毒吐姫と星の石 (電撃文庫)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
4.12
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本棚登録 : 1897
感想 : 194
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048700580

感想・レビュー・書評

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  • 真面目な王子の王族としての責務・使命感と、孤独で聡明な姫のプライド・依存心のぶつかり合うさまを描いた話。だと思う。
    まっとうな恋愛ではないのにどう見てもふたりは恋しているようにしか見えなくて、「どんな相手でもよかった」なんて独白に釈然としないものを感じつつも面白い。前作に引き続き童話ならではな都合のいい展開もありつつ(でもあの場面でミミズクが出てきて良かった!)、素直に感動できるいいお話。
    というのが最終章まで読み終えての感想で。すごいのはエピローグ。
    「あんたは!! 頭がよくても!! 女心がなにひとつわかんないクソ男よ!!」
    このエルザの一言とその後の会話にものすごく安心した!
    ふたりともそれぞれに恋心より優先したいものがあったんだな。一歩踏み出したその先で素直に恋をできますように。

    個人的には前作の「ミミズクと夜の王」の方が圧倒されたのだけど、こちらもとてもよいお話でした。あとがきで触れられていた「鳥籠巫女と聖剣の騎士」も読みたいです。

  • 読んで良かった。起承転結がハッキリしてるし、泣いたー。

  • 「ミミズクと夜の王」の続編です。
    前作同様、おとぎ話のような優しい雰囲気でとても好き!
    (そしてカバーイラストも同じ磯野さん*^^*)

    幼い頃、下町に捨てられたエルザ姫。
    貧しく汚い暮らし。毒を吐く事でしかその日を生きられなかった少女。
    しかしある日突然、再び王宮に迎えられる事になる。
    他国の王子に嫁ぐという、国の道具にされるために。

    呪われた王子クローディアス。
    彼の優しさが、真摯な態度が、凛とした強さが本当に素敵だった。
    最初の晩餐で、犬のようにがっつくエルザを見ても微笑む王子!
    見かけは弱っちくても、相当に剛胆な王子に違いない(笑)

    アン・デュークやオリエッタも再登場し、前作ファンとしては嬉しい限り。
    でも、フクロウの存在感が一番大きいのは何故…羽だけなのに…

    また「ミミズク~」を読み直したくなりました♪

  • (No.12-79) 「ミミズクと夜の王」の続編です。

    内容紹介を、表紙裏から転載します。
    『全知の天に運命を委ねる占の国ヴィオン。生まれながらにして毒と呪いの言葉を吐き、下町に生きる姫がいた。星と神の巡りにおいて少女は城に呼び戻され、隣国に嫁げと強いられる。
    「薄汚い占者どもめ。地獄に落ちろ!」
    姫君は唯一の武器である声を奪われた。
    星の石ひとつ抱き、絶望とともに少女は向かう。魔物のはびこる夜の森。そのほど近くの聖剣の国レッドアークに。
    少女を迎えたのは、夜の王に祝福を受けた、異形の手足を持つ王子だった。

    「ミミズクと夜の王」の続編、登場。』

    今回の主役はミミズクではなく、ミミズクと夜の王のおかげで動く手足を得たクローディアス王子に嫁いできた隣国のエルザです。

    ヴィオンの占がどのくらい真実を言い当てるのか、よく分からない。もしかして実際には何もないかもしれないのですが、為政者や国民がその占を信じていることで、その国が成り立っているという現実があるわけで。
    占いに振り回され、生まれた国を心から憎んでいたエルザが、王子だがずっと動く手足を持っていなかったクローディアスに癒され変わっていきます。

    これもまた真っ直ぐな物語でした。表紙も前回と同じ方の絵で素敵!
    お伽噺の真昼姫になったミミズクの笑顔に会えたのも良かったです。

    デビュー作が出版されてから続編が出るまで3年空いてます。それを続けて読めたので、あとから気がついて読むのも悪いことじゃないなって思いました。

  • 「ミミズクと夜の王」の続編となる本作もすごく王道なファンタジーだが、その中身は優しく暖かな物語に仕上がっていた。

    主人公であるエルザがそれまでの生を乗り越える過程を描いているが、対比として前作にも登場するディアの本作での生き方がその印象を強くさせている。それを含め、前作を読んでいるとより楽しめる部分も多い。

    しかし、前作を知らずに読んでも話に破綻はほとんど感じられない。そういった意味でもよくできた一冊だと思う。

    ファンタジーとはいえドンパチがあるわけではないが、ファンタジーが好きな方にはぜひオススメしたい。

  • 童話を現実としているような世界。夜の王の力のおかげで四肢を動かせるクローディアスことレッドアークの王子ディア、彼の覚悟と不器用な純真さが毒吐姫の心を融かす。サクサクっと読めるけれど、内容はなかなか心に響き切ない。

  • 「ミミズクと夜の王」の続きの話。
     まさか続きが出るとは思ってもみなかったので、とても驚きました。

     そして、尊いと思う本ほど、大事に保存したがりな私なので、大事に大事に保存しすぎて、読むのが今に至ってしまった。

     物語は、占により捨てられ、占により隣国へ嫁ぐことになった、呪いを吐く「毒吐姫」の話。
     彼女が嫁ぐ先がディア。(ミミズク読んだことのある人が読めばいい)

     国に振り回された彼女はなにものも信じず、すべてに毒を吐くことで自分の居場所を得ていたため、押し付けられた状況の変化をうまく受け入れられずにいた。
     嫁いだ先にいたのは、与えられた道を自分の道として受け入れた人たちで――

     という話でした。
     今回のお話は、すべてを奪われた少女が、自分で自分の道を選ぶ話。
     いつも女の子の強い話を書く先生だけど、今回強かったのは、一山超えたディア。
     彼はゆるぎなく、王となる道を進んでいて、とても頼りがいのある男に育っていて、もはや親のような気分で、「嬉しい」ってなった。
     そうかーそうかー、ディアが結婚かあ……みたいな。

     そういうわけで、ゆるぎなくなったディアの元に嫁いできたのは、世の中全てを憎悪する姫だったけれど、それもまたいいじゃないかと思える素晴らしいラストでした。
     きっとディアはいい王様になりますね。

     ディアのお話が読みたい方にはオススメします。
     私は、聖騎士様と聖剣の乙女の話も読みたいな……(もごもご)

  • みんなのその後を読むことが出来て幸せ。
    そして、ディアもエルザもこれから
    どんどん幸せになって欲しい。

  • タイトルの星の石とは、姫の持つ石のことでもあるのだろうけれど。王子の瞳も指すのかな。

  • ミミズクより先に読んでしまいましたが楽しく読めました。

著者プロフィール

1984年、石川県金沢市出身。金沢大学文学部卒業。『ミミズクと夜の王』で第13回電撃小説大賞・大賞を受賞し、デビュー。その後も、逆境を跳ね返し、我がものとしていく少女たちを描き、強固な支持を得ている。

「2022年 『雪蟷螂 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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