生き残るメディア 死ぬメディア 出版・映像ビジネスのゆくえ (アスキー新書 173)

  • アスキー・メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048702294

感想・レビュー・書評

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  • メディアと電子化を考えるための良書。筆者は業界経験、ジャーナリスト、アカデミックの3つの目を持っており、特にフレームワークや事実引用を重視するアカデミックな思考方法が類書にないバランスを本書に与えている。
    例えば本書中でアナベル・ガワー『プラットフォーム・リーダシップ』が引用されているように「統合化・モジュール化」が今後の重要なポイントであることが確認できたのが評者にとって大きな収穫。

  • 955年代、テレビが登場して間もないころは、テレビは映画よりも
    ずっと低い地位のメディアだった。当時、わが子がテレビ局に就職
    すると聞いた親は、なぜ映画会社やラジオ局に就職しないのか責め
    たという

    ハードの優劣ではなく、プラットフォームを制する者が商取引を制
    する状況がいよいよ本格化した

    一冊丸ごとの購入だけでなく、章や節といった単位での購入も可能
    になるのだ。これは書籍を文脈に沿ってインデックス化し、検索可
    能にするだけで容易に実現する。かつてiTunesはアルバム単位では
    なく楽曲単位での購入を可能にしたことで、音楽の聴き方そのもの
    を変えてしまった。それと同じ状況が書籍の世界にもやってこよう
    としているのだ

    “本が売れなくて潰れた出版社”なんて聞いたことがない(「文化
    通信」編集長 星野渉氏)

    ピーク時には9億4000万冊を超えていますが、これは全国民が1年
    間に10冊近く本を買っていたということ

    書店はここ数年、ショッピングセンターへの出店が過熱していたの
    ですが、2009年は一転、その動きが止まりました

    2004年から2008年までは増床が減床を上回ってきたのですが、2009
    年にはこれが逆転した

    日販をはじめとする取次が、「配本規制」を始めています。これに
    よって、出版社はこれまでのように大量に新刊を流通させて売上げ
    を確保するということが、難しくなるのです

    世界の書籍のうち、20%がパブリックドメイン、70%が絶版と言わ
    れています。つまり残りの10%しか出版社は流通させていない

    ◆電子書籍の三原則
    1.所有感があり同期されること
    2.検索・引用可能であること
    3.ソーシャルな読み方ができること

    「何十万冊に及ぶライブラリー」というのも魅力のひとつだとは思
    いますが、私たちの強みはそこじゃないと感じているんです。「こ
    こはラノベのこと、わかってるな」と言ってもらえる場所作りを目
    指したいなと(角川コンテンツゲート 安本洋一常務取締役)

    これだけ視聴者のライフスタイルも多様化してくると、気分を推し
    量ることも難しいでしょうね。夜だからゆっくりしたいという人ば
    かりじゃなくて、夜からますます盛り上がってくる人もいる。だか
    ら時間帯というより、チャンネルがあるテーマで統一されて編成さ
    れていくという方向になっていくほうが、お客さんにとってもいい
    と思いますよ。いずれにしても、オンデマンドばかりでは、新たな
    発見がなくなってしまう(ドワンゴ 夏野剛氏)

  • 2010/1/20読了。とりあえず前半の電子書籍に関する章だけ読んだ。
    帯に「ぶっちゃけ儲かるの?」とあるが、あまりに浅ましすぎないか。このコピーが表すとおり、本書はメディア論ではなくビジネスレポートだった。しかも刊行されて一ヶ月しか経っていないのに、もうところどころ内容が古くなっている。業界の流れの速さが痛感される。

  • アスキーHPより。

    電子書籍とか、動画配信とか、ぶっちゃけ儲かるの?
    丹精こめて作り上げたコンテンツもネットに乗れば限りなく価格がゼロに近づき、利益を挙げられない。メディア転換期の今、新しい製作・流通体制に取り組む先駆者にそのメカニズムを聞き、今後行きぬく道筋を示す。

    まつもとあつし
    ネットベンチャー、出版社、広告代理店等を経て、現在、東京大学大学院情報学環修士課程在籍。デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士。広告代理店在籍時に文化庁メディア芸術祭特別賞および東京インタラクティブ・アド・アワード銅賞受賞。ネットコミュニティやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、IT方面の取材やコラム執筆、ゲーム・映像コンテンツのプロデュース活動と支援を行なっている。著書に『できるポケット+iPhoneでGoogle活用術』(インプレスジャパン)など。

    購入済・未読

  • 電子書籍のオピニオンリーダーを丁寧に取材によりフォローしている。2010年12月現在の、取り巻く環境がニュートラルに理解できる。
    インタビューも丁寧に行っている。

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著者プロフィール

フリージャーナリスト・コンテンツプロデューサー。ASCII.JP・ITmedia・ダ・ヴィンチ・毎日新聞経済プレミアなどに寄稿、連載を行う。著書に『知的生産の技術とセンス』(マイナビ/@mehoriとの共著)『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)など。東京大学大学院博士課程で、電子書籍をはじめとしたデジタルコンテンツや出版プラットフォームやメディアの学際研究を進める。法政大学社会学部兼任講師・デジタルハリウッド大学院DCM修士。http://atsushi-matsumoto.jp/

「2015年 『凡庸な作家のサバイバル戦略──結局どうすりゃ売れるのさ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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