ブレイブ・ストーリー(下)

著者 :
  • 角川書店
3.73
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本棚登録 : 2958
レビュー : 254
  • Amazon.co.jp ・本 (659ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048734448

作品紹介・あらすじ

さまざまな怪物、呪い、厳しい自然、旅人に課せられた苛酷な運命が待ち受ける"幻界"。勇者の剣の鍔に収めるべき五つの宝玉を獲得しながら、ミーナ、キ・キーマらとともに「運命の塔」をめざすワタル。先を行くライバル・ミツルの行方は?ワタルの肩にかかる"幻界"の未来は?そして、現実世界で亘の願いは叶えられるのか-。息を呑み、胸躍る数々の場面、恐ろしくも愛らしい登場人物たち-。物語の醍醐味がすべて詰まった圧巻の2,300枚。

感想・レビュー・書評

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  • 子供向けファンタジーの金字塔というには血腥い事件が多すぎる。

    血が流れること自体がファンタジーらしからぬ、と言うつもりはない。
    『はてしない物語』ではバスチアンがアトレーユを刺したし、
    『ゲド』でもテナーは血腥い儀式をしていた。
    『指輪物語』でもフロドの指は食い千切られる。
    でも、これらの物語は、それでもファンタジーだ、と思う。

    幻界に現界のものを持ち込んではいけない、なんて言いつつ、
    一番持ち込んでいるのはこのストーリーの組み立て方じゃないんだろうか。
    まぁそこは、幻界と現界つながってて似て非なる物、なんて言い分けが設定としてあるわけだけども。
    宗教戦争、殺人事件、汚職、差別…現実のことが、単純にファンタジーの形を借りて
    違う形でただあるだけで、「どこもそんなもん」ってもっともらしくまとめているけど
    幻界には幻界という世界があり、幻界の日常がある。そこに厚みを持たせてくれないと。

    ところどころじんとくるところが無いわけではないが、
    それを忘れるほどにえ?と思うことがある。
    父とその不倫相手にそっくりな人を殺してしまうとか、(幻覚らしいけど)
    司教を殺してしまうとか(間接的にだけど)
    小学生が。それもワタルという所謂いい子が。
    で、気に病んでる描写はあるもののそれだけだ。
    更にミツルなんて…だし。いくら現代の子供が、人は死んでも生き返る
    と思っているとしても、いくらなんでもこれはなあ…と思う私は性善説なのか?
    真っ当な人間なら、人の大量な血を見ただけでもっと動揺してもいいと思うんだけど…。
    コナンくんや少年探偵団が、毎回死体を見つけても冷静なのと同じか?(笑)
    でもだとしたら、やっぱりファンタジーじゃなくミステリーじゃないのか。
    そういう区分けにこだわるわけじゃないけど、ファンタジーというものに
    自分が思い入れがあるせいか、宮部さんがというかこれを持ち上げてる周りに
    不快感を感じる。
    ファンタジー要素は全て借り物で、現実世界のことを、ファンタジーの設定で
    いろんなゲームとかお話の切り貼りで、出来ているような気がしてしまう。

    それに、ミツルに先を越されそうだからってあっさり旅を諦めるというのが
    理解不能で、
    三人の落ち込みもカッツの語りにも感情移入が出来なかった。
    先越されそうだからって、どっちが人柱か関係なく、宝玉捜すだろう。
    探せばお母さんにまた会えるんだし。人柱になるなら尚更でしょう。

    カッツを殺してロンメルさんが人柱なのも意外だったし、
    (ロンメルのカッツが生まれ変わって云々って言い草は感動したけど)
    ミツルもだし、なんで幻界にミツルの妹が迎えに来るんだろうって疑問。
    それにワタルのお願いも、あれでよかったのか…。

    話が逸れるようだけど、私は宮沢賢治が大好きだ。
    でも一点相容れないなと思うのは、「世界全体が幸福でないうちは…」ってやつ。
    だって、すべての人がみんな幸せな状態って、理想だけれどありえないもの。
    田中理香子と三谷明と、ワタルとワタルのお母さんの幸せは両立しない。
    自分の幸せが誰かの不幸と表裏一山一体になってることはある。
    実はそんなのばっかりかもしれない。
    そしたら、この四人が少なくとも同時に幸せになることはない。
    少なくとも、平穏無事に家庭生活を、ということが四人の幸せなら。
    お母さんか理香子と三谷明が諦める、譲歩する、ということが必要になってくる。
    だから単純に女神様の前で、みんなの幸せを、僕に力を、とは確かに
    ワタルは願えないのかもしれない。
    だけど、未来を、というのも同じ位抽象的にも思える。

  • 物語を飲み込むということをしている。
    友だち「だから」愛するひと「だから」その行動を問う、のではなく、友だち、愛するひと「であっても」その行動を問わなければならない、というふうな受け取りができたことがなんとなく気づきと感動。

  • 上巻を読むときよりもペースが速い速い!
    展開も早いし、どんどん世界に浸かっていってめくるのも早い。
    こんなにも後半になって盛り上がった本はなかなかないかもしれません。
    そして内容が実に深い。
    ただの冒険小説だと思って読み始めた私ですが、読み終えて自分の人生を振り返り、考えるに至りました。
    考えさせられる、身に刺さる言葉の数々。
    もっと早く出会えてたら、せめて学生の頃に!と思わせてくれる素晴らしい作品でした。

  • 全ては、自分のココロの中の葛藤が生み出した世界か。こんなものがたりを書ける創造力は凄い。

  • 話は楽しくてどんどん読み進めたけど、残りのページに対しての展開が意外とゆっくりで、こっちが不安になってしまった。笑
    というわけで、最後の展開が前半に大してトントン進みすぎて、読了感がいまいちだったかな…ストーリーは楽しめたけど。
    あと下巻を読みはじめて、これ前に読んだことあるなと確信しました。笑
    オチ覚えてなかったので初めて読むみたいに楽しみました。笑

  • 読んでる間は「厚い・・・長い・・・長い・・・あっ・・・手が痛くなってきた・・・」ってなってたんですけど、読み終わったあとの心地よい疲労感と虚無感がたまらなかったです。長い!厚い!しかも上下!?と思っていたからこそ、知らないうちにこの世界にどっぷりとはまっていたらしい。あ~終わっちゃったんだ~・・・っていう寂しさで数日は私生活に支障をきたすレベルでほかの本に手がつけられませんでした。
    子供に読ませたいのでいつか購入して家の本棚に並べます。

  • 読んだのはもうだいぶ前ですが、
    「どうしてもいきたかったんだ」はいま思い出してもしんみりとしてしまうぐらい、心に響きました。

  • 小学5年生にしては言動が幼いくらいだったワタルが
    冒険の最後には実年齢よりさらに5歳くらい
    一気に大人びた感じに。

    他の旅人ミツルの、香織の、
    それぞれの物語は語られていないので
    どうして結末でそうなるのかしっくりこず、
    ちょっとしたモヤモヤ感が残る。

    ワタルにしたって、たとえ人生は
    気の持ちようひとつといったって
    序盤であれほど辛かったはずの現実が
    最後には何の波乱もなく収束していくのには違和感がある。

    すごく良いことを伝えようとしてくれているのに
    なんだかすんなりと胸に染み渡っていかないのは
    自分がすっかりひねくれた大人になってしまっただろうか。

  • 穏やかな生活を送っていた少年ワタルに、両親の離婚話がふりかかる。そしてあることをきっかけに運命を変えることのできるヴィジョン(幻界)へと旅立つことになる。
    同じ世界は旅は出来ない筈であるのに、同じ世界のもう一人の旅人であるミツルは時に助け合い、反目しあいながら旅を続ける。そして、二人が対峙するシーンが切なかった。人柱のシステムはやはりちょっと無くなって欲しいと願わずにはいられない。
    現実世界での"ミツル"が転校した――とあったが、本当はどうなったのか、少し気になった。ワタルはいつか幻界のこともミツルのことも忘れてしまうのだろうか。そうだとしたら寂しいと思う。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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