GOTH―リストカット事件

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 862
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048733908

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!

    すごくエンターテイメント。
    この作者は別名で書いている恋愛小説を読んだことはあったのだが、それほど響くものがなかったことと乙一名義のものはホラーっぽい、しかも短編が多いということで何かと敬遠していた。

    ただ実際読んでみると短編だからこそ起承転結がはっきりしていて、サクサク読み進められるように思う。
    また前半から中盤にかけてのホラー感、終盤のどんでん返しと切ない終わり方は読んでいてすごく物語に没入することができた。

    ラノベ出身の方のようなのでそれも読みやすい一因かなとも思ったが、決して物語は軽いものではないので本当に上手い作家さんだなと思った。

    全編面白かったが特に良かったのが犬と記憶と土。
    この三つ。
    おじさん系の犯人像はなんかジョジョの吉良吉影を思い出した。二話目の設定が似ているからそう思ったのだろうが。

  • 乙一作品を読むならココから
    前知識なしでここから読もう。


  • 長らくブクログを休んでいたこともあり、
    今一度、自分の原点を探ろう企画の第3弾(笑)


    いやぁ~、この作品が世に出て
    もう16年経つのか…
    そりゃ、自分も歳をとるハズだわ(笑)。

    衝撃的な17歳でのデビュー作『夏と花火と私の死体』以降、
    ハートフルな作風でライトノベルの旗手だった乙一が
    満を持して本格ミステリーを意識して書いた
    いわゆる『黒・乙一』を代表する作品がこの
    『GOTH―リストカット事件』であります。
    (後にこの作品で第3回本格ミステリ大賞を受賞しています)


    読みやすさはライトノベルそのままに、
    世界観はダークで軽妙な青春小説。
    (矛盾してそうだけど、そうとしか言えない世界観なのです笑)

    連作短編なのですが、どの話も
    読む者をミスリードさせる巧みな構成と
    散りばめられた伏線とその鮮やかな回収術の妙、
    ラストにかけての衝撃のどんでん返しが
    とにかく見事で
    騙される快感が味わえます。


    で、メインキャストは高校生の二人。

    陶器のような白い肌を
    黒を基調とした服装でくるみ、
    群れることを嫌い
    常に人を避けて行動する女子高生、森野夜(もりの・よる)。

    そして、もう一人は、
    人間が持つ暗黒な部分に惹かれる根っこは森野と同じでも、
    普段は普通の高校生を装う『僕』。

    二人に恋愛感情はなく、
    お互いの趣味趣向が一致しただけの
    ただの話し相手というスタンスで
    物語は進んでいきます。
    (この設定は後に発表された米澤穂信の小市民シリーズの主人公、小鳩と小山内ゆき
    の関係にダブってきます)


    この小説が後続に
    多大なる影響を与えたワケは、
    何よりこの
    変わり者の高校生カップルの行動や理論が斬新だったことに尽きます。

    二人は猟奇的殺人を解明していく探偵役を担いながらも、
    殺人者を見つけても
    証拠品を拾っても
    決して警察を呼んだり
    犯人を捕まえて手柄をあげようとはしないのです(笑)

    あくまでも
    自分たちの興味を満たすためだけに動き
    楽しみ、
    殺人者の心理を読み、
    時にはあえて犯人たちの罠にかかったり、
    主人公の一人である『僕』などは
    ワザとヒロイン森野を
    危ない目に遭わせたりするのです。 


    異常な世界にどんどん惹かれ
    犯罪者の心理と同化していく『僕』と、

    暗黒なものに惹かれながらも
    常に被害者側に立つ思考を持った森野夜。

    この微妙なズレを考えながら読むと
    本当は切ない物語なんですよね…

    勿論、彼らのアブナい趣味にはまったく惹かれなかったけど、
    彼らの心の揺れや痛みには激しく共感したし、
    世間から見れば異端者である彼らのことを
    少しでも理解したいと思ったのも事実でした。


    余韻を残すラストシーンの後
    二人の関係がどうなるのかは想像するしかないのだけど、

    生きにくい世界に絶望し心に傷を持った森野夜が、
    紆余曲折の末、人間性を取り戻し、
    こちら側の世界に戻ってきた駅の改札のシーンは
    エモーショナルに胸を打ったし、
    『僕』への報われない想いに気づいた
    本当に名シーンであったと思います。

    あとミステリーは騙されてナンボです。
    見破ってやろうなんてヤボなこと考えずに(笑)
    素直に物語を楽しむのが一番!


    はっきり言って、グロいし、異常者しか出てこない暗い物語だけど、
    小説は本来一人でコソコソと読むもので、
    不良性があるからこそ惹かれるし、
    タバコや酒などのように常習性があって体に悪くて、
    だからこそ人を絶望から救えるのです。

    僕は今でも、読書は基本『悪徳』だと思っているし、
    学生時代から『毒』を摂取したくて本を読んでいた僕みたいな人にとっては、
    本作が、心に効く劇薬となるのは間違いないと断言できます。


    ライトノベルというジャンルを
    一躍一般人にも分かるように提示した功績や、
    後続のミステリーや漫画作品に
    多大なる影響を与えたという意味でも
    自信持ってオススメできる一冊です。
    (ただし、心が弱ってる人は元気になってから!)


    サクサク読める連作短編が好きな人、
    どんでん返しな小説に飢えてる人、
    ダークなミステリーやダークな青春小説が気になる人、
    人間の暗黒部分に惹かれてしまう人、
    少女小説、ゴス、ネクロフィリア、サイコパス、フェティシズム、ゴスロリファッションなどのキーワードにビビビと反応した人などに
    特にオススメします!(笑)


    https://youtu.be/ocjUZnArtuU

    『GOTH』映画予告
    なかなかいい雰囲気を持った映画でした。
    森野夜をまだブレイク前の高梨臨、『僕』を本郷奏多が演じています。

  • 人の死んだ場所を見に行くのが趣味の僕と死体を見たがる美少女森野夜。異常者を引き付けてしまう夜と異常者を見たがる主人公はすぐに事件に首を突っ込んでしまう。ミステリやらホラーやらジャンル訳が難しい。あえていえばゴシックミステリか。
    もとはライトノベルだったようで若干中2感がある、独特の距離感。構成は流石だなぁと感じるが、パターンがほぼ同じなので、最後の話のオチが読めてしまうのが残念。星2にしようかと思っていたが、最後の「樹」の動機にきゅんと来たので+1。

  • ストーリーは面白いが、主人公の残虐性に感情移入出来ず途中で挫折。

  • 面白かった。ミステリ部分もすっかり騙された(笑
    でも、どうも主人公に共感できないのは、私が歳をとってしまったからなんだろうなあ。高校生のときに読んでたら、カッコいい!!となったと思う。

  • ★2009年15冊目読了『GOTH リストカット事件』乙一著 評価B+
    前に読んだ文庫版のGOTH 僕の章の兄貴分。こちらが、単行本ですから本物?オリジナルなのでしょう。
    6章からなっていて、1暗黒系 2リストカット事件 3犬 4記憶 5土 6声 の構成です。前回の文庫版GOTH僕の章では、それらのうち2リストカット事件 5土 6声だけが収録されていました。今回は、それらを補う形で1+3+4の3章が読めましたからより明確に物語りを把握することが出来ましたが、まだ実はパズルのピースが足りない気がしていて、もう一度読み返す必要がありそうです。珍しいミステリ作品であることは間違えなさそうです。

  •  友人が初めて勧めてくれた乙一作品。すぐには読まず、本作を読んだのは乙一作品の中では3番目か4番目くらいだった。先に読んだのがたしか『失踪HOLIDAY』『きみにしか聞こえない』あたりだったので、作風の違いで少し驚いた。
     当時は見事に中二病を拗らせていたので主人公の残酷さが気に入っていた。今では森野の不器用さが気に入っている。
     叙述トリックも楽しい。読み進めるうちに今度は騙されないぞと身構えて読むようになっていったけれど、結構な確率で騙された。もう何度も読み返して話は分かりきっているのだけれど、乙一先生はやっぱり叙述トリックが上手いな〜と思いたい時はこの本を読み返す。

  • すごくおもしろかった。
    残酷な描写が多いけれど主人公と森野さんの人の良さ?がすべてをカバーしてくれてる気がする。ふたりともとっても好きになりました。

    10代の高校生の多感な時期に読んでいたらもっと陶酔していたかも…と思うともっと早く読んでいたかった。大人になってしまったけど今この本を読むことができてよかった。

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著者プロフィール

乙一(おついち)
1978年福岡県生まれ。山白朝子(やましろ あさこ)、中田永一(なかた えいいち)の別名義で執筆する小説や、安達寛高(あだち ひろたか)という本名名義で脚本を記すこともある。
1996年に『夏と花火と私の死体』で、第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞してデビュー。
2003年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞受賞。2012年、『くちびるに歌を』(中田永一名義)で第61回小学館児童出版文化賞。
代表作として、映画化もされた本屋大賞ノミネート作『くちびるに歌を』のほか、『暗いところで待ち合わせ』『きみにしか聞こえない CALLING YOU』『失はれる物語』などがある。作品の多くが漫画化、映画化された。

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