レオナルドのユダ

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 81
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (502ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048734882

作品紹介・あらすじ

神に選ばれし万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。彼を取り巻く人々の目を通してその叡智と孤独を描き出す、著者渾身の大作。

感想・レビュー・書評

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  • イタリア・ルネサンスの天才芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519年)の後半生に、貴族の御曹司フランチェスコとその従者ジョバンニ、レオナルドの才能に嫉妬する修道士パ-オロ-を絡め、目くるめく幻想の筆致で謳いあげたレオナルド追憶の異色作。レオナルドが世を去った後、寵愛を受けた弟子サライとの秘密めいた関係が詮索され、「聖ヨハネ」や「貴婦人の肖像画〝モナリザ〟」のモデルの謎と絡み合う。レオナルドを師と仰ぐジョバンニは、「最後の晩餐」の使徒ユダと同様 “不肖の弟子”と自身を悔悛し、師を偲ぶ姿が痛ましい。

  • 6/18 読了。

  •  ここまで人は人に魅入られるものなのか、最初から最後までダ・ヴィンチ讃歌に満ち満ちた物語。
     彼の絵画の素晴らしさを中心に、後に弟子となる貴族の息子フランチェスコと彼に付き従うジャン。二人の成長を追いながら話は進む。
     タイトルからもっと謎解き的な進み方をするのでは、と考えていましたがそんなことより何よりダ・ヴィンチは素晴らしいんだ!と彼に魅入られたフランチェスコとジャンの賛辞に次ぐ賛辞、モナ・リザのモデルに対する答えはなるほどと思いましたが、「ユダ」に対する謎解きは謎?というより考え方、気持ちの問題でちょっと肩すかしな感じが否めません。
     ただ、褒めちぎるだけの話をそれなりに読ませるのは、作者の力量と愛の成せる業ですね。

  • 随分前に一度図書館で借りて、期限内に読み切れず再度トライ。
    好きな時代の好きな話なんだけど・・・今一つ好きになれない。
    チェーザレも出てくるし、レオ10世も出てくるし、かなりどんぴしゃな筈なんだけど・・・。
    主人公というか狂言回し的役割のジャンのことがイマイチ好きになれないからかな?
    というか、今一つ誰にも感情移入できないからか、今一つのめり込めず。

  • 読みにくいし疲れた。この前読んだレオナルドの話より後のこと、もうすこし、サライの話を読みたかった。

  • レオナルドダヴィンチについて書かれた本。
    彼はどの分野にも優れていた。
    天文学、医学、もちろん美術にも。

    それはまさしく彼の飽き足りない知らないものを知りたい
    という好奇心からくるのではないのだろうか。

    すべての行動は好奇心からくるものであり、
    それを表現さらには行動できるかで人というものの
    魅力がどんどん高まり、それに着いて行きたいという
    人がその人の周りに現れるのだろう。

  • 凡人が凡人であることの苦しみは、おそらくそれを自覚できる非凡さ故かもしれない。
    もっとも思考を追いやすかったのはジャン、もっと知りたかったのはサライ。
    絶対的な美の前にはすべてがひれ伏すという幻想を、偶に本気で信じたくなる。

  • 独特の耽美的な文でくりひろげられる、雰囲気のある小説。ダ・ヴィンチと、彼が後事を託した弟子メルツィとの関係を、主にメルツィーの下男からの視点で綴られている。最後の晩餐についての、イエスとユダの関係をレオナルドと自分に置き換えたジョヴァン二の述懐が印象的。メルツィーはヴァザーリに、ワザとモナリザの眉について言及する。ヴァザーリは、眉について書き残したことから、実際にモナリザを見ていないというのが現在の定説。でも、最新の調査では、昔は眉が描いてあったらしいんですよね。

  • モナ・リザや最後の晩餐などの絵画、人体解剖による人体組織の解明、綿密な自然観察から考案した飛行機械など、芸術、科学の分野で様々な功績を残した万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。
    領土拡大をもくろむ支配者層の間で繰り返される戦争や、町を飲み込むペストの流行など、華やかなルネサンスの息吹をもかきけしてしまうような時代の流れの中で、偉大な「師匠(マエストロ)」とその弟子たちの愛憎を描いた歴史サスペンス。

    意外とイメージになかったダ・ヴィンチその人の人物像が、あらゆる角度から描き込まれていて、そのあたりは収穫かも。
    ただ、サスペンス仕立てなのに、イマイチすっきりしない。
    語り手の登場人物の感情がむきだしすぎて物語の輪郭がぼやけた感あり。
    なんだか消化不良の読後感でした。

  • チェーザレ方面の興味がわき道に逸れてこっちへも飛び火しました(笑)
    そしたら作品中に「ヴァレンティーノ公の外套」が出てきたからびっくりしちゃいました。
    ま、在ってもしかるべしよね。

    師を誰よりも愛しながら破滅へ導く弟子、ユダ。
    ダヴィンチの『最期の晩餐』はユダを画面に配したという点で絵画史上でも画期的な作品だそうです。
    ユダといえば太宰治の『駆け込み訴え』が浮かぶのですが、本作のユダは誰なんでしょう?
    天才の名をほしいままにした万能人レオナルド・ダ・ヴィンチに魅せられた人々の回想で構成されており、唯一彼の魅力に歯向かおうとするパーオロの足掻きっぷりがこの作品の魅力のひとつとなっています。
    実際彼が居なかったら物語りは収束しなかったし。
    絶対者なんて居ない、万能人なんていない、自分が尊敬するあなたを超える人なんていない―――
    否定したい気持ちと類まれなる才能は才能と認めなければという理性・知性のせめぎあいがなんとも文化人の懊悩を表わしているように思います。
    後の登場人物はパーオロの為の引き立て役といってもいいのではなかろうか。
    小さな嫉妬、いがみ合いはあるけれど師の前には等しく突出した弟子は一人も存在しなかったのだから。

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著者プロフィール

1948年生まれ。版画家。日仏現代美術展でビブリオティック・デ・ザール賞受賞。『時のアラベスク』で横溝正史賞を受賞しデビュー。著書に『この闇と光』、『一八八八 切り裂きジャック』(角川文庫)など。

「2019年 『最後の楽園 服部まゆみ全短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

服部まゆみの作品

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