- Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048727006
感想・レビュー・書評
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題名の「変身」のごとく、バイオリン一筋で生きてきた瑞恵の再生と旅立ちの物語。
篠田氏37歳の時の作品。単行本としては4冊目。主人公は32才の設定。登場人物はバイオリン作者とパトロン以外は皆若い。全体に(職業)人生はじまったばかりの人が織りなす、元気な空気を感じた。こちらが老いたのですかねえ。でも楽器商の柄沢にも再生の結末を用意してほしかったなあ。小説中の人物の生殺与奪の権は作家にありですか。
ダイヤモンドの広告塔として見染められた美貌の瑞恵。ちょっと川井郁子を連想してしまった。でも川井氏は芸大ですもんね。美人の設定だけの連想です。
その道に進もうとする人がバイオリンを買う時は、ああいうものなのか。
篠田節子は「絹の変容」以外は全部読んだと思っていたが、2,3読みのこしがあったのがわかった。
1992.9.10初版 1997.8.5再版 図書館詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ほんの些細なことをきっかけにして、転落していく様がリアルに描かれていると思います。最初は主人公のプライドの高さ故の言動に反感を覚えましたが、全てを失っても音楽に賭ける情熱だけは持ち続けているところに、つい応援したくなりました。幼少の頃から音楽の事だけを考えてきた人の生き方を見たような気がします。
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転機を迎えた女性の感情の機微や音楽家としてやっていくことの厳しさや苦悩を繊細で生々しく描いている。名前にとらわれて音を見失う、きらびやかなイミテーションのままで終わるのか否か。一気に読みました。40、50になって、本当の音を奏でられるようになったらいい。