ユージニア

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048735735

感想・レビュー・書評

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  • 星1つなのは恩田さんの責任ではなく、私に駅構内でこれを売った店員さんのせいです。

    店員さんは私にご丁寧に尋ねられました。「カバーはどうしますか?」
    私は笑みを浮かべて答えました。「あ、お願いします」

    この時誰が想像できよう、この後私に襲い掛かった悪夢を!
    なんと彼女、8頁9頁のところにカバーを織り込んだんです。恐らく疲れていらしたのだと思います。夕方でしたもの。

    ということで、読んだ方なら分かっていただけるだろう。この本、冒頭に「詩」が掲載されており、それをめぐったお話なんです。が。



    ががががががが!が!!!

    私はその「詩」、更にはその次頁にある鍵なる会話の存在を知る由もなく読み進めてまいりました。その結果。なんと。本書の最後の文章の最後の一文字に目を通し、最後の句点で目が留まった時……、でさえ!一体何の話をしているのかさっぱり分からず!!!

    何たる悲劇!

    脳内に数多くの「?」を宿しながら、本棚に陳列させようとカバーを取った瞬間!!!!


    「……………へ?」


    これの話だったのか!!!!!





    でもどうしても再読したいという気が未だ起きず、そのまま我が家の本棚なうです。だから、きっとそこまで私の心には響かなかったんでしょうな。


    ということで☆☆☆☆★。

    すみません、もはやレビューでもなんでもないわ。


    あ、でも装丁は美しいです。

  • 「装丁」の保存版で文庫のものと二冊持っています。
    装丁=ブックカバーだけど、これは祖父江さんが本文組までやっているので、もうすべてが祖父江さんの世界がとデザインが至る所にされている。まるでミステリーで張り巡らされた伏線のよう。恩田さんのミステリーと本が一体になった、本が内容に絡み付いているような、そんな本。

    内容は、恩田ワールドが好きな人にはおすすめしたい。
    問題が解決されないミステリーなので、読後感がすっきりするわけじゃない。
    謎が解決するためのミステリーではなく、何が謎なのかを見つけ出すミステリー。
    あと、読んだら金沢いきたくなります。
    私は実際読んだ後、金沢にいってしまいました。
    夏に兼六園いっても見るものそんなにないはずなのに、この本を読んだ後はどうしても夏に金沢に行きたくなる。


    個人的に、ブックデザインが好きな人には文庫版も読んでみてほしい。
    特に祖父江さんの解説が、ブックデザインの解説になっていて、祖父江さんのキャラクターにも吹き出すけれど、普通の人では言い出さないことを言っていておもしろい。

    文字が若干ななめに回転させることで、違和感を出しているそうだけどそれ以外に、個人的にはすごく漢字が全体的に一歩前に出て来てる印象がある。読みづらいとかではなく、文章を読む事を忘れてページをぼーっと見ていると、なんかちょっと酩酊感を感じる。

  • モヤるー!!
    でもじわりじわりと真相に近づいていく感じ、めちゃくちゃ読み進めるのが楽しかった!
    ちょっとざっともう一回読んでみるか。

  • 結局はどういうこと?を理解するために、意地のようなもので読み切りました。とても難しくて、前に戻って読もうとしても、どこに書いてあったのかわからないような…。読み終われて良かったです。

  • 遠い夏、白い百日紅の記憶。死の使いは、静かに街を滅ぼした。知らなければならない。あの詩の意味を。あの夏のすべてを。(「BOOK」データベースより)
    恩田さんらしいサスペンス。夏の暑さや街並みの描写はさすが。じわじわとした恐怖。

  • 本を開いて驚きました。凝っているなぁと。
    最初は語り手のことも内容も漠然としていて読みにくいと思いましたが、徐々に引き込まれていきました。犯人が誰なのか真相は気になるところですが、多分全部“事実”なのでしょう、その人にとっては。
    「だから、実際に起きたことを、本当に知るというのは絶対に無理なんだなあと思いました」登場人物の一人が言ったことは胸にストンと落ちました。 

  • 金沢が舞台のミステリー。お祝いの席で一家がみな毒殺され、家族のうち生き残ったのは目が見えない少女だけという凄惨な事件の関係者へのインタビューをまとめた話やそれぞれの思いを書いたものだけど読み終えてももやもやが残る。
    人は全てわかるわけではない。刑事も目撃者も、被害者も、犯人でさえ全てを知らない。なんとなく、みんなが納得できれば、それが正しいものではなくても事実となる。真実は何か、事実とは何かがテーマだと思う。

  • その町では誰もが知っている医師一族のお祝いの最中に起こった毒殺事件。配達員によって運ばれたビールやジュースに毒が入っており、目が見えない少女以外の人間は全員毒を飲んでしまう。その少女が犯人ではないかと匂わせながら話は進んで行くが、最後まで疑惑が確信に変わる事はない。読了後はスッキリとしない。

  • あの夏。死の使いが静かに町を滅ぼした。

    名家で起こった大量無差別毒殺事件。

    忘れられた祝祭。
    盲目の少女の微笑み。
    白い百日紅の記憶。
    夢の通い路。

    真実は永遠の闇のなかに消えてゆく…

    日本推理作家協会賞授賞作。

    ***
    面白い!!
    2回読んで、さらには時系列を書いて考えるくらいはまりました。
    間違いなく犯人はこの人だとわかっているのに、決定的な証拠を突きつけられないもどかしさ。
    読めば読むほど不安を煽られる展開に、止まらなくなること請け合いです◎

  • なによりも冒頭の詩に集約されると思うのです。
    「ユージニア、私のユージニア」の詩、オビの煽り文句「誰が世界を手にしたの?」、ぜんぶぜんぶ、きれい。綺麗です。文庫もユージニア・ノートが魅力的ですが、できればぜひ単行本で読んで欲しいのです。ああ、きれい。
    恩田さんの本領「何が起きたのか、よくわからない」という印象はバリバリですが、そこではなく空気感をひたすらに味わいたい一品。ちょっと「熱海の捜査官」に雰囲気が似てるかも。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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