恋愛中毒

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 800
レビュー : 112
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048731409

作品紹介・あらすじ

冴えない事務員とばかり思っていた20近くも年上の女に恋のトラブルを解決してもらった僕は、同じ日の夜、その女とほの暗い店の橙色の明かりの下で酒を飲んだ。昼間のもめ事についてくどくど詮索されることを恐れていると、女は放心したように、ほつりほつりと語りはじめた-。僕はすい込まれるように聞き入る、永くせつない彼女の恋の話に。都市の人々のこころを謳うストーリーテラー山本文緒、渾身の恋愛文学770枚誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 山本文緒の長篇作品は初めて。
    短篇はふつうーという印象だったんですが、
    これは読み終わって時間が経つほどに、余韻に浸れた作品でした。
    久しぶりにいい!と思った現代小説だったかも。

    最初のうちは、良くも悪くも普通の作品だと思っていました。
    読み進めていくうちに恋愛に溺れていく恐ろしさを感じました。

    小説って自分の中に少なからずある部分が肥大化し、それがモンスターのように見えていればいるほど面白いなあとか思っちゃいました。


    だめな男に溺れたり、
    本当の愛を掴もう掴もうとするとすり抜けていく感覚。

    恋愛以外に強い自分を持てないのかも。
    そして本当の愛を掴めない人間はその心地を勘違いしてしまい失うのかもしれない

    そんなことをこの作品を読みながら感じました。
    よかったです。

  • これから先の人生、他人を愛しすぎない様に。愛しすぎて、相手も自分も雁字搦めにしないように。他人を愛すくらいなら、自分自身を愛するように。諦めると決めた事をちゃんと綺麗に諦める様に。

    初めは束縛の強い彼女から逃げて来た25歳の彼が主人公だと思っていたが、主役は意外にも40代半ばのパート事務員。少しずつ小出しに過去の封じ込めた物狂おしい思いと過去を振り返る。

    どうすれば、好きになった男を自分だけのものにしておけるか。あの手この手で見えない様に雁字搦めに絡め取っていくが、初めは重宝がられるものの、最後は手酷く退けられる。前の恋愛で学んだはずが、以前よりも巧妙に細工する方にシフトし、当初の狙いから逆に逸れて行く。

    主人公以外の女性には作家以外の関心ごとや彼氏がいる。それはひとえに作家に執着しない為。主人公も意図せず携帯の電源を切っていると作家が舞い込んできている。恋愛本にも追いかけるな、追いかけさせろとクドクド書いてあるが、いざ渦中に立つとそんな無関心になれない所が切実。少しでも他の誰かより繋がっていたい。手を離すと切れてしまいそうで不安。そんな女性が多いのではないか?と感じる本だった。

  • 主人公の性格に一貫性がない様な気がしたけどこんなものなのかなぁ。

  • なかなかしんどい作品でした。
    単なるメンヘラ女の戯言とも捉えられる。
    女性の書く恋愛小説ってなんだろう、こう気持ち悪い、ムカムカする。
    男を捉え違えているような気さえしてしまう。
    水無月さんは、逆にピュアなだけに苦しかったと思う。どうしてうまくいかないんだろう。

    林真理子さんの解説がとてもよかった。


    2017.8.16追記

    水無月さんは狂ってなんかない。少し容量が足りないだけなんだ。あの生い立ちや家庭環境だから仕方ないとは思えない。あれらの奇行は、水無月さんの単なる甘えからくるものだ。ああいう女を救いたいとは思えない。もちろん、ああなってしまうのは十分すぎるほどわかる。でもやっぱり私とは違う。
    女として男に対して絶対に服従してはならない、納得してはならない部分があって、それさえも明け渡してしまったら、その時にはあなたはその男の前であなたでなくとも成り立つことを自ら証明することになるんだ。
    それは「恋愛中毒」ではない。単なる中二病だ。バランスが悪いなあ、水無月さん。
    やり方がわからないんだろう。荻原あたりが教えてくれればいいのだが。

    ‪認めたくはないが、女にしかわからないようなものなのかもしれない、この恋愛小説の気持ち悪さの正体は。
    理解はできる。しかし、いくらでも抜け出す道はある。それでも流されちゃうのは、単にその人のことをちゃんと愛していないからだ。好きなら好き、嫌なら嫌、と自分が自分のことをわかっていないことが問題。‬

    山田詠美さんの恋愛小説や、太宰治の『斜陽』なんかと比べてみるか。

  • あからさまなタイトルなのもあって、前評判がなかったら手に取ることはなかったと思う。
    普通のOLの切ない過去の恋愛話と踏んでいたらとんでもない過去を持っていてラストはゾッとした。
    普通の恋愛をしている人の共感を生むような作品ではないな。異常だ。

  • 愛が強すぎて誤った考え方をしてしまう女性の物語。狂ってるようでわりといるんだろうな~

  • 芸能人兼小説家のイメージは内田裕也。

  • いわゆるストーカーの話。読みやすいので、ストーリー展開に期待しなくてもスルスル読める。解説に共感する人が沢山いたとあって、私自身はストーカー気質でないことに安堵した。

  • 読めば読むほど、最初の印象が覆されて、読み終わったあとはねっとりとこびりつくような、生々しい不気味さが残る作品。
    恋愛しかないひとの究極の形。うっかり、この気持ちわかるといいづらいぐらいの掘り下げ方で、こんなに女の嫌な部分をストレートに、効果的に描ける人もいるのかと驚きました。
    登場人物を自分の都合のいいように動かしていない、稀有な作家さんだと思います。

    読みはじめは仕掛けに気づかず、ただただ、歯切れのいい文章なのでどんどん読んでいたのですが、構成がすごい。

    平凡で根暗の女が自己中心的で強引な男にやり込められちゃう話かと思いきや、徐々に違和感を盛り込み、気がついたら題名の恋愛中毒という意味を読者自身が体感することになる。
    客観的な視点にも立てるようになっているから、中毒の意味を理解するとき、自分に重なる部分への不気味さと、この人はとんでもないという不気味さの二つの感情を抱きました。

    さらに解説にもあったように、冒頭部の語り手井口にバトンは渡されないことがまた、読後のねっとり感につながる。
    客観的に見るとすごい悪夢であるのに、すがりつく女の心情が少しでもわかると、自分もとんでもないことをしそうで怖くなる。

  • 再読。
    好きなったら人生の全てがその男になってしまう。
    男に本妻がおり、愛人が何人いても、男に自分の全てを委ね、その男の言うとおりに生活する。
    恋愛依存症というのか、ここまでくればある意味幸せなのかもしれない。
    (図書館)

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プロフィール

1962年11月13日横浜生まれ。 神奈川大学卒業後、OL生活を経て、87年「プレミアム・プールの日々」でコバルト・ノベル大賞、佳作受賞。 99年「恋愛中毒」で第20回吉川英治文学新人賞、 2001年「プラナリア」で第124回直木賞受賞。

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