたの、やっと読めましたー。
     永遠の命を持っているとか、SFとかファンタジーの混じった話かと思ったんですけど、いや、そういう要素もあったんですが、謎解きはちゃんと論理的にされてました。
     おもしろかったし、生徒のキャラがみんな好き。

  • 『教えること、教わること』

    脳をくすぐられるような気がする。必ずある、でも知覚できないなにか。その輪郭をなぞる。感覚はない。

    中国語では感じて連想することをということを『覺得』と書く。人が言葉にできない、感覚や想いや気持ちを感じることができる器官が人間には備わっている。使えてないだけだ。ラーニングを繰り返した脳の器官がどうなってしまうのか、その輪郭を朧げに垣間見ることはできる。と思う。

  • 今回も野崎まどの見事な伏線、作品を司る魅力的なテーマ、印象に残るキャラクター達にどっぷりハマりました。

    主人公同様に不思議な世界に入り込み、「えっ?どういうこと」と疑問を投げかけられ、回答を探る。

    本当にアッという間にエンディングを迎えました。

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著者プロフィール

2009年『[映]アムリタ』で、『メディアワークス文庫賞』の最初の受賞者となりデビュー。2013年に刊行された『know』(ハヤカワ文庫JA)は第34回日本SF大賞や、大学読書人大賞にノミネートされた。その他の作品に『2』(メディアワークス文庫)、『野崎まど劇場』(電撃文庫)などがある。

「2018年 『正解するカド(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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