死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~ (メディアワークス文庫 の 1-3)
- アスキー・メディアワークス (2010年10月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048700566
作品紹介・あらすじ
「永遠の命を持った生徒がいるらしいんですよ」生物教師・伊藤が着任した女子校「私立藤凰学院」にはそんな噂があった。話半分に聞いていた伊藤だったが、後日学校にて、ある女生徒から声をかけられる。自分がその「死なない生徒」だと言ってはばからない彼女だったが、程なく彼女は何者かの手によって殺害されてしまう-。果たして「不死」の意味とは?そして犯人の目的は!?第16回電撃小説大賞"メディアワークス文庫賞"受賞者・野崎まどが放つ、独創的ミステリ。
感想・レビュー・書評
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永遠と命。相反する矛盾の言葉が紡ぐ奇跡の物語。実に興味深い世界観だった。私も永く生きたいものだ。
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SF好きで昔読んでた作家
大人になったのかオチが読めてしまって残念 -
ライトノベルである、あるいはこのレーベルから出版される事自体が『信頼できない語り手』としての効果を発揮しているのが面白い。
『死なない生徒』であるという一人の女生徒が何者かによって殺された。幼稚園から高校まで一貫教育の私立の女子校。新任の生物教師、伊藤は不死の生徒の伝説を信じない。しかし、少しずつ不思議な出来事に巻き込まれていき、しだいに半信半疑となっていく。
虚構と現実、冗談とシリアスの狭間を行ったり来たりしながら物語は進んでいく。二人の探偵役の立ち位置と役割の入れ替わりも巧妙だ。そしてこの事件の犯人像にはゾッとした。本当に解明すべきことはいったい何なのか。この作者はライトノベルであることを最大限に利用した確信犯なのだろう。
ラストのサプライズはちょっと蛇足かとも思ったが、そう考えればキャラクター造形にも納得がいく。読み返してみればそれを示唆する部分もいくつかあり、構成も巧かった。 -
シリーズを連続して読んでいます。
よくこんなにバラエティーに富んだストーリーを次から次へと思いつくなぁ、と感心する次第でです。次が楽しみですが、なぜ読む順番が大事なのか、いまもって全然わかりません(ちゃんと読む順番を守ってよんでますが、わからないです)。 -
【読了】野崎まど「死なない生徒殺人事件 識別組子とさまよえる不死」 今月15冊目
野崎まどを最初に読んだのは、彼の4作目である「小説家の作り方」という本で、本棚に差さっていたのを運命的に発見したのだけれども、すっかり魅せられてしまって、以来、見つけては買うようにしている。
この「死なない生徒殺人事件」は3作目にあたる作品である。とあるマンモス女子校に赴任した生物教師が「永遠の命を持った生徒がいるらしいんですよ」という話を耳にするところから物語は始まる。
野崎まどの魅力は、その軽妙な文体、そしてキャラ造形の巧みさであろう。全ての作品が単体ものであるにもかかわらず、キャラが登場した時点で、既にどういうキャラクターなのか読みとることができるのだ。それはいかにも属性的なキャラクターだからというわけではなく、文字だけの表現であるのに、あたかもビジュアルが浮かび上がってくるかのような表現の巧さによるものである。
また作品の要となる部分のアイディア、ここも野崎の魅力の1つである。いや、最大の魅力というべきか。本作においても実に刺激的なアイディアをもとにしたストーリーが展開されており、読み終わった後もしばし、そのアイディアについて思考を重ねたくなってしまう。
そのアイディアの方向性はは若干の荒唐無稽さがあるものの、科学的にあるかもと思わせる絶妙のラインをついてくる。そのバランス感こそが野崎まどという人に夢中になってしまった最大の理由である。
またアイディアだけでなく、きちんと撒かれた伏線が最後に回収されるのも見事。きとんと書ききれるだけの技術があるのも素晴らしいし、ストーリーにあった量感で書けているのも素晴らしい。
野崎まど、オススメである。 -
新任教師が伝統ある学校で聞いた永遠の命を持った生徒がいるという噂。
そんな生徒と友達になりたいという女生徒と話している時に声をかけてきたのは、
噂の永遠の命を持つ生徒だった……というお話。
設定だけで凄いワクワクする、とても野崎まどっぽい。
永遠の命。つまり不死というのはありえないと誰もが思う。
ただ定義の問題とも言える。そしてこのお話には実際に永遠の命が出てくる。
出てくるが……これがフェアとも言えるしアンフェアとも言える。
自分は凄く良かった。嘘もついてないし理論上今の科学でも可能だから。
現実的な謎が超常的なトリックで解かれない限り、
超常現象は存在しても物語に齟齬は起きない。
火を使う超能力者がいて事件を起こしても、制約があり証拠があり
事件を解決出来れば問題ない。ぼんやりとした例えだけれど、
この本はそういう話だと思う。
永遠の命なんてあるのか? ないよな? あるかも……。
あった! いやないのかよ あんの!? という感情をコロコロ変えながら、
付属的に発生した殺人事件を解き明かす。
変化球というか、ファンタジーミステリが好きならおすすめです。 -
ちょっと異質な推理小説。
不死だと自己紹介した側から殺害される識別組子。
その矛盾の殺人事件もさることながら、
「不死の人間」という、どうやっても有り得ない謎に、
最後には、"納得"の理路整然とした答えと"迷宮"を提供する作品。
純粋に面白かった。おすすめ。 -
ずっと読みたいと思っていたの、やっと読めましたー。
永遠の命を持っているとか、SFとかファンタジーの混じった話かと思ったんですけど、いや、そういう要素もあったんですが、謎解きはちゃんと論理的にされてました。
おもしろかったし、生徒のキャラがみんな好き。