霧笛荘夜話

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048735643

感想・レビュー・書評

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  • 人にはそれぞれ物語の主人公として描写できる楽しさ、哀しみ、幸せがあるんだなと、つくづく感じた。著者らしい何とも言えない切なさ、ひと時の幸せの儚さが胸を打った。自分が一番幸せも、誰よりも不幸などはなく、日常の、気にも留めなかった隣人との関わり方一つで人生に深みと彩りをつけるんだなと感じた。自分が歳を重ねた時にもう一度読んでみたい。

  • 一気に読めた!

  • 霧笛荘に住まう住人たちは、それぞれ不器用に社会の下層であがいて、もがいて、たくましく生きている。彼ら1人ずつに光をあてて描く短編集。
    不幸な境遇も不幸と嘆かず、生きていく彼らを追って切なくなったり、ほっこりしたり。
    最後に明かされる、霧笛荘を老婆が守る理由、住人が選んだ結末が人のあたたかさや繋がりを示してくれていて、読後感は柔らかかったです。

  • とある港町、運河のほとりの古アパート「霧笛荘」。
    法外に安い家賃、半地下の湿った部屋。
    わけ知り顔の管理人の老婆が、訪れる者を迎えてくれる。
    誰もがはじめは不幸に追い立てられ、行き場を失って霧笛荘までたどりつく。
    しかし、霧笛荘での暮らしの中で、住人たちはそれぞれに人生の真実に気付きはじめる―。
    本当の幸せへの鍵が、ここにある。
    比類ない優しさに満たち、心を溶かす7つの物語。
    (アマゾンより引用)

    オムニバス短編。
    短編ってあんま好きじゃないんだけど、この作家さんの短編は読みやすい(*´∀`*)

  •  港町の古いアパートのわけあり住人たちの人生話。一部屋一部屋どんな人物が住んでいたのか、大家のおばあさんが紹介してくれる。物悲しく人情あふれる物語。「人生いろいろ大変だなあ」とあらためて思う。

  • 浅田次郎らしい人情物の短編。出てくる人物は全員やるせない人々なんですが、彼らの心のふれあいがいい物語を織り成します。

  • 1つのアパートで織りなす、少し不思議な短編集。 儚い話だけど、一気に読了。さすがです。

  • 浅田さんってこんなに上手いんだ…。
    すごい、とただ感嘆。

  • 素晴らしい作品。
    浅田次郎短編集の中で1番好き。
    登場人物にみんな優しさが滲み出てて、半地下の薄暗い建物を想像して読んでいるにも関わらず、あたたかい。
    それぞれの傷が、そうさせるんだろうな。
    過去からの悲しみは、誰かを慰めることがあるかもしれない。

    少しそれるけど、中島みゆき「糸」を思い浮かべました。

    こんな糸がなんになるの
    心許なくて 震えてた 風の中
    縦の糸はあなた 横の糸は私
    織りなす布は
    いつか誰かの傷をかばうかもしれない
    (抜粋)

    ‘あなた’と‘私’は必ずしも綺麗な関係ではない、という風にも当てはめると更に深みのある曲だと感じ…この曲がこの本に繋がったのでした。

  • こういう、ちょっと異世界感のあるのすきなんだけど、なんか重くなる読後感だったから、星3つかなあ。でも、浅田次郎さんはやっぱ言葉のプロだと思う。表現力がすごいよなあ。きちんと異世界に連れて行ってもらえる。聡明な文に酔えるよね。こういう才能ってすごいよなあ。まあでも、物語としては…霧笛荘といういわくありなアパートの住人をひとりずつ紹介していくような構成で、7話語られるんだけど。大家さんの老いた中国の女性が語り部であるわりには、(そこまで見聞きして知っているはずはない)な部分も多くて、ちょっと引き戻されるかなあ。まあ、すべてが老女の夢物語だったとしても、いいんだけど。でも、一話ずつ主人公になる住人たちは、皆なにかちょっと人として踏み外すべきではなかった一面を持っていて、それは共感を得られる選択ではないから、読み手は重くなるとは思う。でも、大人であればあるほど噛み締められる小説じゃないかなあ。ナイトキャップを片手に、寝る前に違う世界に言って頭を休めたい、そういう読書を好むタイプには、推します。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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