青の炎

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 277
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048731959

作品紹介・あらすじ

光と風を浴びて、17歳の少年は、海沿いの道を駆け抜ける。愛する妹と母のために-。氷のように冷たい殺意を抱いて。人間の尊厳とは何か。愛とは、正義とは、家族の絆とは-。熱き感動を呼ぶ現代日本の『罪と罰』。日本ミステリー史上、燦然と輝く永遠の名作、ここに誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 母と妹と平穏に暮らす高校生・秀一が、家族を守るために完全犯罪を目論む。一般的なミステリと違い、犯人の視点で物語が進むのが面白い。
    母子家庭で育った主人公が、唯一の男として自分が家族を守らなくてはと思い詰めていく姿が痛々しい。一貫して重い話だけど、クラスメイトとのやり取りや同級生への恋心など、高校生らしい一面に救われる。
    いわゆる倒叙ものなので、犯人の心の葛藤やじわじわと追い詰められていくところが醍醐味だし、ハッピーエンドはあり得ないのは分かっていたけれど、ラストはやっぱり切ない。

  • どんなにつらくても人を殺しちゃだめだ。第二の殺人はあってはならなかった。何か曽根から逃げる方法は無かったんだろうか。
    ただ、友子が毅然とした態度をとらなかったのが悪い。これではあまりに秀一が可哀想だ。

    後味が悪かった。私も秀一をかばう周りのひとたちのように、捕まらないでくれって思っていたかも。

    虐待を受ける子どもを大人が守らなかったのが、そもそもの始まりだ。秀一も遥香も友子と曽根の被害者だ。

  • 現在の日本において、人を殺すことは許されていない。

    自分のためじゃない。家族を守るための殺人。
    家に転がり込んできて妹と母に苦痛を与える、かつての父親には電気ショックで罰を。
    殺人を知り、強請ってきた、かつての友人には狂言強盗を持ちかけ、ナイフで刺し殺す。

    完全犯罪で家族を守ろうとした高校2年生。

    -----------------------------------------------------

    たとえばここが日本じゃなくて、ミサイルや爆弾が飛び交う戦争状態の地域だとする。そしてそこにいる彼らは家族や友だちや大切なひとを守るために戦っているとする。
    誰かを傷つけたり排除する行為が、別の誰かのための愛だったりする。

    戦争反対なんてことは皆思ってる。殺す相手にも大切なひとがいることも想像できる。できるなら殺したくない。
    だけど、自分の大切なひとを守ろうとするとき、心に青い炎を灯し、危害を加える相手を排除する行為。これが愛じゃない、なんて誰が言えるのか。

    難しい。
    何が良くて、何が悪いのか。その道徳心は正しいのか。
    すごく揺さぶられるけど、答えは出ない。


    家に転がり込んできた元父親が余命わずかだったこと。
    秀一をかばおうとした友人たち。
    妹と母を想いトラックに飛び込んでいく秀一の気持ち。
    そのトラック運転手にも家族がいるんだろうな、とか、何度も何度も揺さぶりをかけてくる話だった。

    家族のために2人殺し、警察に追及された秀一の出した答えはトラックに飛び込むことだった。

    正解だとは思えないけど、答えが何だかもわからない。
    とても救われない話だった。名作。

  • 貴志祐介お得意の倒叙推理小説。

    ただ守りたかっただけなのに…

    切ない。

    後からじわじわ来ます。

  • 全編にわたって主人公・秀一の視点で描かれており、
    秀一の些細な感情の変化、心情まで感じ取れた。
    思わず秀一に感情移入する・・というより、あたかも秀一の周りにいる人物のひとりであるような気持ちになり、
    なんとか秀一の犯行をとめようとしている自分がいた。

    高校生らしい部分も持ちつつ、頭がよすぎた秀一。
    何も、すべてを一人で背負う必要はなかったのではと感じた。

    事を起こしてしまった後に気づく周囲の優しさ。
    家族を守ろうと思うあまりに犯してしまった罪がとても悔やまれる。

    とても読みやすく、かつ、心揺さぶられる一冊であった。

  • こんなに頭がいい高校生がいるだろうか。
    綿密に計画を立てて、準備して、実行して…読んでいるこちらもつい力が入る。

    誰も救われないのが悲しい…

  • 2003/2/20読了。まぁまぁ

  • 誰も彼を助けることはできなかった。
    引き返すチャンスはいくらでもあったけど、そうしなかったのは、「自分がやらなきゃならない」と彼が思ってしまったから。
    馬鹿だなあって言うのは簡単だし、馬鹿なことも事実なんだけど。
    本人は気づいていたのに本当の完全犯罪計画を。
    少し待てば、本当にお母さんがそれを狙っていたのかはともかく、事実そうなろうとしていたのだけど。
    でも、待てなかったのよね、許せないものね。
    待ってる間にもっとひどいことになるかもしれない。
    そう思ってしまった彼を、誰も助けられなかった。
    でも、その後は本当に蛇足だよ。
    バレた時点で終了だったはずなのに。
    捕まっても構わない、その損害が少なくなることを狙って、未成年のうちに実行したんでしょう。
    なのにどうして捕まりたくないと思ってしまったのか。
    それは、完璧なはずの自分の計画が狂うのが嫌だったんじゃないかな。
    もしそうなら、そこからあとは単なる彼のエゴに過ぎない。

  • やっぱり迫力がある

  • 高校2年生の男子学生が、自分の家族を守るために殺人を犯す。またその犯行が明るみに出そうになり、第2の殺人を犯してしまう。

    決して人を殺すことは許されないが、主人公の苦悩と家族への思い、そして主人公の心の中に存在する人間の本性のようなものが一体となって、一高校生を完全犯罪の殺人事件を起こさせてしまう背景は同感を生むものがあるかもしれない。

    しかし、その犯罪の結末はあっけなく破綻し、ラストは・・・

    主人公の人物描写は素晴らしいものがあり、展開のテンポもよく、かなり満足な作品でした。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。96年『十三番目の人格-ISORA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2017年 『ダークゾーン 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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