- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048735582
作品紹介・あらすじ
戦争を継続させているシステムを破壊するために。月田桜子と椿子。双子の姉妹は女の子だけのマフィア、パンプキン・ガールスつくり、世界に混沌に見を投じた――。
感想・レビュー・書評
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少し前に所用で家を離れることがあり、携える本を書斎で吟味していたところ積読の中から手にしたのが本書であった。しかし荷物に制限のある旅先のこと、ハードカバーの上下巻を供にする気力もなくそのまま積読の山に返すことになった。その旅先に持っていった一冊に「二葉亭四迷の明治四十一年」がありその記述の中に彼の作品「浮雲」の説明があった。その主人公の名が「内海文三」。打海文三のペンネームの由来がどこから来ているのかは寡聞にて知らないが、このようなシンクロニシティを無視できない性分の私は当然のごとく家に帰るなり本書を手にしたのである。
読み始めて正にずぶずぶとその小説世界に引き込まれていく。近未来のもうひとつの日本。かつての村上龍の一連の小説群に似たところもあるが、またそれらとは違った感覚がある。打海文三も村上龍も同じ凄惨で残酷な現実を描いているが、村上龍はどこかその中にもカラッと明るく、最終的には希望的であるのに対して、打海文三は人の中にあるドロっとした内面の怖さを感じさせるところがある。それは「ハルビンカフェ」を読んだ時にも感じた感覚だった。それは他のどの作家にも感じない感覚であり、それがこの作家の魅力でもある。オリジナルの力というものだ。そしてこの作品は三部作の一作目。残念ながら未完ということだがこの小説世界にまだもう少し浸れることを喜ぶとしよう。傑作。90詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今も信じられない。
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双子の片方が死んだ時
死んだのは私なのかそれとも相手なのか混乱する場面がある
考えさせられる面白いシーンだ、
他人が双子を見間違えることはよくあるが本人がわからなくなるとは、実際に起こりうるのだろうか
きっと、普段から相手が食事をしているのを見て自分も食べた気になって、食事を抜いてしまうレベルで精神が同化していたんだろう -
様々な組織の思惑が渦巻く下巻。話が少々ややこしくなり上巻からスピードは落ちるものの、物語を展開してゆく舞台は広がる。
上巻では海人や恵との対比もあって、人間的倫理に欠けたように見えた双子の視点で進む今回。
刹那的に生きる双子はパンプキンガールズ結成して、更生するかと思いきや、本質は変わらず。
発狂した世界での二人の結論
「邪悪な許しがたい異端の」
そんな適応のかたちを共有する双子の最期は唐突に衝撃的で。
こんな無秩序な死が蔓延する環境で生き、死んでゆくしかない彼らが哀しい。 -
やっと下巻を借りることができた。
この作品は主人公でさえもあっさり死んでしまうことで
きちんとリアルな戦争を描けている気がする。
つーか、昔、自分が住んでいた多摩市で
戦争しないでください( ´Д⊂ヽ
永山なんてヤクザの支配下だし。
ついでに今住んでる日野・立川もあらされまくり。
武蔵野地区で戦争すると丘陵地帯や川で
土地が寸断されているので
大変だろうな~と思った。 -
下巻は双子姉妹の話。
ちょっと失速しました。自分が…。 -
作品の紹介
おまえが罪を犯すなら わたしも罪を犯そう
戦争を継続させているシステムを破壊するために。月田桜子と椿子。双子の姉妹は女の子だけのマフィア、パンプキン・ガールスつくり、世界に混沌に見を投じた。
両親の離婚後、月田姉妹は烏山のママの実家に引越し、十一年と数ヶ月、屈託なく暮らした。父親の不在を思ってふさぎ込むようなことは一度もなかった。そして応化九年の残酷な夏をむかえる。東から侵攻してきた武装勢力に、おじいちゃんとおばあちゃんとママを殺されたのだ。十四歳の姉妹は、偶然出会った脱走兵の佐々木海人の案内で、命からがら常陸市へ逃げ出した。
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上巻での主人公・海人と出会った双子姉妹・桜子と椿子の話。
戦争により荒廃し疲弊する世界で、桜子と椿子は女だけのマフィア「パンプキン・ガールズ」を作り、世界に立ち向かっていく。
桜子と椿子は二人で一つ。
二人の世界は一つであり、二人で世界は構成されている。
最後の悲劇に涙。
続編もありますが、作者の打海氏がお亡くなりになり、未完の作品となってしまったため、続編は未読。
続きが読みたいんだけど、未完で終わってしまう怖さから、現段階では読めません・・・。 -
上巻が孤児兵・海人の物語ならば、この下巻は、海人と14歳の時に戦時下で出会った哲学的な美人双子姉妹、月田桜子と椿子の物語だ。
日本全土で頻発する内戦は相変わらず止まず、モラルは死に絶え、市民は常に生命の危機に脅かされ、人間は使い捨てられる。
海人の庇護から外れることを望んだ姉妹は、独自の思想から、スラム街と化している九竜シティに武装組織を作り上げる。
物語の舞台自体はぶっ飛んだアンリアルなのに、そこに渦巻く人間の欲望や信仰、差別意識の過激は妙な生々しさがある。
今、世界で紛争している地域では、こんな苦しみと憎しみが満ちているのかもしれない、と思わせる手触りがある。
ラスト、虚しさの残る終わり方に驚いた。 -
未完のため長期積読決定