静かな黄昏の国

  • 角川書店 (2002年11月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784048734219

作品紹介・あらすじ

「終の住みかは、本物の森の中にいたしませんか?」終身介護施設の営業マンの言葉に乗り、森や自然に囲まれた家に向かったさやかたち夫婦だったが・・・。表題作「静かな黄昏の国」を含む珠玉の作品集。

みんなの感想まとめ

多様なジャンルにわたる短編・中編が収められた作品集は、ホラーやファンタジー、SFの要素が巧みに織り交ぜられ、読者を引き込む魅力を放っています。特に表題作は、経済大国の面影を失った日本の未来を描いたディ...

感想・レビュー・書評

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  • ホラー、ファンタジー、SF、様々なジャンルにまたがる8つの短・中編。

    「小羊」はカズオイシグロの「わたしを離さないで」を彷彿とさせる設定だが、カズオイシグロより7年も前に書かれているということに驚く。

    圧巻だったのは表題作。
    経済大国の面影を失くし、膨大な老人を抱え、アジア諸国に取り残された老小国日本の姿を描いたディストピア小説。
    今から25年ほど前に書かれたこの作品は、急速な産業の発展に起因する環境破壊が進み、超高齢化した日本が行き着く未来の姿を不気味に描きだす。
    謎の感染症によるパンデミックを描いた「夏の災厄」もそうだったが、篠田さんの預言書のような小説は怖すぎる。

    終始どんよりとした気持ちでなかなか進まず、暗い気持ちでやっと読み終えました。

  • 「平成怪奇小説傑作集1」で気になった短編が表題作の本。面白かったです。
    不思議…怖い、というよりゾッとするお話。
    表題作も今回も面白かったですし、「リトル・マーメード」「刺」「子羊」が好きでした。
    「刺」はやっぱり40過ぎた女性は強くて良し!となりました。埋まってた白いの、なんだろ……。
    「子羊」は「わたしを離さないで」みたい(ネタバレ)だけど、外の世界があれより過酷で、「神の子」の育て方が本当に純粋培養みたいで良かったです。
    表題作はディストピア感がとても好み。主人公、浅田、平林…どの妻みたいな最期を選びたいか。短編ですが広がりのある作品でした。

  • 近未来の短編集かな?グロテスクで未来のない暗いものが多かった。好みじゃないけどインパクトは強かった。楽器を弾くための体に変化してしまう話、臓器移植の話、バカにしていたゲームに取り込まれてしまう話等々。一番印象に残ったのは、世間から隔離され文字も知らずテレビもなく育てられる娘たちの悲しい末路が書かれた「子羊」。私はイヤミスよりも行き着く先は「死」しかない話がダメみたいで、この本はまさしくそんな本だった。

  • 魚介の苦手な私には直球なグロさでした、チビ人魚の踊り食い(≧∇≦)

    臓器移植用クローンの「子羊」は、イシグロ筆頭に幾つも似たような世界設定の話あるよなーと思ったら、コッチが既に10年以上も前の話だった。

    そこ行くと表題作は、終焉ビジネスモノの一つだけど、「生活維持省」やら「自殺パーラー」やら「タナトスパレスホテル」やらとは一線を画す、はるかに現実的な設定で、背筋ヒヤリとさせられる。

  • 日常に潜む怖さ、不可思議な現象、少しSFっぽい話など、収録作品恐怖小説全8編のバリエーションは様々、「引き出しが多い」という感想。

  • どの話もオチは読めるんだけど、狂気の向こうにある世界にひきつけられる。救われるために人は狂うのかもしれないと、甘やかにすら感じる。

    特に好きなのは「リトル・マーメード」と「子羊」

    驚くべきは表題作。初出は1996年だそうだが、東北大震災後に書かれたと思わずにいられない内容。『ブラックボックス』でも感じたが、この作者さんの書く恐ろしい世界は、日本の未来なんじゃないかと錯覚しそうになる。
    短編にしておくのもったいないぐらい。

    「リトル・マーメード」「陽炎」「一番抵当権」「エレジー」「棘」
    「子羊」「ホワイトクリスマス」「静かな黄昏の国」

  • 表題作、原発事故の風刺かと思いきや1996年発表の作品だった。そんな時期からこういう未来を憂いていた人がいたことに驚くと同時に、その未来が現実味を帯びてきたことに恐怖を感じます。

    『子羊』これまた…ありえなくはない未来。ありえなくないところが恐ろしい。

  • 篠田節子は面白い!本当に面白い。そして、うまい。これだけバラエティに富んだ題材を、どれも見事に仕上げるその手際の良さといったら、もう脱帽でしょう。この本でいったら、まず「リトルマーメイド」と「小羊」「ホワイトクリスマス」が大傑作。普通の日常から闇の世界へ滑り落ちていく過程の描写が本当に見事。そしてそして、「静かな黄昏の国」が1996年に書かれていたこともまた衝撃なのです。。。

  • 恐い系の短編8話。

    リトル・マーメイド
    ちょっと気持ち悪い。恐怖小説というよりは、気持ち悪い小説。

    陽炎
     陽炎の意味がよくわからないうちに終わってしまった印象。

    一番抵当権
     一番すっきりした作品。そうだろうねという共感。
     一番いろいろしてもらったのだから、それくらいは当たり前。

    エレジー
     最初は中に、電子楽器が入っているのかと思った。エレジーの意味がわからないと想像ができないかも。

    刺(とげ)
     サボテンの刺。サボテンが嫌いな人は好きになれないかも。

    子羊
     人間の複写(クローン)。少年がなぜ少年のままなのか謎かも。

    ホワイトクリスマス
     結末は想定外。その意味で推理小説といえるかも。
     ゲームのノベライズ。ゲームに嵌っていく。

    静かな黄昏の国
     核廃棄物と人間の寿命に関する、真に恐い話。

  • 表題作の時代までは、幸いにも生きてないと思うが

  • 図書館で借りる。

    SFともホラーとも読める、
    ちょっと怖い短編集。

    風刺が効いている。

  • 短編集ちょっとホラー気味その中に美しさもあるのでファンタジー風味も入ってるかな読後の後味の悪さがひっかかりますそれが持ち味とも言えますが・・・その「ちょっとホラー」の部分がしばしば生活に食い込んできて・・・う〜ん

  • 「リトルマーメイド」「陽炎」「一番抵当権」「ホワイトクリスマス」
    「エレジー」「刺」「子羊」「静かな黄昏の国」

    設定とか雰囲気が面白い。中々先が読めない感じが楽しい。
    でも一話読むのにパワーが要る。幻想ホラー。

  • 日本の将来に対して警鐘を鳴らすかのような表題作が恐ろしい。だって未来の日本がこういうふうになっている可能性、ないとは言えないもの。また、こういうテーマの作品は他にも少なくないけれど、荒廃しきった世界と、優しく穏やかな「終の住みか」との対比があまりに見事で美しい。そしてこういう状況に置かれたら、私もきっとこの「終の住みか」を選ぶだろう、と思った。たとえその正体を知ったにせよ。
    他の作品も、じわじわと静かな恐怖を感じることができる。全体的にはバイオホラーっぽいのが多いかな。しかし「ホワイトクリスマス」にはやられたなあ。たしかに怖かったのに……ラストで思わず爆笑。

  • 短編集。この著者ならではの奇抜なテーマがホラー的。ありえなくもない現実・近未来な舞台と結末に考えさせられる。

  • 現実と虚構が入り交じったホラー短編集。

    >リトル・マーメイド
    ペットブームの行き着いた先は、突然変異で現れた小さい人魚(のかたちをした生き物)!小さいんだけど確かに人魚の形をしていて、そしてエロチック。食べちゃいたいほど可愛いのだ!
    ある日、人気が可愛いあまりに本当に「食べちゃった」人があらわれて…??
    ペットからゲテモノ食いのために!
    末路が怖いね。

    >一番抵当権
    893でも出てくるのかな?銀行マンの話かしら?
    確かに893は出てくるし、主人公は抵当権が設定されていたために家を持っていかれそうになる。そこで逃げるためにある人にある意味すごく安全な方法で匿ってもらうのだが…?
    タイトルの意味に気づくとともに、やはり女は恐ろしいと感じた。女は見た目恐ろしいやつもそうでないやつも、根っこが怖いんだよ!この作品に限らず彼女は女特有の執念をよく描けていると思う。
    もちろん保証人になることも滅茶苦茶恐ろしいけどな!!


    >静かな黄昏の国
    表題作。
    21世紀後半、環境破壊が進み、アジアの最貧国に転落した日本が舞台。
    どれだけ日本が貧しいかというと。
    栄養を配合されたサプリ?みたいなものを食べて生きている。安全な食材などとうの昔に消え去った「料理?昔やったね」といった感じか。そしてそのサプリも実は、インド人の食べ残しから抽出した「栄養」であった……
    寝たきりになったら植物人間状態で生き続けなければならない。
    そんな日本で、ある老夫婦が「自然な住処で終身自然な老後を送ろう」という施設に入所する。
    なんと野菜が残っているぞ!自然がある!
    だがこの自然の実体は………????


    5,6年前に一度読んだのだが、この話はあまりにもインパクトが強かった。再読してもなお、怖い。
    ラストは読みなおしてみるとちょっぴり「ありふれた」感じはしなくもないが、物語全体が怖い。
    アジアの最貧国・日本の様子がリアリティー溢れ、またどれだけ惨めになっているのか。今は何だかんだ日本はとても恵まれていて、それを当たりまえに感じるけど、実は永遠に続くわけではないんだよね。
    その「繁栄」が、やがて不自然な歪んだ世界を作り出す…



    今まで読んだ篠田節子の短編集の中でも1、2位を争うほど好き。これは完成度が高いし、外れ作品があまりないのでは。特に表題作。筒井康隆を上品にした世界観…といった感じかなぁ?(笑)

  • 短編集連チャン。けっこうどれも怖いっていうか、なんかいい意味で読むのがしんどくなる。表題作怖えぇ。

  • 短編集です。やっぱりうまい。また食べたくなるんだよね。

  • 短編集。SF的な内容です。この人の書く作品はイヤーなところを突いてくれるので、ジワジワ怖いです(笑)

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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