歴史に裏切られた武士 平清盛 (アスキー新書 200)
- アスキー・メディアワークス (2011年9月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048705820
作品紹介・あらすじ
信長の400年前、龍馬から700年前に、海の向こうに夢を馳せた平清盛。武士棟梁家の嫡流として生まれ、貴族社会が揺らぐ混迷の平安末期を駆け抜け、初めて武家政治の時代を築いた変革者でもあった。そんな清盛がなぜ長い間日本史上で「驕る独裁者」「悪逆非道な人物」とされてきたのか?歴史に裏切られた武士の実像に迫る。
感想・レビュー・書評
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中世の扉を開いた平清盛の再評価。
何故時代を切り開いた彼が「悪人」と呼ばれたか、一つ一つ例を挙げてわかりやすく検証している。
ユニークな権力者であった例として、彼の女性活用が挙げられており、面白い。なるほど、以降の武家社会では模範とし辛いわけだ。
なお、筆者上杉和彦は昨年早逝。
中世ブームともいえる今、彼の新たな所論に触れることが敵わないのは本当に残念。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「最近の研究で明らかになっている」のって、歴史学では「新しい史料が見つかった」のか、「それっぽい新しい解釈が出てきた」のか、どっちなんだろう?
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昨今の通説ではあるが、院政から平家政権にかけてが中世のはじまり。清盛は鎌倉幕府に先んじる武家政権を築いた。もちろん藤原摂関家のやり方をまねる公家的な面もあった。清盛が悪人というイメージがあるが、藤原氏と源氏の視点からみれば悪人であり、それが連綿と受け継がれたのだろうか。確かに鹿ケ谷の陰謀以降は乱暴な面があったが、仕方のない部分もあった。
本書は清盛の生涯、政治姿勢、平家の財力、武家政権としての平家、悪人としての清盛、後世の評価など分かりやすくまとめられている。 -
平清盛の歴史的意義の変化を、事績、源頼朝との比較、伝承、後世の史書での像で提示している。大河ドラマで清盛について興味を持った人向け。
山川の高校日本史教科書では平家政権を既に「中世のはじめ」として扱ってるんだなあ。