水の時計

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 335
レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048733823

作品紹介・あらすじ

医学的には脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。生きることも死ぬこともできない、残酷すぎる運命に囚われた葉月が望んだのは、自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだった-。透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、ファンタジックな寓話ミステリ。第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 与える自由と、与えない自由。
    もらう自由と、もらわない自由。

    幼いころ、読み終えた後に、王子様とつばめがあまりにかわいそうで
    ただただ泣きじゃくった『幸福の王子』が、
    舞台を現代に移すと、与えたい側の善意は容易には届かず
    受け取りたい側にも葛藤や受け取れない事情があったりして
    こんなにも複雑になるんですね。。。

    初野晴さんのデビュー作とのことで、私の理解力不足のせいか
    ちょっとよく伝わってこない表現もあったけれど、
    各章の冒頭にはさまれる昴と葉月の会話などはとても詩的で美しくて
    生きること、死ぬことの意味を考えさせられる作品でした。

    カバーのイラストやタイトルデザインの美しさに感激していたら、
    カバーをめくった内側の表紙もまた素敵で
    角川書店装丁室の、作品への愛情をひしひしと感じました!

    • 円軌道の外さん

      難しいテーマですね(≧∇≦)

      だけど自分も
      使える部分はすべて
      臓器提供したいと
      昔から考えているし、
      まろんさんのレヴ...

      難しいテーマですね(≧∇≦)

      だけど自分も
      使える部分はすべて
      臓器提供したいと
      昔から考えているし、
      まろんさんのレヴュー読ませてもらって
      この本すごく
      読んでみたくなりました(^O^)


      文庫化まだかな?


      2012/05/25
    • まろんさん
      私も、『Summer Snow』の最終回を観て泣いたあとすぐ、
      コンビニのレジ前にあった黄色いドナーカードをもらってきて、書きました。

      『...
      私も、『Summer Snow』の最終回を観て泣いたあとすぐ、
      コンビニのレジ前にあった黄色いドナーカードをもらってきて、書きました。

      『水の時計』で受け取る側の葛藤を読んでみると
      あんなミーハーな動機で、臓器提供を決意してよかったのかしらと思うけど、
      やっぱり、薬や手術では回復の見込みがなくて
      移植にしか希望を見いだせない患者さんがいる以上は
      もらっていただけるものなら、全部使っていただきたいと思っています。

      文庫化はされてたような気がするので、機会があったら探してみてくださいね(*^_^*)
      2012/05/25
  • なかなか良かった。
    引きずり込まれる文章だと思う。特に目の話は際立ってよかった。
    もう一遍くらい話をはさんでって徐々に深刻にしていってほしかったかも。
    にしてもなかなかおもしろかった。

    ってか、横溝ミステリ大賞の審査員が酷評しすぎだよ。
    特に坂東さん。「同世代の女の子をみてセックスを考えないティーンにリアルがない。」って頭湧いてるてんのかな。
    チューブにつながれた死にかけの女の子をみてセックス考えるようなティーンがいたらやばいだろうよ。

    初野晴もだいぶ読んだ。空想オルガン楽しみだ!!

  • 確かに現実問題考えると不自然なところは目立つけれど、そんなことは言っちゃだめ。雰囲気に浸って読む作品。独特の雰囲気があって、好きな人はすごく好きだと思う。ちなみに私は「幸福な王子」を知らなかったので(タイトルだけ聞いたことがあるけれど)、「どこが幸福なの?」と意味もなく突っ込んでたけど(笑)。
    しかしこれより、前回選考に落ちた「しびとのうた」読みたいなあ。着地失敗でもいいから、K点越えの大ジャンプをぜひ見たい!

  • 22回横溝正史ミステリ大賞受賞


    先が気になる話で一気に読めたが、読後感はすっきりしないのひとこと。  

    自分の臓器を主人公に託して移植していく、連作?

    移植一件目、角膜移植の話が一番良かった。

    室井、昴が暴走族になったきっかけもよくわからないし、高階が最後追いついてきたのも急だと思った。
    主人公の兄が入院させられた件、執拗に追いかけ回す刑事の動機、ライターのその後、芥先生含め病院スタッフは誰か親しい人を見送ることができたってどういうこと?
    葉月が昴を好きになった理由もちょっと無理ある気が……
    なんか全員の心情に納得できない。

    帯に選考委員絶賛!って書いてあるけど、別に絶賛してなかった

  • ◆内容(「BOOK」データベースより)
    医学的には脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。生きることも死ぬこともできない、残酷すぎる運命に囚われた葉月が望んだのは、自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだった―。透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、ファンタジックな寓話ミステリ。第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作。


    ◆Amazonの感想より
    冒頭にページを捲ると【幸福の王子】の話が出てきた。幼い頃母親に童話の本で読み聞かせられた事が思い出された。幸福の王子は宝石を分け与えたが、この作品はそのスタンスと物語を下地に作られている。だが分け与えるのは宝石ではなく人間の臓器。

    脳死の宣告を受けた少女は、死んだ親の莫大な財産と遺言、現代医学の狭間で時が止まってしまっている。脳死とは言え生きる事も死ぬ事も出来ない。だが月夜の晩に生命維持装置でがんじがらめの身体から機械を通して声を発し会話をする事が出来た。少女は自分の身体から移植を必要としている人に臓器を分け与えたいと言う。だがその行為は非合法。そして白羽の矢が立ったのが暴走族を組織していた少年だった。幸福の王子で言うと、この作品では王子が少女で、ツバメが少年だ。最初に幸福の王子とヤンキーのギャップに戸惑ったが、読み進めていくうちにそれは無くなった。

    少女の過去の経験が臓器を分け与えると言う形をとらせている。そして月夜の晩にと言うのもとても幻想的に思えた。少女と少年の儚い繋がりも片思い的で切ない。また、この作品は少年がやたらめったに臓器を運びまくると言うものではなく、各章節ごとに主人公が違うオムニバス形式を取っていることが尚の事良いのである。角膜の章節では精神的病を、腎臓の章節では日本の臓器移植の実情と闇を、心臓の章節では夫婦の愛を描いている。私的には心臓の章節がとても好きだ。機会があればこの作者の他の作品も是非読んでみたい。

    なおこの作品は
    【第22回(2002年)横溝正史ミステリ大賞】受賞作。

  • 読んでる間ずっと苦しかった。
最後に主人公が生きよう、と思えたことがよかった…
    謎解きというには苦しい話ばかりだし、
文章も読み慣れないかんじで戸惑うんだけど、何かとても魅力がある。


  • 幸せとはなんぞや

  • 時間軸をクルクル変える展開で伏線はそこまででは無いものの、結論の見えない話だった。
    臓器移植の残酷さは医療関係者なら誰もが悩むことで、移植医以外ならば想像することができるだろう。
    多少無理のある設定だが、非常に面白かった。

  • 請求記号:913.6/Ha 図書ID:00131541

  • こういう形で人間が「存在」するってのは、医学的にアリなのかはわかんないけど、その設定の是非さえ置いとけるヒトにはちゃんと楽しめる作りになってると思う。
    変に今時っぽい無駄なチャラさやディテールで多少不自然なトコがチョイチョイ気にならんでもないけど、不思議な雰囲気のある作品、というよりはむしろ、この作家の持ち味なのかな。
    珍しい作風なので、何作か読んでみよう。

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著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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