リリイ・シュシュのすべて

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048733311

感想・レビュー・書評

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  • 青春期の敏感な世代の。。
    繊細さ。。。
    純粋さ。。
    美しさ。。。
    けなげさ。。。
    強さ。。。
    残酷さ。。。

    全てが詰まっている。。

  • 最初に映画を観たときの、あの感情が今でも忘れられない。
    胸の中に閉まっていたものをこじ開けられたような感覚。まさしく『共鳴』。14歳の感情をここまで表現できるのかと驚いた。

    そんな映画版に感化され、すっかりリリイシュシュの虜となった私は小説を読むに至ったのである。
    小説版と映画では異なる箇所が何点かある。優越をつけるつもりはないけれども、やはり最初に見た映画のインパクトが忘れられない。しかし、小説版では映画で足りなかった説明や場面を知ることができた。
    田舎の閉鎖空間で、自分の周りだけが世界なのだと感じてしまうあの焦燥感。思春期ならではの感情。自分の世界の中心、リリイシュシュ。
    リリイシュシュの楽曲は不思議な魅力に包まれている。私もその魅力に魅了され、ずっと聴いてる。
    Salyuさんがリリイシュシュとなっているのだが、Salyu≠リリイシュシュである。リリイはリリイなのだ。
    映画が公開されてから10年後にSalyuがリリイ名義で「エテール」という曲を公開した。そこにリリイはいなかった。私の知ってるリリイは死んでしまった。
    『リリイシュシュのすべて』の世界から戻って来れなくなった人は多いと思う。もう少し歳を取ればこの焦燥感から脱却できるのだろうか。今はまだこの世界観に浸かっていたい。

  • 夢中で、夢中で読んだ一冊

    読み終わってから、何か心に空いたものの存在に気付かされた。


    ー カタカタ カタカタ ー
    そんな音と共に、私も登場人物の一人として言葉を打ち込んでいる気がした

  • 岩井俊二監督のファンではないが、
    どこか気になるところがあり、ほとんどの作品は観ている。

    映画の「リリイ・シュシュのすべて」は
    彼の作品の中でも異色なものとして
    ずっと頭に残り、気になっていた。
    ちょっとしたことがきっかけで
    ウェブサイトでの連載を基にしたという小説を読んでみることにした。

    大体半分ぐらいを例によって電車の中で読んだ。
    これは面白い!
    書き込みのやりとりが生む“謎”“感情の行き違い”“悪意”
    そういったものがうまく描かれスリリングな展開。

    しかし映画とずいぶん違う。映画はリアルな世界での
    中学生を描いたものだったが
    これは完全にBBS上でのやりとりだけだ。
    BBSでのやりとりからどうなるのか
    この後の展開が楽しみ。

    10年以上前にこれを書いた岩井俊二の才能にちょっと驚いた。

    ---------------------
    読み終えた。
    全16章に終章を加えた構成。

    6章まではBBSでの書き込みのやり取り、
    7章から独白の書き込みとなる。
    7章 共鳴(空虚な石)ではリリイ・シュシュの略歴が語られ、
    サティ・フィリア・蓮見とリリイとの出会いが語られる。

    8章から蓮見と星野の物語となる。つまり映画の部分。

    この蓮見と星野の物語をどうとればいいのだろうか?
    映画と同様
    過酷なイジメ、星野の指示による残酷な仕打ち、描写に気を取られる小説ではある。

    映画については
    「中学生のイジメをリアルに描いた」などとよく紹介されている。

    ただ私はそれだけではない不思議な、
    とても謎めいた話だと思う。
    どこかしら神秘的なものも感じさせる。

    作者がそういったものを意識していたのかは知らない。

    僕自身はこの物語からヘッセの7小説「デミアン」を連想した。
    どこがどうと今はうまく説明できないのだが。

    「イジメにあった少年の過酷な日々」
    だけで語るにはあまりに深く多くのもの・謎を含んだ作品。
    作品を読み終えたとき、
    広大な世界が頭の中に広がるようなものになっていれば
    この小説はものすごい名作になっていたのではないだろうか。



    ただ、各章の前に書かれた前フリの短文、挿入される歌詞は、
    個人的には少し鼻に付いた。
    装丁も含め、書籍編集者のセンスの影響があったのだろうか。

    もし文芸誌の優秀な編集者がつけば、
    “文学作品”として
    より完成度の高いものになったような気もする。

    作者は映画につしては「遺作としてもいい」とコメントしていたが、、
    この小説もそのくらい作者の没入した力が感じられる内容だと思う。

    どうとらえていいのかわからない、不思議な小説である。
    そしてそういうものは、私にとって魅力的なものである。

  • 『エーテル』は、透きとおっていて、きらきらした、儚い、すぐに崩れてしまう、調和のようなものだと、わたしは思った。

  • 幼き中学生の心の叫び

    ネット社会が創り出した哀しみ

  • 抑えようもない、止めようもない、理由もない、ただただ美しくて醜いもの。苦しい。

  • 2、3年前に初めて映画を観て、その後原作を読んで、最近また観直して、再読して、また観た。これから先、こういう事事を繰り返していくのかもしれないという予感がある。
    いまのわたしは、どうしても、星野に共感せざるを得ない。

    呼吸を、しているんだ。いま。

  • すごい。すごい、すごいすごい。

著者プロフィール

映像作家。1963年1月24日仙台市生まれ。横浜国立大学卒業。主な作品に映画『Love Letter』『スワロウテイル』『四月物語』『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』『ヴァンパイア』『花とアリス殺人事件』『リップヴァンウィンクルの花嫁』など。ドキュメンタリーに『市川崑物語』『少年たちは花火を横から見たかった』など。「花は咲く」の作詞も手がける。

「2017年 『少年たちは花火を横から見たかった 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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