落下する夕方

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 799
感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048729482

作品紹介・あらすじ

愛しきれない、憎みきれない。押しかけてきたおかしな女の魅力に取りつかれ始める、亡霊のような私-。死、癒し、永遠の日常を清新なまなざしで追う、恋愛小説の新しい波。

感想・レビュー・書評

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  • 健吾との失恋を認めたくなくて、彼と暮らしていた家で、彼と過ごした空気を逃さないようにしている梨果。
    その空気をかきまぜてだんだんと現実を中和させていく華子。
    そしてその華子が、自由奔放で小さくて子どもみたいな華子が自殺する。
    華子の空気から逃げたくない2人。現実に向き合える日は、そのきっかけは、やっぱり人なのだということ。
    何気ない人との関わりが、私たちを生かして前に進ませてくれるのだということに気が付いた。

  • 時々華子に会いたくなって読み返す

  • 同棲していた男が別れ話を切り出すところから物語がはじまり、男に出ていかれた女性のところに、彼が好きになった女性が転がりこんでくる。ありえない状況なのに、だんだん受け入れて彼女を気に入ってしまう主人公。はじまりから終わりまで、つめたい床に裸足で立っているような心細さがある。

  • 八年間一緒に暮らした彼と別れ入れ違いに押しかけて来たのは、別れるきっかけになった彼の想い人・華子。おかしな華子との同居生活で私はおかしな魅力に取りつかれはじめる。
    自由で子どもみたいで孤独で。誰も華子のことはわからない。最後も華子は自由に行ってしまったんだな。

  • 感想
    ファムファタールの救済。触れ合う人はみな惹かれてしまう。死によって周りから断絶される。一瞬の悲しみを呼ぶが安息がやってくる。

  • 男の人はみんな華子のことが好き。
    というのが、なんとなくわかる。ふわふわとして掴み所がない。女でも、好きになるよなぁ…。
    でも、健吾の良さが私にはわからない。というか、華子を好きで、でも華子には相手をされてない、という状況でも、まだ好きでい続ける、というのは、う〜ん。

    ちょっと最後はショックでした…。そうなる?と言う感じでした。

  • 不思議な感じ。
    華子の存在がどこにもとどまらない、そしていなくなってしまう。

  • 江國香織さんの世界観満載で、また好きな作品になった。

    華子が死んだ。
    その時思った。
    江國さんの作品に出てくる、美しくて儚い女性たちは、
    今までに沢山出てきたけど、
    死に至らなかったのが不思議だったぐらい。
    言い方は変だけど、華子が自殺したときに、
    なんだかしっくり来たのだ。
    でも、いくら小説の中でも華子が自殺したことはとても衝撃だった。
    その後の、梨果ちゃんの心情がなんだかリアルで、
    大きく泣き喚くわけでもなく、
    いないはずの華子をまだ感じたり、
    そんか梨果ちゃんを見て、
    こうやって、死の事実を受け止めるのは時間に任せるしかないのかなぁと思った。

    華子の行動は、波瀾万丈な気がするが、
    周りが、華子に病にかかったかのように疲労困憊するほど惹かれる。
    健吾も勝也さんも中島さんも、、、

    華子は梨果ちゃんに少し、なんだか期待してたのかなぁ?と思う、、、
    あんな風変わりな性格なわりに、、、
    なんだかんだ、梨果と華子ちゃんは相性が良かったよ。

    華子が弟の惣一、そうくんのことを最後

    「愛してるわ。すごく愛してる」
    きゃしゃな体に不つりあいなほどの感情をこめて、華子は言った。
    シーンがとても美しかったです。
    その時にはもうすぐ自分は死ぬことが心にあったのかなぁと思った。

    華子に振り回されたようだが、
    なんだかんだ華子のおかげで、それぞれまっさらになったことがあったんじゃないのかなぁと思った。

    華子って、本当に美しく。儚い人なんだろうなぁ

    江國香織さんのあとがきがまた大好きだった。

  • またしても三角関係。気持ちの悪い惰性と執着の愛情。花子の現実から浮いた清々しい性格。花子の人間味のない体と性質は人をひきつけてしまう。彼女は言った、ゲームオーバーまで逃げるのだと。「ゲームオーバー」が訪れた彼女はそれでも人間味を感じさせない。いてもいなくても浮いている、微笑を残してどこかにいってしまうような人になりたいな、という理想そのままの人が花子だと思った。

  • 江國ワールドに初めて出会った小説☆
    …1番好きだったかも…

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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