偶然の祝福 (文芸シリーズ)

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048732390

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で間違えて借りて再読。小川洋子を好きになったきっかけの本でした。その後何冊も読んだけど、これが最高傑作というのが再読した感想。特にバックストロークは連作短編小説の中のひとつではなく、単独の短編として切り出しても最高の短編ではなかろうか。
    世の弟達のひとりとして、姉を持つ弟は是非読むべきですね。

  • 短編。

    「失踪者たちの王国」「盗作」「キリコさんの失敗」
    「エーデルワイス」「涙腺水晶結石症」「時計工場」「蘇生」

    一瞬、これはエッセイなのか?!とも思う作品。
    幼い息子と犬のアポロと孤独な私。

    「盗作」で優秀な弟がある日片腕をあげたままずっと下ろさなくなった、っていう話はなんかどっかで読んだ気がするのは…なんだろう。

    弟の死、アポロがぐったりしてしまった雨の日、幼い頃に家にいたお手伝いさん。
    だいぶ読んでから時間が経ってしまったので詳しく思い出せないけど読みやすい)^o^(

  • 奇妙な中にある美しいものたち。ひんやりとした感覚。

  • 女流作家。
    時系列が入り乱れる短編集。
    まさかここで皇女アナスタシアが出てくるとは。

  • it's the OGAWA World. open seventh stories up! She wrote 'The Housekeeper and the Professor' (original title:Hakase no Aishita suusiki). Like(´∇^d)!!

  • 博士の愛した数式が好きで、なんとなく気になってた小川洋子さんの本。
    出だしは何だかエッセイみたいな文調だから、ご本人の話なのかと思っていたら、どんどん暗くなっていって、最後はすごかったので、やっぱりこれはフィクションだ。
    暗いような、ホッとするような、どうなっちゃうんだろうと心配になるような、不思議な感覚は期待以上でした。
    ブログでの紹介はこちら→http://monogatarigatari.blog.fc2.com/

  • 2013.3/22
    小川洋子さんの短編集「まぶた」に含まれる「バックストローク」と関係していたとはね。
    オススメは「盗作」「キリコさんの失敗」

  • 小川洋子には個人的に好きな作品とそんなに好きじゃない作品が4:6くらいの割合で存在するのだけどこちらは残念ながら後者。
    いつでも言葉はきれいだなあと思うのだけど、題材やストーリーのせいで恐怖や気持ち悪さが先立つ。

  • 小川洋子の小説を覆っているのは、ひんやりとした静けさ。空中を漂っているというよりは、なにかすとんと底の方に沈んでいるような。。。日常なのか非日常なのか分からなくなってたどたどしく読み進めてしまう。この本の中では、キリコさんだけがしっかりとした輪郭を持って生きているようだった。

  • 短編集、もしくは小川さん本人の気持ちを綴ったエッセイなのかもしれない。
    文章の柔かさを保ちつつもドキッとするような恐い一文があったりと、ただ優しい雰囲気だけではない。
    小川さん独特の穏やかさから出る、物の捉え方や考え方を伺える本。

  • 小川さんの描き出す、徹底しつくされた静謐さが好きなわたしには、少しガチャガチャした手触り(舌触りとも呼べそうな感触)の作品だった。
    「私」の不運続きで薄幸そうな感じが物悲しい。せめて犬と息子は人並みに幸せであって欲しい。

  • 読み始めたときはおそらくエッセイなのだろうと捉えていた。エピソードが重なるにつけ、私小説なのだろうと読み進め、半ばほどでようやく全きフィクションであることに気づいた。主人公は小説家でもちろんディテールはリアルな作者自身のことなのだろうけどと、虚実ともなって読んでいくが最後には作者の,小説家なるもののの理想像に過ぎなかったとも感ぜられてしまった。リアルなファンタジーは作者の得意とするところで、さらに自身をリアルファンタジーとしておく構造がアクロバティックで面白い。

  • 図書館で借りました。

     私小説風。現代。短編。
     主人公は小説家の女性。
     オーケストラ指揮者の妻帯者と不倫の関係で、子供を身ごもっている。子供は男の子。やがて生まれて、ゴールデンリトリバーのアポロと親子二人で暮らしだす。
     一つ一つは短編で、読み切り。
     「失踪者たちの王国」と、「キリコさんの失敗」の雰囲気が好き。
     でも、大タイトル「偶然の祝福」と中身の選択がよくわからない。
     そこはかとなく不安定。
     透明感があるのだけれど、それってガラス細工とか氷のようなもろい感じがする。
     幸せになれそうにない主人公。で、このタイトル。
     すごく、不安定。

  • 淡々として当たり前のように終わるが、後々ふと風呂で思い出したりする。

  • 小川洋子の短編集。
    以前読んだ「薬指の標本」より今回の方がよかった。
    「薬指の標本」は作り物っぽかったので。
    小説なんだから当たり前なんだけど、わざと「お話を作っている」という感じがしたのです。

    この「偶然の祝福」は自伝的な短編集、なのかな、と。
    一人の同一人物と思われる女性が主人公で、少女時代の回想、そして現在に限りなく近い過去の話を織り交ぜて、まるで一編の小説のようです。
    この主人公の女性が、どうやら小説家のようで、アポロという犬を飼っていて、わりと裕福な家庭に育った人で、指揮者の恋人がいて、未婚の母、という設定。
    もちろんフィクションの部分もたくさんあるのでしょうが、「きっとこれは自分のことを書いているに違いない」と思わせる温度感があります。
    その微熱のようなほのかな温もりと、どこか醒めている不思議な世界観がほどよくミックスされている。
    そこが、この短編集のよさだと思います。

    オトナの女性に読んで欲しい一冊。

  • 2010/08/14 怪我したりお金がなかったり病気になったり気を病んだり、なんだか落ち着かない読み心地だった。挿絵のわんこがかわいい。

  • あまり抑揚のない静かな話。だがどこか異質な雰囲気を帯びたストーリーは時折自分まで異空間に連れて行かれそうな気がする。「博士の愛した数式」のイメージで読んだのでとても新鮮な気もした。ただ、後半になると徐々について行けなくなる部分も…。

  • さらっと読める、連作。
    電車の中で読むのに、ちょうどよい。

  • 私を取り巻く世界は一向に進展していなかった。すべてがただ後退してゆくばかりだった。私の胸には悲しみの泉が出現していた。それは深く、不透明でしびれるほどに冷たかった。  愛犬が病気になっちゃう章、結末がわかるまでは犬好きな人はつらいです

  • きっと彼女自身のお話なんだと思う。

    指揮者の不倫相手の彼も
    ゴールデンリトリバーも
    めしつかいさんも
    ヨーロッパ調おばあさんも
    キリスト教徒のお母さんも
    不倫しているお父さんも

    みんなみんな自分のことだったんだ。
    図書館で借りたけど、1つだけ活字に間違えがありました。それを鉛筆で誰かが直していました。
    『ミーナの行進』のお母さんも読んでいたみたいです。

  • エッセイ風の連作集。左手が挙がったままになる水泳選手とか、他にも作者の短編作品が出てきます。(私が気づけないものもあると思う)飼い犬のアポロ、キリコさん、見知らぬ弟と登場人物も多彩。作者の作品を沢山読んでからの方が面白い筈。図書館で借りたけど、文庫本欲しいです。

  • 女性小説家が自分の身の回りで起こったことや出会ったものを
    記した、雑感録のような連作集です。

    主人公の小説家は、自分が記したことは何でもないことのように書きます。
    まるで、日常の生活の中でいくらでも起こりうるとでも言うかのように。
    しかし、読者の目から見ると、それらはひどく奇妙なものです。
    失踪者、水のつまった袋、首筋に蝶の形の痣がある老人と指揮者、
    自転車のカゴに毎日入れられているパン、涙腺水晶結石症、
    主人公の著作を全身に身につけて生活する男…。
    主人公自身も、ありふれたことのように書いているが、何処か変だと
    感じているのかもしれません。

    「世界の縁に追いやられる」感覚を味わえる作品でした。

  •  弟が生き返ったと錯覚したわけではない。やはり彼は死んでいる。プールに手をのばしても、彼に触れることはできないとよく分かっている。それでも私は絶望していない。物語に自分を委ねているだけだ。彼女の声は悲しみを語るときでも優しく、何者も決して拒絶しない。
    (P.63)

  • 時系列はバラバラですが、全ての話は繋がっていて
    不思議な空間がそこには広がっています。
    時に恐怖を感じるような場面でも、
    とにかく表現が美しいのが印象的でした。
    「涙腺水晶結石症」と「失踪者たちの王国」が好きだな。

  • 私は作家にはなれない

  • 書くことに苦労をしている作家のおはなし。 途中まではエッセイかと思って読んでいました。 最後には、別の作品の登場人物が出てきます。 やっぱり小川洋子さんには魅かれるなあ、と思う一冊。

  • 「博士の愛した数式」とは、また一味違った作者の魅力が光る短編集(語り手は同一人物だけれど)。一つ一つのストーリーに、何か薄暗い影がつきまとっているみたいに感じた。ポケットだらけの服を纏い、死んだはずの「弟」であると名乗る男、雨に降り込まれた「私」と病気の犬を助けてくれた不思議な獣医さん、南の島で出逢った、物理学ぎりぎりのバランスで果物の入ったかごを背負う老人。そして「私」の恋人であった指揮者。皆、どこかから来て、どこかへ去っていく登場人物たち。

  • まるでエッセイ?と思うような短編集。小川さんの文章を読んでいつも感じるのは、透明な不幸感と、しんとした静けさ。

  • 悲しい話が多い。
    考え方によっては不幸なこともそうではないのかな

  •  作家の主人公の周りに起こるいろいろな話。連作短編集、と言うところか
     小川洋子さんの小説を沢山読んだ人なら、どこかで聞いたような話が出てきた、と思うことが何度かあるのではないだろうか。そのせいか、エッセイのように感じることがあるかも。

     わりかし、ほんのりする話が多い。もちろん、ちょっと不思議な世界でもある。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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