- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048727440
感想・レビュー・書評
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これはなんとゆう本に巡り合ってしまったのか奇跡の1冊でした。
10代の頃推してた佐野元春と、最近のマイブームの読書で密かに敬愛している小川洋子がコラボしてる。
近頃は図書館に行く前に蔵書をネットで確認して棚の位置をメモして行きますがこれは閉架になっていた。つまり地下の書庫に大切に保管されている本で借りるには受付の人に申請するため会話する必要があるのだ。
普段なら高すぎるハードルでしたが通い慣れた図書館なのでなんの躊躇いもなくスマートに借りることができました。図書館レベル2に進化したと、レベルアップの効果音が脳内に響く。
表紙から目次にめくってみるとな・な・なんとぉおお!
元春の曲のタイトルがそのまま10の短編になってるぅう。
しかも歌詞がまんま載ってて。
私はすべてそらで歌えたりするのが誇らしかった。
これ、もしかして元春の曲からのインスピレーションで短編を描いたってことなのかっ流石は小川洋子、ぬしもファンだったのかあって身悶えしました。
「アンジェリーナ」君が忘れた靴
勿論ニューヨークから流れてきたバレリーナですけど、地下鉄のホームのベンチで彼女のトウシューズを拾った主人公。左のシューズの内側にアンジェリーナと刺繍されていて、落し主を探すために新聞に広告を載せる。「アンジェリーナ、君の靴を預かっています。連絡を乞う」とか。駅員に落とし物で届ければいいのに、うはぁなんともキザ、花輪くんが浮かんできた。
半袖のブラウスにフレアスカートで現れた彼女に紅茶を勧める花輪くん、(あっもうそんなイメージで観てましたっw)
ティーカップを掴む仕草さえ彼女の身体の線が研ぎ澄まされた完璧な美しさを放っていた。袖からのぞく細くて白い腕は弱々しさはなくハッキリと指の先まで意志のみなぎった線を描いて美味しそうに紅茶を飲んでいたとか。
流石の表現にあどけなさの中に眠る一流のバレリーナの所作をイメージさせる。
チビまる子ちゃんで言えば城ヶ崎さんのイメージでほぼ決定っw
「バルセロナの夜」光が導く物語
失業を機に図書館通いを始めた彼女、スペインの棚の前ですれ違いざまに肘があたった彼、そのスペースは誰にも気づかれずに図書館を見渡せる場所だった。
彼から猫のペーパーウエイトを手渡されて半年後にまた会う約束を交わす。11日目の夜に猫の青い目に導かれ突然小説を書き出す彼女。猫のペーパーウエイトを覗き込んでるうちに2ヶ月かけて書き上げたのが「バルセロナの夜」とゆう小説。それは、失語症だった図書館の女性司書がスペイン語の教師と恋に落ちた物語、彼女が言葉を増やしていくにつれ、彼の脳に発生した腫瘍は大きくなり、彼の死によって2人の恋は終わるという物語。
ペンネームで投稿した原稿がベストセラーになって、図書館にも納められる。
2人だけの秘密が書かれた本を読みながら涙する女性司書。
彼はどこかで生きているんだとつぶやく。
ううう、彼女は猫に憑依され自動書記してたのかあぁぁ
このままだとすべてネタバレしてしまうので自粛しますっw
てか、インスピレーション凄すぎて想像を超えてしまってる小川洋子さんのイメージは並な頭では思いつかない。
ここまで翔ぶとかさすがです。
月刊カドカワの企画で毎月1曲からイメージ受けて書いた10の短編をまとめた1冊。1993年だから30年まえの本。
出発間際のサンドイッチスタンド、彼女はデリケートなベジタリアン。
カシミヤのマフラーにイタリヤのシャツ着て夜を超えたあの頃。心の扉をノックするサウンドにいくつもの川を越えた。
辿り着くと見覚えのある川が横たわっている。
車のクラクションとか夜のサキソフォンとかあの頃は騒がしい夜を過ごしたなあっw、クレージー・プリティ・フランミンゴ、飼ってる人がいるなんて、チョコも食べるとか笑えました。
アンジェリーナで幕を開けた80年代はそうゆう時代だった。電話もスマホじゃないし、ウォークマンとか。
ふと懐かしく思ったり。元春どうしてるんだろう。カナリヤは歌っているだろうか?
ずいぶん暫くぶりに見た彼はシルバーヘアーのダンディな叔父さんになってたけどっw詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2冊目の読書ノート 1993/9/5~2005/4/30に記載
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小川さんの不思議な世界は出ているけれど,
原曲の世界があるという制約の中では,
私には物足りない感じがした。
佐野さん自体は世代的に聴いている音楽だけど,
やはり思い入れとかも大事なのかな。 -
2008/11/24
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佐野元春の10曲にインスパイアされた短編10作品を集めた1冊。
作家が物語を作っていくときに「エネルギー」としたものを表には見せないのが普通だが、今回は「この曲を聴いて作りました」的な構成。
「バルセロナの夜」という作品は、死者と死者のかつての恋人と私のからみで、直接話せばいいことを「わたし」を通すまどろっこしさがあるものの、そこが「わたし」のドラマであるわけで、純文学的に考えると、なぜ「わたし」でなければいけなかったか。その疑問が作品を膨らませてくれます。 -
駅構内で、電車が来ないから買った本。
小川洋子さん、表紙が綺麗なピンクのバラだったから
惹かれて買った。
きっと佐野元春さんの曲を知ってたら
もっと楽しめたと思う。
少し
詩に惑わされた。
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駅のベンチで拾ったピンクのトウシューズに恋した僕―「アンジェリーナ」
佐野元春の代表曲にのせて、小川洋子が心の震えを奏でて生まれた、美しい10の恋物語。 -
感化されました
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短編集。佐野元春はしらないけど、小川洋子テイストがたくさん詰まったお得な一冊です。
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佐野元春の歌を題材にして書き上げられた小川洋子の短編集。解説を江國香織がしていた・・・というのもありつい買ってしまう。
さて、私は佐野元春の歌をきちんと聞いたことはないので、掲載されている歌詞でしかイメージはつかむことはできないが、小川洋子らしい静かな雰囲気の中で進む話たち。
歌を知らなくても十分楽しめるが、歌を知ったらまた別のイメージを描くことができて倍楽しいと思う。