冷静と情熱のあいだBlu

著者 :
  • KADOKAWA
3.57
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本棚登録 : 992
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048731881

作品紹介・あらすじ

順正とあおいはかつて恋人だった。あれから5年後、フィレンツェの空の下、順正のこころはあおいへの想いで満たされていく。過去を未来につなぐために。男と女。それぞれの視点で紡ぐ-ひとつの恋。すれ違い、重なり合う、男女の想いを描いた、かつてない共作。新しい百年に恋する全ての人に捧ぐ。

感想・レビュー・書評

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  • 綺麗な文と綺麗な情景。はぁ〜とため息が出そう。
    江國さんと辻さんのタッグ。右岸と左岸も大好きだったけど、今回はフィレンツェとミラノの情景に酔いしれてしまった。
    Rossoとbluを1章づつ交互に読みました。
    辻さんの文章は洗練されていて本当にカッコイイ。

    ただ、順正とあおいの心情には‥
    過去の恋愛は綺麗。どんなに辛い想いをしたとしても、それが過去となった瞬間から綺麗な思い出となる。
    2人の過去の幻想に振り回されたマーヴと芽実が気の毒。想い出は想い出のままにしておくべきという教訓か。
    忘れられない人がいても、会ってみたいと思っても、それは心の中にそっと持っておくだけにしておいた方がいい。たまにこっそり思い出して1人あの頃に戻った気分になるのが一番幸せなのです。

    会わない10年の間に2人の幻想の情熱が燃え上がったけど、いざ会ってみると10年の歳月を思い知らされて冷や水を浴びせられて冷静になった。と、身も蓋もない全くロマンチックではない言い方をするとこういう事ですな。
    ただ最後の順正の行動。その後のことは書いてないからはっきりとはわからないけど、ここまで突っ走っちゃったんだから幸せになってほしい。

  • 作品としては面白いんだろうけど、見事に私の趣味嗜好と精神年齢と全く一致しなかったかなぁという感じ。
    第一に、私が旅行なども含めて海外に一切興味ないから、舞台設定から馴染みがない。そして絵画の話も、別作者の別作品と比較して申し訳ないけど、『赤と青とエスキース』くらいだったら絵画の素養がなくても楽しんで読めるんだけど……今作は有名な画家の名前とかイタリアの地名やら建物が必須科目と言わんばかりに出るわ出るわで入り込めず。
    うーん、内容もなぁ。やたらとお上品で高尚な感じに、イタリアの美しい景色を混ぜ込んで、約束とか未来とか綺麗な言葉で書いてるけど、下品に要約すると、『元カノに未練タラタラだったけど、一旦ハーフのグラマラスギャルと付き合ってみてヤリまくった、でもやっぱり元カノが忘れられなかった』って話だよなぁくらいにしか受け取れなかったな。てかなんでこいつこんなに未練タラタラなんだろ?とまで思ってしまった。でも別の女とやる事やってんだよなぁ。
    女性サイドの話を江國さんが書いてるらしいけど、それを読めばもうちょっと印象が変わるんだろうか…。でも積極的に読もうとは思わないかな。
    私が60歳とかになって精神年齢が追いついたらもっと楽しんで読めるかも知れません。

  • Rossoを読んでから読み始めたので、別視点で伏線を回収していくようだった。一般に、男性の方が過去の恋愛を引きずるものだと言うけれど、この小説も例外ではなく、順正の方が過去の恋愛についてばかり考えている。修復士として、過去を修復して未来に繋げていくことを自分の人生と重ね合わせながら。恋人の芽実にも過去の自分や恋人を重ね続けて。
    過去と未来、冷静と情熱、そのあいだには何があるのか。その配分が均等になることもあまりないけれど、そのあいだの今を生きている。
    二人が幸せになることを願いながらも、Rossoでスッキリ終われたので、Bluの終わり方は男性的なのかなと思ったりした。

  • 何十年かぶりに読んだけれど、思ったよりも辻さんの本の方に感情移入して読みました、順正の気持ちに引きずられて。良かった、ハッピーエンドで。順正は、あおいの瞳の中に自分を見つけ出せることでしょう、冷静と情熱が交互に押し寄せては、感情を微妙に締め上げながら。P238

  • ロッソから読んで正解でした。
    私は、ロッソのあおいに全く共感できなかったんだけども、ブリュを読んで、色々なところが繋がったように思いました。あおいはずっと夢見がちで最後まで、そんな感じなんだけど、順正はあおいと再開したときに、妙に冷静になっていて、この冷静さが、結末の違いとなってるのかな、と。

    ロッソが、ブリュと同じ終わり方だったら、興醒めで、でも、ブリュの終わり方で終わらないと、色々とつっこみたくなる。2冊あることが、醍醐味なんでしょう。

  • 他の人はホントに
    どうだかはわかんないけど
    ボクは過去のひとを引きずって
    生きてる
    ってあらためて思った次第。

    いつまでも、みみっちく…と
    ひとはゆーだろーけど。
    結構、引きずりまくっているのさ。
    って開き直っちゃえるくらい
    シンクロした情けないくらい
    オモシロカッタ。

    きっと、江國さんのも読むし、
    映画もDVDで観たりするかもしれない、かな。

  • 江國香織とのコラボ小説。男性側視点。
    最後、希望を持つことができてよかった。
    ロッソのラストよりも一歩先を書いているので、ロッソから読んで正解だった。
    こういう趣向の本も楽しい。
    ロッソよりもブリュのほうが好き。

  • 江國さんのあおい視点からの物語を読んだ後に読みましたが正解でした。はっきりしたさいごではありませんでしたが、二人の未来が良い方向にいっているといいなと思います。

  • 順正side。今回、RossoとBluを一章ごとに読んでいったからこちらの順正sideが後にくる。読んでいてシンクロする場面が多く繋がりが面白い。作家が違うからどうしても比べてしまうけど、辻仁成の文章の言葉選びが美しくて心を打つ。順正の葛藤や真っ直ぐさがかっこよく、順正を取り巻く祖父や旧友もいい。
    15年前、映画を見てフィレンツェの美しさに感動して、自分も絶対にドゥオモにいくんだ!と願っていて実際に言ったから、その美しい情景が鮮明に思い浮かべられるから読んでいてとてもよかった。
    ただ、順正が母親のように慕っていたジョバンナとの出来事は本当に読んでいて辛かったから、順正には絶対にあおいを過去の人にして欲しくない。ミラノに先についた順正が、真っ直ぐあおいに愛を伝えられますに。
    順正とあおいのような、心からやっと出会えたねと思える人に出会えたら素晴らしいだろうなぁ。本当に大好きな物語です。

  • 江國香織が好きだから買ったけど、この人苦手。。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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