あ・じゃ・ぱん

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 98
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (777ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048733472

作品紹介・あらすじ

戦後分断された東西日本の統合をめぐる壮大な偽日本史。

感想・レビュー・書評

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  • 読んだのは結構前なんだけど、アマゾンでは「ん」ってかくんだ。まああたりまえか。個人的には「!~」が好きだけど、似てないし、まあ、よし。ていうか、こんだけ戦後史(第一次大戦後史)をひっくり返したひとは矢作だけじゃないかっておもう。「ららら科學の子」もそうだし。東日本と西日本にわかれた後の、西日本の標準語(河内弁)とか、東日本の中曽根書記長とか、ビミョーな地域である新潟の角栄とか、箱根のヤマは天下のケンとか、史実を知らなくても面白いし、史実を知っていても面白い。ぼくは史実を知っているから、そっちの面白さしか体感できなかったけど。

  • パラレルワールドとしての日本。
    傑作。

  • くーだらない。

  • 戦後の日本が、東日本と西日本に分裂
    日本語が話せる黒人が訪日、調査をする。
    米がコントロールされている
    ヤミ米の親玉の名前が田中角栄
    西日本の総理大臣が明石家さんま
    山本義隆も登場

  • 今とは違う歴史を歩んだ『分断日本』を舞台に、父親と因縁深い「ハナコさん」を
    追い求めてやって来たCNN特派員が虚虚実実の陰謀に巻き込まれていくスラップスティック・ポリティカルサスペンス。
    全体としては「ファーザー・ランド」「高い城の男」にC調を足し、日本という固有の現象を軸に現実の日本人のメンタリズムを洗い出す寓話と言った所。

    小説の中で眼前に広がる『分断日本』は、しかし紛れも無く私たちの知る『日本』だ。
    イデオロギーも人物も、西や東も関係なくその『ニッポン』という逃れられない概念の中で変容し、解け合い、結局狂おしいまでに日本を『ニッポン』たらしめる。冷戦構造ごときでは変質しようもなかった日本人としての根深い根幹を、祖国アメリカからも浮き、日本という国に複雑な感情を持つ主人公の目を通して描かれていく。その視点こそが、矢作一流のシニカルな風刺となっている。

    こちらの世界では保守、右派で鳴らした中曽根康弘は東側の「日本民主主義人民共和国」書記長だ。しかしアメリカからソ連へと主語が変わるだけで、他の何一つ変わりはしない。レーニン主義を採択した筈のその国で、こちらの世界で右翼の大物が標語にしていた「一日一善」を声高らかに唄っている。日本に金権政治をもたらした田中角栄は、新潟でゲリラ組織を率いて『米本位制』による変革を求めようと暗躍し、西側『大日本国』では吉本興業が政界の中心を担っている。大戦末期に原爆を投下され崩壊してしまった『富士山』、東日本人が歴史の流転の過程で放逐してしまった『天皇陛下』に寄せる憧憬。
    抽象化された日本的概念を動力として、引き裂かれた心の拠り所を求めるかの様に「東西壁の崩壊」と、「日本列島改造計画──アカデミヤ10/10」という名の陰謀へと突き進んでいく。最後の鍵を握る女の名前は「昭和」だ。

    序盤こそドタバタっぽく始まるものの、中盤から『ハナコ』にまつわるミステリー、そして東西日本が世紀の分かれ目に来て隠し通せなくなった歴史の闇が、徐々にスリリングなサスペンスに移り変わっていく。前半が寓話的な説明に多くページを割いていただけに、後半のテンポの上昇が心地よい。小栗虫太郎に捧げるオマージュも相まって、妙味に溢れる展開になっていく。

    ラスト、物語全般を通して明かされる事の無かった主人公の名前が遂に明かされるが、個人的には「役名」も去る事ながら想起される役者の名前もダブルミーニングとなっているのだろうと結論。なんたって彼は同じトレンチコート、ボルサリーノの姿で「トウキョウ・ジョー」に出演しているのだから。

  • とっても吸い込まれてしまいました。。。
    ありえそうな話だったので、読み入りました!!
    戦争話は苦手で手をつけませんが。。
    少し。。。戦争の勉強にもなりました。
    んー考えの幅広さがすごいです!!

  • 重い。文庫化してほしい。傑作(偽史っておもしろいね)だけに。

  • もう一つの愉快な日本。私の故郷が国境の街と化しているのに笑った。中毒性高し。

  • もし、日本が東西分割統治されていたら…矢作俊彦の独特の視点が(ひねくれてますね)よくあるパラレルワールドものにしていない。日本の戦後史の勉強にもなったりして…

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著者プロフィール

1950年、神奈川県横浜市生まれ。漫画家などを経て、1972年『抱きしめたい』で小説家デビュー。「アゲイン」「ザ・ギャンブラー」では映画監督を務めた、『あ・じゃ・ぱん!』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、『ららら科學の子』で三島由紀夫賞、『ロング・グッドバイ』でマルタの鷹協会・ファルコン賞を受賞。

「2022年 『サムライ・ノングラータ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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