- 本 ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048731720
感想・レビュー・書評
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新潟の島に浮かぶ廃れた美術館に毎日やってくる中学生の美少女と警備員の邂逅。狭い村社会の中で、連続して発生する不審な死体。そして死体の前に現れる「バベルの塔」の絵。
とにかくメランコリックな雰囲気に溢れた小説。ミッシングリングを探す小説なのだが、一癖も二癖もある登場人物がみんな変人で、不思議な感覚の小説。最後の最後で「新本格」的な結末が顔を出しますが、なんか蛇足感というか唐突というか。
作者は絵を描いてから小説を書くという不思議な作家。凄く面白い作風ですが、続けて読むと作風が明確なので、驚きが足りないかも。私はそうでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
荒れた中学校で起こった教師の殺害事件に端を発し、学校関係者を次々と襲う事件。その現場には必ず「バベルの塔」の図版が残されていた。同一犯人による連続殺人なのか、ただの偶然なのか。幻惑させられるような読み心地のミステリです。
ほんっと、読んでいるうちにバベルの塔に取り憑かれそうでした。閉鎖的な島、問題のある中学校、謎めき普通でないような登場人物たち。そしてこれだけの事件が起こっているのにも関わらず、淡々とした印象のこの人たちが何ともいえず不気味です。誰も彼もがとにかくつかみどころがなくって、理解しがたい印象。しかしそれも読み終えてみれば、作者の策略だったかなあ。
終始いらいらもやもやさせられるような読み心地でしたが、しかしあのメッセージの意味にはなんだかほっとさせられてしまったのでした。ちょっと素敵、かも。 -
ミステリ。芸術。
この著者の作品を読むのは4冊目。
今作の舞台は孤島。小さな集落を描くのが上手い印象を持った。
試みとしては、『誰のための綾織』が若干近いか?
正直なところ、この手のトリックはあまり好きでない。ミステリとしての出来はいまひとつ。☆2.5。
文章と作品全体の雰囲気はどストライクなだけに、『堕天使拷問刑』のような濃い内容の作品があれば…。 -
ものすごく・・・思い込みの激しい文章を書く人だなぁ。
デビュー作を読んだ時も感じたけど。
どこかバランスを欠いているようにも思えるのだけれど、
そこが妙にこの人の持ち味でもある、ようにも。
とはいえ、自作小説に自作の絵画をセットに出来るのは
他の作家にはないところ。
“とりつかれる”ての、結構作品全体を貫くキーワードかも。
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