聖なる黒夜

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 669
感想 : 137
  • Amazon.co.jp ・本 (676ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048734110

感想・レビュー・書評

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  • 重々しくて濃厚。前半はもう練がかわいそうで見ていられなかったけど、中盤以降、その裏や過去が語られたときに、彼の本当のタフさを知った。悲愴を背負いながら、賢く、魔性であるから魅力的。泣き虫なのに口が悪いってのもいい設定。また、麻生の情熱家っぽくも飄々としてたり、優秀なのに終始悩みっぱなしのところはたまらないね。主要人物のキャラの立ち方は半端ない。他にも、人間同士の絡みがすごくいい。麻生の警察サイドも、練のヤクザサイドも、初めはメモ取りながら読むほど、人物相関が面白くてしょうがなかった。

  • 悪魔のように悪賢く、美しい男妾あがりのヤクザ…それが、十年振りに麻生の前に現れた山内の姿だった。十年前の気弱なインテリ青年はどこに消えたのか。この十年の間に何が起こったのだ?新宿を牛耳る大暴力団の幹部・韮崎誠一惨殺事件を捜査する麻生は、次第に過去に追い詰められ、因縁の波に翻弄されて暗い闇へとおちていく…。愛と宿命に操られた者たちの果てしなく長い夜。人間の原罪を問うて、深い感動を呼ぶ傑作。
    「BOOK」データベース より

    このシリーズはここから入った.2段になっていて、分厚くて耐えられるのか?自分、と思ったが杞憂に終わった.
    人が人を裁くということの難しさ、危うさ、人を愛するときに性別はほんとうに問題なのだろうか、そんなことを深く考えた.

  • RIKOシリーズに繋がる一冊。
    ここでは春日組のブレインとなった山内練と麻生警部とのいきさつが語られる。
    純真な青年だった練が罠に嵌められて犯罪者となり、変貌を遂げる様子が・・・
    麻生と練の恋愛小説?!

    悪の化身みたいな練に惹かれる人には熱狂的に読みたい作品。

  • 1995年という昭和の雑多な世界が残った世界。多角関係と愛憎を、深く描きながらとミステリーとしても秀逸です。
    一筋縄ではいかない憎悪や執着、それを愛と呼ぶ人々。久しぶりに心揺さぶられる作品に出会いました。

  • 昔読んだ本

  • 面白かった。この本で、柴田よしきさんを知り他の本を読み始めた。文庫本にサイドストーリーがあることを知り、それも読みたいと思う。

    悪魔のように悪賢く、美しい男妾あがりのヤクザ…それが、十年振りに麻生の前に現れた山内の姿だった。十年前の気弱なインテリ青年はどこに消えたのか。この十年の間に何が起こったのだ?新宿を牛耳る大暴力団の幹部・韮崎誠一惨殺事件を捜査する麻生は、次第に過去に追い詰められ、因縁の波に翻弄されて暗い闇へとおちていく…。愛と宿命に操られた者たちの果てしなく長い夜。人間の原罪を問うて、深い感動を呼ぶ傑作。(アマゾンより)

  • 予備情報がまったくなく、サスペンスの名作とどこかで見たので読んでみました。色々な意味で想定外でした。

    麻生と山内の絡みを当初から読んでいてからこれを読んだら、だいぶ感想が変わるでしょう。出直してきます。

  • 練と麻生の間にそういう事があったのね~…。
    そしてこれからこの関係性の中に、緑子が入ってくるってわけか…。
    世間は狭いというのが如実に表れるこの作品。
    あぁ、犯人はやっぱりあの人か~とか、麻生の奥さんの相手はひょっとしてあの人か?とか、わかってしまうものだった。
    でも世間て本当に狭い。
    ーーーーーーーーーーーーーー
    内容(「BOOK」データベースより)
    悪魔のように悪賢く、美しい男妾あがりのヤクザ…それが、十年振りに麻生の前に現れた山内の姿だった。十年前の気弱なインテリ青年はどこに消えたのか。この十年の間に何が起こったのだ?新宿を牛耳る大暴力団の幹部・韮崎誠一惨殺事件を捜査する麻生は、次第に過去に追い詰められ、因縁の波に翻弄されて暗い闇へとおちていく…。愛と宿命に操られた者たちの果てしなく長い夜。人間の原罪を問うて、深い感動を呼ぶ傑作。

    内容(「MARC」データベースより)
    東日本連合会長春日組の大幹部・韮崎が、高層ホテルのバスルームで殺害された。現場へ駆けつけた捜査一課の警部・麻生の目の前に、十年前自らの手で逮捕した山内が現れた。気弱な大学生だった山内は韮崎の片腕になっていた-。
    (Amazonより)

  • 柴田よしきさんを初読み


    2段の670ページで読み応えあり。
    登場人物が多いが、みなストーリーに絡みあってる
    読み進むにつれ関係が深く見えてきて
    ほどけてくるのが面白かったが

    堕とされる、堕ちていく人だらけー
    なんか重ーい読後感
    そう感じる人間描写が凄いってことだけどね。


    山内練、麻生龍太郎

  • 柴田よしき氏の『聖なる黒夜』を読了。別にこのタイトルだから読み始めた訳ではないのだが、この間ブックオフで見つけた本作をちょうどこの連休始めに読み始め、今日やっと読み終わった思い長編だ。

    まず読み終わっての感想だが今年読んだ小説の中で一番のめり込めた小説という事だ。上下段組で670ページ強とかなりの大作ではあるのだが飽きて読み進むのがつらいという部分がほぼなかったといえるくらい熱く緻密に書き進められていて、読む方も練り込まれたストーリーにぐんぐん引き込まれあっという間に読み進む事が出来るという作品である。

    内容はというと犯罪に絡んだ警察サスペンス小説といえるだろうが、佐々木譲氏の作品や今野敏氏の警察物とは全く違ったとってもダークなというかいままで警察小説では読んだ事のないえぐい生々しいお話が展開されるのが特徴だ。

    例えば主人公はノンキャリアでありながらも捜査の天才と言われる(オブケと隠語で呼ばれる)警察幹部なのだが、彼がバイなのかヘテロなのかがわからなくなるような彼が剣道の世界であこがれていた先輩(警察内では別部署であるが位が下にいる微妙な関係)との男同士の駆け引きが物語を面白くしている。また事件の天才と言われる彼が唯一犯した過去のえん罪事件により刑務所に行き人生に絶望した男がやくざとつきあいながら経済ゴロとし暗躍するのだがその男と主人公のあやしい絡み。それらの男同士の物語の伏線として語られるそのえん罪事件により刑務所に行った頭脳明晰な男が巻き込まれる男だけの非日常の性の世界などなど冷静に読まないとちょっとどぎつさに物語の筋を読み間違ってしまいそうな世界がつぎつぎと展開されるので、人によってはそのえぐさにやられてしまいサスペンス構成の素晴らしさを見失う人もいるかもしれないが、個人的には素晴らしいサスペンスがく組み上げられていると感銘を受けた。

    逆に感じたのが、そういったえぐい表現の中に巧く組み込まれている、普通に人間が生きて行くなかで出会う不条理だけれども運命かもとおもえる出来事や人間関係の中で人はどうやってその現実に意味を見いだしたり、あきらめたり、絶望したりするかという人間の様々なありようを登場人物それぞえに見事に演じさせているのが素晴らしいところだと思えた。

    そんな人のダークサイドに光を当て、正義とは、正しい裁きとはということを考えさせてくれる良質なサスペンスを読むBGMに選んだのはKeith Jarettの"Tokyo 96 ".
    随分昔の録音なのに瑞々しいなあ。

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著者プロフィール

東京都生まれ。1995年に『RIKO─女神(ヴィーナス)の永遠』で第15回横溝正史賞を受賞し、デビュー。以来、ミステリーをはじめ、あらゆるジャンルで精力的に作品を発表し続けている。著書に『ゆび』『ふたたびの虹』『竜の涙 ばんざい屋の夜』『観覧車』『貴船菊の白』(祥伝社文庫)『さまよえる古道具屋の物語』「お勝手のあん」シリーズ他多数。

「2023年 『ねこまち日々便り(下) ひとも来た編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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