死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • アスキーメディアワークス
3.59
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本棚登録 : 976
感想 : 122
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048700566

作品紹介・あらすじ

「永遠の命を持った生徒がいるらしいんですよ」生物教師・伊藤が着任した女子校「私立藤凰学院」にはそんな噂があった。話半分に聞いていた伊藤だったが、後日学校にて、ある女生徒から声をかけられる。自分がその「死なない生徒」だと言ってはばからない彼女だったが、程なく彼女は何者かの手によって殺害されてしまう-。果たして「不死」の意味とは?そして犯人の目的は!?第16回電撃小説大賞"メディアワークス文庫賞"受賞者・野崎まどが放つ、独創的ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 【永遠の命】
    どの時代でも人間が追い求めるテーマにある一定の結論を出したのではなぃだろうか?
    「教えてる事」「教わる事」そして本書にはなぃが「追体験」が揃った時 本当に【永遠の意識】が完成するんでしょうね。

    こんなん 難しいテーマをテンポ良く軽快に表現出来る 野崎まど 天才やな……

  • ライトノベルである、あるいはこのレーベルから出版される事自体が『信頼できない語り手』としての効果を発揮しているのが面白い。

    『死なない生徒』であるという一人の女生徒が何者かによって殺された。幼稚園から高校まで一貫教育の私立の女子校。新任の生物教師、伊藤は不死の生徒の伝説を信じない。しかし、少しずつ不思議な出来事に巻き込まれていき、しだいに半信半疑となっていく。

    虚構と現実、冗談とシリアスの狭間を行ったり来たりしながら物語は進んでいく。二人の探偵役の立ち位置と役割の入れ替わりも巧妙だ。そしてこの事件の犯人像にはゾッとした。本当に解明すべきことはいったい何なのか。この作者はライトノベルであることを最大限に利用した確信犯なのだろう。

    ラストのサプライズはちょっと蛇足かとも思ったが、そう考えればキャラクター造形にも納得がいく。読み返してみればそれを示唆する部分もいくつかあり、構成も巧かった。

  • シリーズを連続して読んでいます。
    よくこんなにバラエティーに富んだストーリーを次から次へと思いつくなぁ、と感心する次第でです。次が楽しみですが、なぜ読む順番が大事なのか、いまもって全然わかりません(ちゃんと読む順番を守ってよんでますが、わからないです)。

  • 【読了】野崎まど「死なない生徒殺人事件 識別組子とさまよえる不死」 今月15冊目

    野崎まどを最初に読んだのは、彼の4作目である「小説家の作り方」という本で、本棚に差さっていたのを運命的に発見したのだけれども、すっかり魅せられてしまって、以来、見つけては買うようにしている。

    この「死なない生徒殺人事件」は3作目にあたる作品である。とあるマンモス女子校に赴任した生物教師が「永遠の命を持った生徒がいるらしいんですよ」という話を耳にするところから物語は始まる。

    野崎まどの魅力は、その軽妙な文体、そしてキャラ造形の巧みさであろう。全ての作品が単体ものであるにもかかわらず、キャラが登場した時点で、既にどういうキャラクターなのか読みとることができるのだ。それはいかにも属性的なキャラクターだからというわけではなく、文字だけの表現であるのに、あたかもビジュアルが浮かび上がってくるかのような表現の巧さによるものである。

    また作品の要となる部分のアイディア、ここも野崎の魅力の1つである。いや、最大の魅力というべきか。本作においても実に刺激的なアイディアをもとにしたストーリーが展開されており、読み終わった後もしばし、そのアイディアについて思考を重ねたくなってしまう。

    そのアイディアの方向性はは若干の荒唐無稽さがあるものの、科学的にあるかもと思わせる絶妙のラインをついてくる。そのバランス感こそが野崎まどという人に夢中になってしまった最大の理由である。

    またアイディアだけでなく、きちんと撒かれた伏線が最後に回収されるのも見事。きとんと書ききれるだけの技術があるのも素晴らしいし、ストーリーにあった量感で書けているのも素晴らしい。

    野崎まど、オススメである。

  • 永遠の命の正体は、意識の共有。しかも共有の方法が「教え合う」というアナログな方法。それも凄いな。たまちゃんは、本当に永遠の命=不死って事なんだよね?
    野崎まどは、大体オカルトではなく説明が出来る現象のネタバラシ、後に超常的な現象ってパターンだよね。なんだかんだで、楽しく最後まで読んじゃうけどw

    「三角形と四角形の間の図形」
    「四角形と五角形の間の図形」
    概念すごw

  • 氏の著作は、むしろ諦めてジャンルの跨ぎ方で語ろう。今作、ミステリーだと思っていたらサスペンスホラーだった。現実的ではない不思議が存在するのは読了作と同様で、どんでん返しの入り方も同様。で、きちんと面白い。これらの構成は、大まかにパターン化されているような感はあるのだが、同じものでは無い。もしや読者は、作者の実験に付き合わされているのではないだろうか、とまで思ってしまう。内容的には、永遠の命という概念的なものを、女子高を通じ、軽妙な会話を通じて、ある種コミカルに描いている。

  • 初めは、難しくてよく分かりませんでした。
    でも、意味が分かったら面白かったです!

  • 新任教師が不死の命を持つという女生徒の殺人事件の謎に挑む小説。

    野崎さんの作品を読むごとに主人公の語り口と、主人公と周りのキャラのかけあいがどんどんつぼにはまってきています(笑)今回は様々なタイプのボケ役が登場したのでにやにやしながら読みました。

    作中に示される生命の定義は、学校で生物を習った時の感覚が呼び起こされ懐かしく、不死の定義の発想も面白いです。

    ミステリーとしては設定が特殊なので、その設定を生かしたところもあり、また思わぬ展開もあり楽しみの多い作品でした。

    ページ数を増やしロジックの部分や、容疑者をもっと増やしたらさらに面白くなりそうな気はするのですが、メディアワークス文庫というレーベルを考えるとこのくらいのボリュームがいいところでもあるので何とも微妙なところ。

    不死の生徒が三角形と四角形の間の図形を描く記述があるのですが、これはぜひ死ぬまでに見たいです(笑)

  • 生物教諭の伊藤が着任した女子高には「永遠の命」を持つ生徒がいるという噂があった。ある日、自分こそがその「死なない生徒」だと主張する生徒が殺害されて…。ミステリ的な仕掛けはシンプルなものながら、その巧妙な見せ方によって、ラストの一捻りが効果的なものになっている。傑作!!

  • 野崎まどの 当レーベルでの3作目で、
    2023年に読んでる今としてはシリーズ?と言う感じではありますが、
    当時はそういうことはないと思われる。
    永遠の命を持つという生徒がいるという噂がある女子校・藤凰学園に
    再就職した伊藤先生に待ち受ける運命?出来事とは何なのか。

    ジャンルが良くわからない状態で読み終えました。
    タイトルに殺人事件と書いているのでミステリーやサスペンスだと
    思っても、死なない生徒というのも気になるところで、
    死なないのにサスペンス?ってなるし、よみがえりとかなら、
    ホラー?ファンタジー?SF?ってなるしで、結果的に複合的な作品
    ってことで、野崎まどワールドってことになるのかな(笑)。
    読み終わる直前の流れが謎を含んで理解が十分じゃないので、
    6作目の「2」という作品への布石として、あと2作を読み、
    「2」を読むことで、何かしらの謎が解けることと期待したい。

    ちなみに、この作品およびレーベルは、ライトノベルではなく、
    ライト文芸ですので、勘違いしてる人がいたら、覚えてください。

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著者プロフィール

【野崎まど(のざき・まど)】
2009年『[映] アムリタ』で、「メディアワークス文庫賞」の最初の受賞者となりデビュー。 2013年に刊行された『know』(早川書房)は第34回日本SF大賞や、大学読書人大賞にノミネートされた。2017年テレビアニメーション『正解するカド』でシリーズ構成と脚本を、また2019年公開の劇場アニメーション『HELLO WORLD』でも脚本を務める。講談社タイガより刊行されている「バビロン」シリーズ(2020年現在、シリーズ3巻まで刊行中)は、2019年よりアニメが放送された。文芸界要注目の作家。

「2023年 『タイタン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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