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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784048733014
作品紹介・あらすじ
横溝正史「八つ墓村」から半世紀。昭和十三年に岡山県の寒村で起こった犯罪史上類を見ない大量殺人「津山三十人殺し」が、注目の女流作家によって現代に甦る! 凶行へと疾駆する殺人者の軌跡を描く渾身の一作。
みんなの感想まとめ
閉塞的な村社会の中で繰り広げられる人間の欲望や絶望、そして狂気を描いた物語は、実際の「津山三十人殺し」を題材にした作品です。村人たちの濃密な関係性が生み出す憎しみや恋情は、非常に近しいものとなり、物語...
感想・レビュー・書評
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-…狭い土地で同じ物を食い、同じ女と番い、同じ墓所に葬られる。憎む相手にも恋う相手にも、同じ血が流れている。それ故に、村人達の憎しみと恋情はごく近しいものとなる。
この村では、欲望も絶望も日常もすべてが共有だ。おそらう夜半に見る夢も。いや、行き着く彼岸さえも。…
(p.14)
怖い小説だった。
"津山三十三人殺し"とも呼ばれる実際にあった津山事件をモデルにした小説。
大正末期~昭和初期のあまりに閉塞的な村。夜這いの因習によって濃くなりすぎた血。人を除け者にする村人たち。小説全体になんとも言えない恐ろしさが滲み出ている。
序章と終章は、殺戮を行った辰男の姉・さよ子の視点。その他の各章は、辰男の叔父や分限者の妻、拝み屋の娘、村一番の貧乏人の子、辰男の幼なじみなどそれぞれ異なる村人の視点から語られる。
章が進むにつれ、殺戮へと近づき、各村人の視点から見る辰男は確実に凶行へと駆り立てられていく。そうした物語の推移も恐ろしい。
終章で姉・さよ子が語る六十年後の事件も恐ろしい。これにも何かモデルがあるのだろうか。
さらに、さよ子が語る
-…女に認められん、世間に認められん、そりゃ、自分で自分を認められんのじゃけん仕方なかろうに。
(p.317)
という言葉がもの悲しい。
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ふむ
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「鬼が来るで」「辰男じゃ。糸井の辰男じゃあ」
津山三十人殺しをモデルにした小説です。
職場の先輩からおすすめしていただいて、漸く読みました。
小説なので名前も変えてあるのですが、じめっとした村の人々と風習と、きつい方言がどろどろした空気を伝えてきました。岩井志麻子さすが。
悪意がすごい。これは狂ってしまう、と思いました。読んでいるこちらまでおかしくなりそう。
虔吉が悲しいです。
「何かしそうな者は、案外何もせん。するのは、一見大人しい害のなさそうな者じゃ」
表紙の満月が目に刺さります。黒詰め襟にゲートル、頭にナショナル懐中電灯、日本刀と猟銃を携えた姿を夢に見そう。。 -
「津山三十三人殺し」を題材にしたホラー。中表紙にぎょっとした。森の中に人の顔らしきものがいっぱい浮かんでて怖い。
人の陰口叩くか夜這いするかしか娯楽がないような、そんな閉塞的な村の中で、つまはじき者にされた辰男が凶行に至るまでが描かれている。ねっとりした文章が、村の陰湿な感じによくはまっている。章ごとに春夏秋冬と季節が廻り、月が満ちていくにしたがって、辰男の狂気も満ちていく。いつ導火線に火が付くのか、じわじわとした恐ろしさがありました。しかし、凶行シーンはわりとあっさりでちょっとがっかり。
この事件自体にも興味があるので、今度関連本を読んでみようと思う。 -
うーん、おもしろかったぁ
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何時の間にか孤立させられた少年の切なさが爆発していく中、同じ悲しみを持ったけんきちの最期の協力にすごく惹かれた。
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『黒焦げ美人』と同じような読後感。
面白くないことはないけれど、なんかだれてしまう… -
津山三十三人殺しを材とするホラー。これ程潔い作品も無いだろう。何故なら結末が帯にはっきりと明記してある。「八つ墓村」で有名なアレである。果たして先に結末が提示されたホラーなど成立するのか?本作は横溝と読者に対する挑戦の書である。
男を凶行に駆り立てたのは狂気か?憤怒か?怨恨か?物語は村人の視点から男の心の深淵に迫っていく。陰陰滅滅、暗くじめっとした村の日常…。思わず、こんな村滅んでしまえと叫びたくなる。惨劇は一人の男の狂気の所業であると同時に、村全体が運命共同体として滅びの道を突き進んだ結果なのだ。
横溝を超えたなどとは言うつもりは無いが、読む価値のある1冊だと思う。 -
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●あらすじ●
暗黒の森の中で銃声とともにこだまするうめき声。「来た。鬼が来たんじゃ」。昭和十三年、岡山県北部で起こった伝説の「三十三人殺傷事件」。おとなしく、「利発でええ子」だったはずの辰男は、なぜ前代未聞の凶行へと至ったのか。狂気か?憤怒か?怨恨か?古い村の因習と閉ざされた家族の歪な様相、人間の業と性の深淵を掘り下げながら、満月の晩に異形の「鬼」となって疾駆する主人公を濃密な文体で描き出した戦慄の長編小説。話題の女流作家が切り拓いた圧倒的迫力の新境地。 -
津山三十人殺しモチーフ、ということでさぞかし惨劇の部分が……と思いきや、その部分は驚くほどあっさり。むしろそこに至るまでの人間関係描写に重点が置かれている。で、その部分がなんともどろどろで怖いんだなあ。さすがは志麻子さん。
閉鎖された「村」社会の陰湿さが嫌な感じ。特に物語の結末が分かっているだけに、そこに至るまでの「じわじわ」が非常に効いている。 -
内容紹介
暗黒の森の中で銃声とともにこだまするうめき声。「来た。鬼が来たんじゃ」。昭和十三年、岡山県北部で起こった伝説の「三十三人殺傷事件」。おとなしく、「利発でええ子」だったはずの辰男は、なぜ前代未聞の凶行へと至ったのか。狂気か?憤怒か?怨恨か?古い村の因習と閉ざされた家族の歪な様相、人間の業と性の深淵を掘り下げながら、満月の晩に異形の「鬼」となって疾駆する主人公を濃密な文体で描き出した戦慄の長編小説。話題の女流作家が切り拓いた圧倒的迫力の新境地。 -
微妙。
2009.5.1 -
この手の話は、岩井志摩子さんの十八番だと思う。
血の濃い集落で、孤立してしまうことの怖さ。多少、無理を重ねても他人と合わせていくことって大切なのかな?と考えてしまった。 -
この人の物語…そこそこ面白いけど、心に残るものが無い。何が言いたいのだろう?
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2006/10/22
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装丁の中に潜んでいる方々が怖い。岡山で実際にあった「津山三十人殺し」を題材にとった物語。この本で岩井氏の語感のセンスにやられました。岩井作品の中では好きな一冊です。
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津山の事件が気になって。著者も好きだし。
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読んでいると昼間でも陰を感じる、薄暗く不気味な空気が好き。
著者プロフィール
岩井志麻子の作品
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