- Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048735643
感想・レビュー・書評
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人にはそれぞれ物語の主人公として描写できる楽しさ、哀しみ、幸せがあるんだなと、つくづく感じた。著者らしい何とも言えない切なさ、ひと時の幸せの儚さが胸を打った。自分が一番幸せも、誰よりも不幸などはなく、日常の、気にも留めなかった隣人との関わり方一つで人生に深みと彩りをつけるんだなと感じた。自分が歳を重ねた時にもう一度読んでみたい。
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一気に読めた!
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港町の古いアパートのわけあり住人たちの人生話。一部屋一部屋どんな人物が住んでいたのか、大家のおばあさんが紹介してくれる。物悲しく人情あふれる物語。「人生いろいろ大変だなあ」とあらためて思う。
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浅田次郎らしい人情物の短編。出てくる人物は全員やるせない人々なんですが、彼らの心のふれあいがいい物語を織り成します。
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1つのアパートで織りなす、少し不思議な短編集。 儚い話だけど、一気に読了。さすがです。
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浅田さんってこんなに上手いんだ…。
すごい、とただ感嘆。 -
素晴らしい作品。
浅田次郎短編集の中で1番好き。
登場人物にみんな優しさが滲み出てて、半地下の薄暗い建物を想像して読んでいるにも関わらず、あたたかい。
それぞれの傷が、そうさせるんだろうな。
過去からの悲しみは、誰かを慰めることがあるかもしれない。
少しそれるけど、中島みゆき「糸」を思い浮かべました。
こんな糸がなんになるの
心許なくて 震えてた 風の中
縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は
いつか誰かの傷をかばうかもしれない
(抜粋)
‘あなた’と‘私’は必ずしも綺麗な関係ではない、という風にも当てはめると更に深みのある曲だと感じ…この曲がこの本に繋がったのでした。 -
こういう、ちょっと異世界感のあるのすきなんだけど、なんか重くなる読後感だったから、星3つかなあ。でも、浅田次郎さんはやっぱ言葉のプロだと思う。表現力がすごいよなあ。きちんと異世界に連れて行ってもらえる。聡明な文に酔えるよね。こういう才能ってすごいよなあ。まあでも、物語としては…霧笛荘といういわくありなアパートの住人をひとりずつ紹介していくような構成で、7話語られるんだけど。大家さんの老いた中国の女性が語り部であるわりには、(そこまで見聞きして知っているはずはない)な部分も多くて、ちょっと引き戻されるかなあ。まあ、すべてが老女の夢物語だったとしても、いいんだけど。でも、一話ずつ主人公になる住人たちは、皆なにかちょっと人として踏み外すべきではなかった一面を持っていて、それは共感を得られる選択ではないから、読み手は重くなるとは思う。でも、大人であればあるほど噛み締められる小説じゃないかなあ。ナイトキャップを片手に、寝る前に違う世界に言って頭を休めたい、そういう読書を好むタイプには、推します。