- Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048732956
感想・レビュー・書評
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登場人物全てまともな人が居ない!
エログロ要素たっぷりで、おすすめ出来ないけれど個人的には面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
切断された女の死体が発見された。本庁捜査一課の蒲生と、所轄の刑事和泉はコンビを組んで捜査にあたるが
被害者と和泉との間には隠された関係があった。二人の過去に何があったのか…。
『ありとあらゆる罪悪が圧倒的テンションで襲いかかる狂気のエンタテインメント』
いちおう主人公は蒲生なんだろうけど、次々に出てくるアクの強い登場人物達の多いことよ。
それも愛すべき特徴ではなく「身近にいたら最悪だ」っていう嫌なキャラがてんこ盛りでした。
グロあり、派手なドンパチあり。黒いエンタメ世界だけを堪能するにはうってつけの一冊。 -
再読本。
前半部のグロ描写の連続は強烈。
大学生みたいなヤクザ幹部がいて、なめた
態度をとった店員を、あれしてあれして(とても
書けない内容)とか、幸せな家庭を
凌辱する場面とか、小川勝己作品で最高のグロさ。
ただ再読してみると、ひ弱な刑事が強烈に
暴力に目覚めて銃撃場面で活躍したり、
銃撃戦で物事を解決してしまうような、ご都合
展開が目について、ちょっとトーンダウンだった。 -
両手と首が切り取られた死体が発見され、警視庁捜査一課の蒲生と、所轄の刑事和泉が捜査を始める。描かれるのは事件そのものは背景に止め、登場人物たちの狂気である。
表題のように彼岸に足を踏み入れた、既存の価値観を倒錯し、人間の尊厳を陵辱し蹂躙し尽くすある意味ではロマンを追い求める者たちの苦悩と暴走。
文章が雑なのに加えて謎の解明に当たる部分に至っては一方的な説明口調で長々と無理やり組み込んだ感じが残念だった。
猟奇的で残酷な表現が多いので倫理に悖る行為などに嫌悪感を抱く人には勧められない。
余談になるが、どうもこの手の話はアポステリオリな帰結を設定することが多いのだけれど、ミステリ要素のためには必要なのはわかるがこの作品に限って言えばいらないものだった気がする。
問題意識を持つことは重要ではあるが、主眼点は生き方そのものにすべきで登場人物の性質からしてくだらない感傷に過ぎないという印象を持ってしまい、貫かれてきた人物の性向が薄まってしまいがちだから。
そんな感じ。 -
銃を撃つことだけに欲情する蒲生、義母の面影に囚われた暴力過多の和泉、愛するものを喰うことに至上の喜びを感じる矢木澤。誰も彼も此岸の崖っぷちを歩いている。
男女や社会性や法律なんていう枠に囚われずに、ただ己の執着を純粋に持ち続ける男たちの、肉体的な狂気と精神的な聖性。彼らの「愛」は、生温い肉体の交歓ではなくて、現象として、同一になること。喰うこと。喰われること。殺すこと。殺されること。
その執着はもの凄く生々しくて、肉と血だけの、表皮だけの執着だけれど、精神性なんて、必要ないのだと彼らは笑う。
精神なんて和泉の記憶のように偽りだらけで、生温くて役に立たなくて、多分存在していない、肉体の世迷いごとなのだからと。
この残虐さと狂気はフィクションでしかありえないのだけど、なぜか抗いようもなく惹かれてしまう。 -
登場人物がみんなとにかく壊れていて、マトモそうに思えた人もだんだん壊れていって。その凄さに唖然としているうちにすっかり忘れ去っていたミステリ部分の解明があってびっくり、という感じ。もしかしてこれが狙いか?
これを読んで、ようやくこの人が「鬼畜系ノワール」と言われている意味を知った。慣れない人にはけっこうつらいだろうなあ。なかなかに痛かった……。 -
葬列の渚のおかげで小川作品はちょこちょこ手を出してしまうのですが、
絶対にオススメできない、したくないところが魅力でしょうか。
なのになんか面白いんですよね。何でか「切ない」を書くのが上手い気がする、小川さんは。 -
本屋で平積み紹介されていて気になったから読んでみた。
汚職警官、ヤクザ、などが出てくる事件もの。
登場人物にまともな人間は1人もいない。
倒錯した性癖が強烈で、読んでしばらく頭から離れない。 -
もう二つにきっぱり分かれるでしょう、批評が。
普通(?)の人間がまったくでてこない作品ってのも珍しい。
展開は一作品目の「葬列」に似て読みやすいが、読み続けられるかどうかが・・・。