落下する夕方

著者 :
  • KADOKAWA
3.49
  • (67)
  • (81)
  • (230)
  • (12)
  • (5)
本棚登録 : 799
感想 : 93
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048729482

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 時々華子に会いたくなって読み返す

  • 同棲していた男が別れ話を切り出すところから物語がはじまり、男に出ていかれた女性のところに、彼が好きになった女性が転がりこんでくる。ありえない状況なのに、だんだん受け入れて彼女を気に入ってしまう主人公。はじまりから終わりまで、つめたい床に裸足で立っているような心細さがある。

  • 江國香織さんの世界観満載で、また好きな作品になった。

    華子が死んだ。
    その時思った。
    江國さんの作品に出てくる、美しくて儚い女性たちは、
    今までに沢山出てきたけど、
    死に至らなかったのが不思議だったぐらい。
    言い方は変だけど、華子が自殺したときに、
    なんだかしっくり来たのだ。
    でも、いくら小説の中でも華子が自殺したことはとても衝撃だった。
    その後の、梨果ちゃんの心情がなんだかリアルで、
    大きく泣き喚くわけでもなく、
    いないはずの華子をまだ感じたり、
    そんか梨果ちゃんを見て、
    こうやって、死の事実を受け止めるのは時間に任せるしかないのかなぁと思った。

    華子の行動は、波瀾万丈な気がするが、
    周りが、華子に病にかかったかのように疲労困憊するほど惹かれる。
    健吾も勝也さんも中島さんも、、、

    華子は梨果ちゃんに少し、なんだか期待してたのかなぁ?と思う、、、
    あんな風変わりな性格なわりに、、、
    なんだかんだ、梨果と華子ちゃんは相性が良かったよ。

    華子が弟の惣一、そうくんのことを最後

    「愛してるわ。すごく愛してる」
    きゃしゃな体に不つりあいなほどの感情をこめて、華子は言った。
    シーンがとても美しかったです。
    その時にはもうすぐ自分は死ぬことが心にあったのかなぁと思った。

    華子に振り回されたようだが、
    なんだかんだ華子のおかげで、それぞれまっさらになったことがあったんじゃないのかなぁと思った。

    華子って、本当に美しく。儚い人なんだろうなぁ

    江國香織さんのあとがきがまた大好きだった。

  • またしても三角関係。気持ちの悪い惰性と執着の愛情。花子の現実から浮いた清々しい性格。花子の人間味のない体と性質は人をひきつけてしまう。彼女は言った、ゲームオーバーまで逃げるのだと。「ゲームオーバー」が訪れた彼女はそれでも人間味を感じさせない。いてもいなくても浮いている、微笑を残してどこかにいってしまうような人になりたいな、という理想そのままの人が花子だと思った。

  • 自分の中にある感情、情景と共鳴して、すっと、身体を通り越して心に浸透していくような物語。

    別れ話をした後の何気無い言葉が「勝手にとげとげしく響いて驚いた」り、「1ミリグラムの誤差もなく、正しい重量をもった『おかえりなさい』に胸がいっぱいになった」り、感じてはいるけれど言語化できなかった部分を言葉にしてくれていて、自分の中に居場所ができた気がして嬉しかった。

  • 相関図にしてみたら、恐ろしいほどドロドロしてるはずなのに、江國さんが書くと、まったくそうならない不思議さ。
    そこが大好きです。

  • 静かな本だった。
    それでいて、なんだか今日の私にぴったりとくる本だった。

    また違う日に読んでいたら、評価も変わっていたかもしれない。

    それでも、今日はこの本を買おうと思った。

  • 終盤、自分が落下する体験。

  • 女性目線の恋愛小説。
    恋すると怠惰になっちゃう!そんな女性心をワシヅカミにする一冊。ちょっと変わった友情模様も、泣けます。

  • 初めはタイトル、雰囲気に惹かれ何気なく手にした本。
    この本が私が読んだ江國さんの初めての本で、本当に良かったと今でも思っています。
    この本と出逢ったあの頃の地元の駅ビル、その二階のほの暗い書店、あの空気、本の手触り、重さ
    匂うように鮮明に思い出せます。
    本が私を待っていてくれた、そんな気さえするのです。
    帯の映画公開告知
    どんなに胸踊らせたことか…
    胸にずっと抱いていたい、そんな大切な大切な本となりました。
    以降、古書店でこの文庫版が棚に並んでいるのを見かける度に、訳もなく連れて帰ってあげたい衝動にかられ、気付けば支払いを済ませて安堵感に包まれる
    結果、家の本棚にはまるで瓜二つの姉妹のように仲良く並ぶ「落下する夕方」、それを微笑ましく眺める私
    これから先、こういう思いを抱けるものに、一体いくつ出逢えるのでしょう。
    少なくとも、あれから10年以上経った今…私自身色々と環境が様変わりはしましたが、この本のような特別な思いを抱けるほどのものにはまだ出逢えていないような気がします。
    幸せです。

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江國香織の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
安達千夏
江國 香織
江國香織
江國香織
よしもと ばなな
川上 弘美
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×