温室デイズ

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 395
  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048735834

作品紹介・あらすじ

教室に紙飛行機が飛びはじめる。始まりの合図だ。もうすぐ崩れだす。でも、教師はまだ気づかない。日本の平和ボケは、学校の場でも存分に発揮されている。生温い方法では、もう追いつかなくなってしまうのだ。「今なら、なんとかなるはずだよ」。私は祈るような気持ちで崩れていく学校を見ていた…。この温室のどこかに、出口はあるのだろうか-。ふたりの少女が起こした、小さな優しい奇跡。ひりひりと痛くて、じんじんと心に沁みる。『幸福な食卓』の気鋭が贈る、とびきりの青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • いじめられている中学生といじめられてはいないが学校に行くことが嫌になった中学生ふたりの視点から語られる温室デイズ。
    荒れてはて窓ガラスは何枚もわれ、話は聞かない、暴行けんかは当たり前、それでも学校という枠に守られている学校生活の中で、いじめられる側の視点、大切な友達を守れないかった自分に嫌気がさし、逃げてしまったものの視点から描かれる。

    瀬尾まい湖さんの作品はバトンを初めてよんで、引き込まれ、本作2作目だけど、残酷なことも良いことも感動てきなところもフラットな表現で書くところがすてきだなと思う

    ただこの作品は嫌だからにげちゃったーっていう子と、嫌でも逃げない、ここしかないと動く子がいるからとても対照的で印象深かった
    強いそうに見せるだけの先生と弱くて頼りなくていつも生徒にいじめられている先生でも、結局生徒の目線でかんがえて弱音吐いたって守ってくれる話してくれる気づいてくれるっていうことが大事なんだなと思った
    ふたりの親も、子供の考えてるのーあなたのためよー愛情いっぱいよーっていう母親と男手一つで育てあげて弱音なんか吐くな、強くいろと育ててきた父親、
    前者の方が良い親にみえても、子供の変化にすぐ気付いてあげられる気持ちを汲み取ってあげられる親が子供にとっては大事なんだなと感じた

    対照てきな登場人物がいることで、どっちがいいとか悪いとか本の中では描かれてはいないけど、こういうところを汲み取ってあげる必要があるんだなと思わせる部分が多かった
    さらっと読めて良かった

  • 荒れ始めた中学の雰囲気を良くしようとして、いじめられ始めたみちる。
    友だちのみちるがいじめられ始めても何もできず、教室に行かなくなる優子。

    学校とは何のためにあるのか。

    小学校時代にいじめを経験した彼女たちの、中学でのいじめに対するそれぞれのリアクション。

    ----------------------------------------------------

    みちると優子の視点が交互に入れ替わるスタイル。

    そんなこと言ったら自分からいじめられにいくようなもんだよ!と思うくらいストレートなみちるは、
    小学校のときに優子のいじめに加担したことを後悔していて、それに対する贖罪としていじめに立ち向かってるようだった。

    不良の伊佐君から告白を断った優子は女子たちに疎まれ、いやがらせを受け始める。いじめが悪化する前に、目立った行動をしたみちるがいじめられ出したため、優子はいじめられなくなる。そして優子は教室に行くのをやめる。

    大切なものだけは譲らずに生活してるんだなあ、と読んでて思った。

    みちるは自分がいじめられることで、小学生のときの罪滅ぼしをしているようだったし、実際に優子を守った。
    優子は自分の価値観にしたがって行動していたし、伊佐君は不良として引き下がれないプライドもあったんだろう。自主的にパシリをする斉藤君は彼なりにクラスを変えようとしていた。
    やる気のないスクールサポーターの吉川だって、花壇を守るためにナイフで不良を脅した。

    ひどい目に遭わされているみちるに、無理しなくていいと言える吉川がすごくよかった。

    いじめられたり、ひどい目に遭うんだったら、教室に行かなくていいし、
    学校なんか行かなくても学ぶことは出来るんだから、そういう選択肢を先生がもっと教えていい。教えるべき。


    不良の伊佐君がみちるを助けてあげればいいのに、と思いながら読んだ。
    いじめはダメなことだけど、なくなることなんてないよな。
    死ぬほどの苦しみ、悩みだったら、逃げていいと思う。

  • これまでの瀬尾まいこさんとはちょっと違う。
    でも、「前向き」という芯は一緒。

    不器用な人がいっぱい。
    しんどいこともいっぱい。

    でも、乗り越えた先には幸せもいっぱいやってくるよ。

  • 学校の閉塞感はどうすることもできない。それが辛いのは生徒も、先生も。学校が温室になってしまっていることも、どうしようもない。日本的な構造が長い歴史の中で温室をつくってきてしまった。
    絡め取られずに何ができるのか。
    そのことは伝わって来るけど、一人一人の描写に深さを感じない。

    いじめの描写も、私にはよく分からなかった。
    大人が想像するいじめのイメージをなぞっているように思えてしまった。

  • 教室に紙飛行機が飛び始める。それは崩壊の始まりの合図だ。中学三年生のみちるは祈るような気持ちで崩れていく学校を見ていた。「今なら、なんとかなるはずだよ」その思いが募るあまりにみちるは方法を誤り、いじめの標的にされる。優子はみちるを一番の友達だと思っていたが、いじめられる彼女に手を差し伸べることができない。優子は現実から逃れるために、教室へ行くことをやめた。

    著者の作品は肩肘張らずさらっと読めて良い。しかし今回扱っている題材はいじめ、登校拒否、荒れる学校・・・読むのがつらくなってしまう時もあったが、主人公みちるの強さに引っ張られて読み進めることができた。
    登校拒否の優子とは対象的に、どんな理不尽な仕打ちを受けても、みちるは頑なに学校へ行き続ける。みちるは「いじめ」を個人への攻撃ではなく、学校崩壊という出来事の中のひとつの現象であるととらえていたのではないだろうか。いじめをなくしたい、ではなく学校をなんとかしたい、という気持ちで日々戦っていたのではないかと思う。崩れゆく学校の中で再生という希望を持ち続けていたが故に、いじめに屈することなく毎日登校し続けたのだ。

    何事も一度落ち始めるとどんどん進んでいき、元に戻すのは難しい。しかしそれは「難しい」のであって方法がないわけではないはずである。みちるも優子も、不良のリーダー格の瞬でさえ、再生への希望を抱き続けた。それぞれ方法は違えども、同じ気持ちだったに違いない。
    信じる心、諦めない心。中学生の純粋さが清々しい物語だった。

  • 再読

  • リアル過ぎて、ところどころで胸が痛くなる。でも、がんばれ!と言いたくなった。

  • 「温室=ゆとり教育」って感じ?
    2人の少女が交互に語ってる自分のクラス、学校の崩壊していく様子、、、。
    それも淡々と、、、。
    こんな風に冷静にいれるんかなぁ?
    今の中学生はこんな感じなん?
    アタシが中学生とか高校生の時に読んでれば感じ方も違ったかもしれん1冊。
    ちょっと、世代が違ったかも(*_*)

  • 崩壊した中学校。
    正義感があだとなりいじめの対象になるみちる。
    本当に重いお話で読んでいて痛みを強く感じる。
    でも目をそらしちゃいけないんだと思う。
    そして戦い続けるみちるは本当に強い。
    子供にも勧めたい一冊。

  • 今まさにタイムリーな内容だなと思いながら読みました。読みながらも読み終わってからも思うことは、いじめが原因で自殺してしまった子供達は、親が思っている程先生に期待なんてしていないんじゃないかってこと。





    私も過去には軽いいじめには良く合いました。無視なんてちょっとした喧嘩ですぐに発生するものだったし、私もしたことがあります。でもそれは小さな諍いで、クラス中でなんてことには発展しませんでした。でも私はあれだけ大人数のクラスにいても孤独を感じたことはたくさんあったし、誰も頼れないんだと悟ったこともあります。友達からの嫌がらせを先生に訴えて助けてもらおうなんて思ったことはありません。先生に言うことが恥ずかしい気持ちもあるし、自分で何とかするしかないと思っていましたからね。逃げてしまいたいと思ったことは何度もあるけれど、親にも話せなかったから逃げることも出来なかった。でもそれでよかったと今は思います。





    この本を読むと先生ってこんなに冷たいの?と驚く場面があるのですが、実際はそういう先生もきっといるんだろうなと思います。自分が生徒として通っている時よりも、親となった今の方がそれを感じます。でもそうでない先生もいるんですよ。先生同士はおかしいなと思う先生に意見したり、話題になったりはしないんでしょうか?親同士の間であの先生が担任じゃなくてラッキーだったと言うことがありますが、それっておかしいでしょ。んー、話がずれてる。





    私は相変わらずいじめが原因で自殺した報道で先生を責めている様子を見るとおかしいと思ってしまいます。先生や学校だけが悪いの?といつも言っています。1番悪いのはいじめた子じゃん。


    つい最近見たワイドショーでいじめた側の生徒が登校できなくなっていると言う話題をやっていました。いじめた側の生徒のフォローもしていかなくてはいけませんと言う言葉を聞いて驚きました。どうしてフォローするの?って。こう思ってしまう私はひどい人間なのかなぁ?でも思ってしまったんです。だって死んじゃったんだよ。登校できないくらいに落ち込んで当然じゃないの?もしかしたらいろいろ言われるから登校できないだけなのかもしれない。反省してるのかなんて分からない。いじめた側をフォローするなんていじめたことを援護しているようでどうにも納得できない気持ちです。


    あと遺族側への謝罪は親がしたと聞きました。これも違うと思いました。本人がどんなに辛くてもするべきでしょ。そんな時に親が謝ることは絶対に違うと思います。現実を知らせることこそが親の責任なんじゃないかと思うんです。そしてこのことを一生背負って生きていくことも必要なんじゃないかと。


    そうでないと命の重さが分からないような気がする。





    ああ、本の感想じゃなくなってる。





    最後のページでホッとすることが出来て、やっぱり瀬尾さんの作品は好きです。いじめも男子より女子の方が巧妙で精神的なダメージが大きいよね。

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著者プロフィール

瀬尾まいこ(せお まいこ)
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2011年の退職までは、中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行っていた。2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。これまでに映画化された作品に、代表作『幸福な食卓』、『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』。『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位、「キノベス2019」1位に選出、さらに2019年本屋大賞を受賞。2019年6月13日、『優しい音楽』(新装版)を刊行。

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