- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048734790
作品紹介・あらすじ
この世界は、人類は「神」と呼ばれる知性体のシミュレーションなのではないか? 人工知能学者である兄の行方を追ううちに、妹・優歌がたどり着いた世界の真相とは!? 山本弘が放つ、長編SFエンタテインメント!
感想・レビュー・書評
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超常現象、オカルト、宗教などの実例を物語に絡めつつ、神とはいったい何者なのかを追求するSFストーリー。圧倒的な情報量!知識欲をこれでもかとくすぐられるので、うんちくが好きな方は大いにハマりそう。物語で解き明かされた神や世界の真実、SFの仕掛けもワクワクさせられた。発売は2003年で、その時から現在を予見しているような描写もたくさんあってそれも面白かった。
「神とは何なのか」という問いとともに、「人はどういうものを信じようとするのか」というテーマも深掘りされていて興味深かった。読み終わった後で序盤の校長先生の言葉を思い返すと感慨深い。
「嘘は強い。ひとたび成功した嘘、多くの支持者を獲得した嘘は、真実が暴露されたぐらいで揺らぐものではない。何年、何十年でもはびこり続けるのです。それに対して、真実はなんとも弱く、はかない。」
「ですから、もし本当に子供たちに社会の中で成功するすべを身につけさせようと思うなら、学校は嘘の大切さを教えるべきなのです。嘘がいかに強いものなのかを、嘘をどのように使えばいいかを教えるべきなのです。嘘を武器に使う者の方が勝てるのですから」
「しかし、そんなことはしません。学校ではそんなことを教えません。私たちはあなたたちに真実を教えようとしています。真実を守ることを教えようとしています。たとえそれが不利と分かっていてもです」
これは優歌が最後に手に入れたあの思いにも通じるように感じる。
登場人物では大和田さんがお気に入り。加古沢が純粋に突き進む邪悪なら、大和田は悩み歩く善人という印象。彼の言葉はどれも学びがあって好き。
「超常現象というのは、まず人間の信念が先行する。現象があるから信じるんじゃなく、みんなが信じるから現象が起きるんです。」
「その迷いを忘れてはいけませんよ。確信を抱くのがいちばん危ない。常に『自分は間違ってるんじゃないか』『論理ではなく盲信で動いてるんじゃないか』と問いかけることです。自分が間違ってる可能性を探すこと。それが道を誤らないための唯一の方法です」
自分の正しさを疑わない人ほど、無自覚に他人や自分を傷つけてしまっている気がする。信念を訴える前に事実を検証して考えることの大切さを知ることができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まずこれ以上あり得ないほど面白い。
理系の人読んでみ。射精すっから。
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お兄さんのショックっぷりが理解できなかった。読み込みが足りないのかな
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小説
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神は沈黙せず
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南京大虐殺に触れている部分は勉強不足で良く分からなかったが、右寄りの人を論破していく体をとる
うーん、自分の知っていることと違うが判断できない -
非キリスト教徒がクリスチャニティにおける絶対者を描くと、やっぱりそれは「考え方が完全に異なるだけの人間」にしかならんのだなぁとか。
福田恆存のいふ「絶対者」は、イノベーションを保障するが、こっちの神様も進化を促すなんぞなのだが、でもなんか、うーん。
作中登場する、「へんな歌が謎周期でヒットする可能性」について、そこそこ面白いと思ってゐたが、後その周期みたいなものの誤差の範囲の辺に、『おしりかじり虫』といふ歌が空前のヒットをした。あーうー。 -
序盤。宗教に対して常日頃感じている疑問をしっかりと言語化してくれて気持ち良い。新興宗教の事件のくだりなども細部までリアリティを感じた。
一方で微妙に超常現象らしきことも起きており先が気になる。神の実在について救いの無い結論が導き出されるのだろうと期待できる。
中盤、超常現象事例を大量に並べ立てている箇所があるが、これの長さは半分以下でいい。何ページもずっと続くのでうっとおしすぎるし、主人公が延々と自説補強しつづける面倒な人間に見えてくる。
あと、遺伝的アルゴリズムはそんなに万能ではない。実際の生物進化と遺伝的アルゴリズムとは別のもの。ラストはもう少しねっとり書いても良かったのでは。ちょっとあっさりすぎてご都合主義ではないが近い印象を受けてしまった。
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