裸者と裸者 上

著者 :
  • KADOKAWA
3.63
  • (28)
  • (18)
  • (52)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 187
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048735575

作品紹介・あらすじ

金融システムの崩壊と経済恐慌と財政破綻があった。打ちのめされた貧しい階層、社会的弱者、出稼ぎ外国人、市場競争の敗北者の群が路上に放り出された。海の向こうでも悪夢が現実のものとなる。中国の中央政権が倒されて、各軍管区が覇を競い、二自治区が独立を宣言。またほぼ同時期に、ロシアではサハリン油田の富を背景に極東シベリア共和国が誕生し、一気に大動乱の時代が到来した。戦禍に苦しむ大陸の民が、日本を平和で裕福な社会と見なして海を越え始めた。国軍は領海に入った難民の船をつぎつぎと撃沈した。それでも大量の難民が砲火をかいくぐって沿岸に漂着した。食糧暴動が頻発して治安の悪化は極限に達した。応化二年二月十一日未明、「救国」をかかげる佐官グループが第一空挺団と第三十二普通科連隊を率いて首都を制圧。それに呼応して、全国の基地で佐官が率いる部隊が将官の拘束を試みた。小戦闘、処刑、新しい司令官の擁立があった。同日正午、首都の反乱軍はTV放送とインターネットを通じて「救国臨時政府樹立」を宣言。国軍は政府軍と反乱軍に二分した。ゆるやかに破滅へと向かう、世界と日本を予言する、大問題作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なんでまた打海文三氏の作品に手を出したかと言うと
    少年少女の傭兵家業を知りたいと思ったことですね。

  •  文章の感じがよく、するすると入ってくる。無垢な少年が妹弟を守るために手を汚して大人になって行くのがあまりに健気で切ない。軍人同士の会話が簡潔でかっこいい。

     上巻で終わってもいいくらいすっきりとしたラストなのだが、下巻はどうなるのだろう。

     アパートの階段の下に住んでいた時の兄妹弟の感じがすごくよかった。妹が一番しっかりしているところがいい。

     現代日本のパラレルワールド的な戦争小説は『5分後の世界』『戦争の法』『となり町戦争』など読んできていて、全部すごく面白い。このジャンルが好きなことに気づいた。

  • 続き楽しみ

  • 戦時下での少年兵や少女の境遇をリアルに描いている

    題材が卑怯だ

    作品を評価するときには作者が創造した部分を見る必要があるんだけど

    実際に今現実に起きている出来事の部分だけで相当精神的にくるものががある

    似たようなの作品として
    映画「ブラックダイヤモンド」
    アニメ「今、そこにいる僕」
    等がある

  • 続編と知らずに、先に愚者を読み始めてしまって、ん?となって途中で裸者に切り替え。
    セックス&バイオレンスの世界。
    戦争は悲しいことで苦しいのに、何故なくならないのか。
    戦争の中でのビジネスがあり、権力争いがあるからだ。
    戦乱の中でキレイな金など何処にもある筈もない。
    それでも生きるなら、正義を掲げる方が苦しく生きづらい。
    そんな環境では、自分の倫理の中で善悪の折合いをつけて生きるしかない。
    そんな荒廃した世界観と、そんな中でも逞しく生きるキャラクターに惹き込まれました。

  • 内乱が勃発して各地を軍閥が支配する日本で
    孤児となり戦争に身を投じる少年の話。

    紀伊国屋で表紙に引かれて興味をもち、
    次の日曜日に図書館で借りた。
    ただ、紀伊国屋にあったのは新装版で
    図書館で借りたのはこのプレビューで表示される
    ゴッツイ表紙のものだったのでちょいビックリ。
    ついでに「愚者と愚者」(上下)も借りたので
    ハードカバー3冊でリュックが無茶苦茶重くなり
    サイクリングの予定を変更して家に帰った。

    物語は淡々と、しかし残虐に進んでいく。
    戦争という非日常を日常の風景のように
    平然と表現する文体が結構好き。

  • 寝食惜しんで読んだ本で紹介されてたので読んでみたけど。
    読むの大変だった・・・

    ほとんどが
    言った。見た。聞いた。思った。~した。
    から構成される文章に入り込みにくかったことに加え、内容的にも重い。
    半分以上後はすらすらと読めたかな。


    海人、孤児部隊、

  • 内戦下の日本、
    主人公6歳から18歳までの話。

  • 作品の紹介
    破滅へ向かう世界と日本を予言する、傑作長編。大問題作!
    近未来。内戦下の日本。両親を亡くした七歳と十一ヶ月の佐々木海人は、妹の恵と、まだ二歳になったばかりの隆を守るため、手段を選ばずに生きていくことを決意する。

    金融システムの崩壊と経済恐慌と財政破綻があった。打ちのめされた貧しい階層、社会的弱者、出稼ぎ外国人、市場競争の敗北者の群が路上に放り出された。海の向こうでも悪夢が現実のものとなる。中国の中央政権が倒されて、各軍管区が覇を競い、二自治区が独立を宣言。またほぼ同時期に、ロシアではサハリン油田の富を背景に極東シベリア共和国が誕生し、一気に大動乱の時代が到来した。戦禍に苦しむ大陸の民が、日本を平和で裕福な社会と見なして海を越え始めた。国軍は領海に入った難民の船をつぎつぎと撃沈した。それでも大量の難民が砲火をかいくぐって沿岸に漂着した。食糧暴動が頻発して治安の悪化は極限に達した。応化二年二月十一日未明、「救国」をかかげる佐官グループが第一空挺団と第三十二普通科連隊を率いて首都を制圧。それに呼応して、全国の基地で佐官が率いる部隊が将官の拘束を試みた。小戦闘、処刑、新しい司令官の擁立があった。同日正午、首都の反乱軍はTV放送とインターネットを通じて「救国臨時政府樹立」を宣言。国軍は政府軍と反乱軍に二分した。ゆるやかに破滅へと向かう、世界と日本を予言する、大問題作。

  • 戦局についていけず挫折・・・。
    いつかもっと知力・体力ともに充実したときに!

全29件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1948年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。92年『灰姫鏡の国のスパイ』が第13回横溝正史賞優秀作を受賞し作家デビュー。2003年『ハルビン・カフェ』で第5回大藪春彦賞を受賞。07年10月逝去。

「2022年 『Memories of the never happened1 ロビンソンの家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

打海文三の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×