アラビアの夜の種族 (文芸シリーズ)

著者 : 古川日出男
  • 角川書店 (2001年12月発売)
3.87
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  • レビュー :91
  • Amazon.co.jp ・本 (659ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048733342

作品紹介

聖遷暦1213年、偽りの平穏に満ちたカイロ。訪れる者を幻惑するイスラムの地に、迫りくるナポレオン艦隊。対抗する手段はただひとつ、読む者を狂気に導き、歴史さえも覆す一冊の書-。

アラビアの夜の種族 (文芸シリーズ)の感想・レビュー・書評

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  • おもしろいんだけど……うーん、ハマりきれなかった。序盤はグイグイ読み進められるのだけど、後半、物語が収束に向かっていくところでファンタジー色が強くなりすぎるし、激しいバトルシーンの描写を細かくやりすぎているのが一因かもしれない。しかし、「書物」をテーマにした壮大な物語としては著者の力量が存分に感じられ、なかなか圧倒される。本好きによる本好きのための物語であり、そして本が読者を飲み込んでしまう物語でもある。あまり時間をかけず、連休などを使って一気に読んだほうがたぶん楽しめる。

  •  ひたすら面白い物語を書こうとしたんだと思う。で、ジャンルとか売れ線とか度外視で、とにかくやたらと面白い物語が生まれた。そういう意味ではエンターテイメント小説の2大ジャンル、SFとミステリの賞を両方とったのも納得(2002年の日本SF大賞、日本推理作家協会賞を受賞)。
     恥ずかしながらこの著者の作品はこの本が初体験だったわけですが、会話調の文章がとても生き生きしていて、とても「読ませる」。と思ったら、戯曲の流れの人なんですね。どうりで、流暢かつメリハリある語り、騙り。
     これから読む人へのアドバイスとしては、日曜日に読み始めると月曜の朝方まで読んでしまう可能性が大なので、三連休の初日くらいをお勧めします(笑)。

  • 面白かった。バトル系は苦手なのでそういう場面では少々つまづいたけど、古川にしてはリーダビリティが高い文章なので659ページのボリュームもなんのその、苦もなく一気に読み終えた。設定も構想もよく練られていて「すげーな!」と感心してしまう。ただなんでだろう、こんなにも楽しめたのに心にズシリと響いてくるものは何もなかったという、、、。まっいいか、たまにはそういう読書も。

  • いやー、非常に非常に面白い作品であった。
    アラビアンナイト形式で進行する物語に、
    ナポレオンのエジプト東征が絡んだ壮大なファンタジー。

    語彙豊富な文章と、やや芝居がかった台詞回しにも惹かれる。
    途中、Dungeons & Dragons 、Wizardry、
    DRAGON QUEST をどうしても想起してしまった。
    戦士と魔法使いはどちらが強いのか?
    やはり魔法戦士には敵わないのか?
    僧侶、吟遊詩人、レンジャー、盗人、遊び人、踊り子入り乱れての大騒ぎ。
    パフパフ有りr(^ω^*)

    最初の「はじめに」と最後の「仕事場にて」もイイ味だ。
    読まずに死ぬわけにはいかない傑作であると理会。

    2002 年 日本推理作家協会賞受賞作品。(何故に?推理小説?)

  • 読了

  • 夜の種族が語るアーダム、サフィアーン、ファラー三者の物語。それを19世紀ナポレオン侵攻下のエジプト人たちが筆記する。さらにそれを21世紀サウジアラビアを訪れた日本人が邦訳する、という入れ子構造。
    本書は装飾過多な文言が並び、内容に比して文章が非常に長い。しかし一見無駄に長いと思われる夜の種族の語りが効果的に物語内に時間を創り出している。夜の種族の20日間にわたる語りの長さを、作中の聴き手と読者が共有することで、ただ文章を読むだけでは感じ得ない時の流れを体感できるようになっている。また、ダンジョン探索RPG風味なのは、長い物語を飽きさせない工夫なのかもしれない。
    しかし、いくらアーダムたちの物語がメインといえども、入れ子構造の外側に行くほど内容が陳腐化するのは残念。外側の描写は主に本書の終盤で描かれる内容であるが、ナポレオン侵攻の設定も、夜の種族の物語の余韻も、あまり活きていないように見える。
    クライマックスは、魔王サフィアーンの身体に乗り移ったアーダムと、アーダムの書物を読み込み魔導を極めたサファーとの一騎打ち。アーダムが己れの書物と闘っていることにだんだん気付き、焦り、最後に悟る様子が面白い。アーダムvsアーダムという意味では、最初から最後までアーダムの物語だった。

  • どんどん次が読みたくなる。次の夜が待てなくなる。

    最後のページに感じたのは歓喜?恐怖?

  • アイユーブが編さんする「災厄の書」の中の物語。夜の種族(語り部)が語る

    古事記、千夜一夜物語、オイディプス王、オリバーツイスト、モンテクリスト伯、王子と乞食など 面白い小説の要素が全部 揃ってる感じ

    平日に読んだの失敗だった。次が気になって 仕事にならない。一部より二部の方が面白い

    第一部「0度」は 妖術師アーダムと蛇神ジンニーアの物語。父殺し後に王位承継、母と息子の結婚、悲劇的な結末など オイディプス王を想起させる

    第二部「50度」は ファラーとサフィアーンの冒険ファンタジー。大泥棒として育てられた王位継承者サフィアーン、アーダムとジンニーアの復活、妖術師となったファラー。

    第三部「99度」は とどまり続けるサフィアーンと 漂白し続けるファラー、サフィアーンのなかにいるアーダム の3人の共鳴して 驚きの最期へ。

  • まぁーとにかく長かった。この長さが比例して「時」の重さを感じさせるのかもしれないが、作者が自分自身の文才に酔いしれているきらいもあり、うっかり読み飛ばしている箇所もありました。
    しかし、3人の運命が収斂していくクライマックスは見事! まごうごとなき傑作です。
    時折現れる猥雑な言葉も好き。

  • 一時は永久に終わらないかと思われた砂の年代記も、ついに終わりを迎えました。
    独特の濃厚で力強い語り口に、ファンタジー満載の、王道的冒険譚。
    アーダム、ファラー、サフィアーンの冒険の物語が、幸せな大団円で幕を下ろし安心したのも束の間、アイユーブたちが大変なことに…

    物語は不死ではないが、譚りによって不滅になる。これはひとりの人間が譚りによって不滅になる魔法である。
    物語好きとしてはとても心踊る理論ですね。
    アイユーブもまた物語として譚られ、不滅となるのでしょう。空白から一冊の本になり、本でありながら新たな物語を産み落とすことになった美しい青年の物語として。

    あの各章の温度は何だろうと思ってたんですが、アイユーブの血の温度だったみたいですね。空白が満たされ、過去が思い出され、感情が爆発するまでの。

    個人的には地下迷宮に狂人の移住者が入ってきて、愉快な開拓が始まったあたりからが面白かったです。地下迷宮最深部の魔王討伐命令に応えて世界中から集まる猛者たち…なんてRPGゲームみたいで、王道はいつの時代も揺るがないのだなと感心しました。バトルシーンや謎解き要素もあったので、少年漫画にしても面白いかもですね。
    イスマーイール・ベイが少し気の毒でしたが、本人は幸せそうなので、考えないことにします。

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