冷静と情熱のあいだRosso

著者 :
  • KADOKAWA
3.60
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本棚登録 : 1251
感想 : 128
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048731768

作品紹介・あらすじ

あおいと順正はかつて恋人だった。いまはミラノで暮らすあおいのこころの中に、順正との思い出がフラッシュバックをはじめた。あの約束の一日、約束の地へ…女と男。それぞれの視点で紡ぐ-ひとつの恋。すれ違い、重なり合う、男女の想いを描いた、かつてない共作。今世紀最後の、最高の恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • すごく好きな人を忘れるため、自分のことをすごく好いてくれる人に寄りかかる。でも、それに甘えてたせいで、いつまでも前に進めなかったんじゃないかって思ってしまった。
    高級なアパートメントに住まわせてもらい、高価な服を買ってもらい、そんなんしてたら、思考は止まるわ!って感じです。
    でも、江國さんの文章は美しいので、好きです。

  • 辻仁成が同じ物語をそれぞれ女の視点、男の視点で描く甘く切ない恋愛小説。映画よりも小説の方が味わい深い。

  • 忘れられない人がいて、だけど今愛してくれる人がいる。今も大事だけれど、過去から離れられない。正直さ故に、どちらも大事でどちらも選べないアオイの芯の強さと、弱さ。居場所をどこに求めるのか。愛する人、友人、故郷、仕事…。
    二冊を読み終えて、改めてパラパラとページを捲ると、時代を経ても変わらない女性的な気持ちの移ろいを感じられる。最後、アオイは変わらない順正を愛したことを想い、自分のいる場所で人生を歩んでいこうとする。これから時間をかけてアオイは自分の人生を、未来を生きていくのだと、Rossoの終わり方は強くしなやかに生きていくアオイの未来を想像できてスッキリした。

  • 言うまでもありません、自分の感情は順正に引きずられても、状況や感情表現、そして主人公たちが彩る世界の中で、行間を感じながら読める本、である江國さんの小説は、何十年かぶりだけれど、本当にワクワクしながら読みました。残念なのは、本文中に”冷静と情熱”に関する記述がなかったこと、最後のベッドの後に、表現があったらよかったのに、と、ちょっと思いました。自分が愛した、ひきとめてくれない正しさと誠実さを兼ね備えた順正がミラノで出迎えてくれた時、あおいは今度こそ、顔を歪ませることなく素直に順正を受け入れてくれることを願って。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • このお正月休みに数年ぶりに読みました。
    せつなさで歯がゆい感じの一冊です

  • あおい。
    淡々としたように
    生きてみせてる、語られると
    そんな無理しなくても、という想いもあり
    なんでそんな怠惰なの、ちゅー想いもあり、
    そうしちゃうよなぁー、て想いもあり。

    ½ずつ読んでしまったけど
    交互だったら
    どんな想いにいたったんだろ。

    「まだ空気にあかるさの残っている時間。」(11p)
    こんな表現する江國さんを
    ボクはちょっと好きになりそうな気がした。

  • 読み終わって、とてもかなしくさみしかった
    私だけ置いてけぼりにされたような肌寒さでいっぱいになった  

    宝石店で働くあおい、ジムで運動をするのが好きなアメリカ人のマーヴ、それを取り巻く人たち
    すべてはイタリアの街で起こっている

    そして遠い記憶、少し暮らした東京
    忘れられない阿形順正

    あおいはずっと冷たさを胸に抱いている
    しわあせを自分から手放していく
    でもあおいの幸せはどこにあるのか、わからなかった

    ドラマチックに再会するふたり、
    けれど別れがやってきてしまう、それがわたしは悲しい

  • いろんな人間関係の間で揺れる
    さっぱりなのにあつい
    この主人公からこの結末が生まれるのは何一つおかしくないこと
    言葉の感覚が近くて読みやすかった

  • アズールの方ではしっくりくる結末が用意されているので、この本でもやもやした人にはそちらを勧める。
    ただ私はこちらの主人公の気持ちの方がよくわかる。なぜか現状を最後に行ってしまうと嘘になってしまうような気がして、きっと言えなかったんだなぁ。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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