ナラタージュ

  • 角川書店 (2005年2月28日発売)
3.64
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Amazon.co.jp ・本 (376ページ) / ISBN・EAN: 9784048735902

作品紹介・あらすじ

大学二年の春、片思いし続けていた葉山先生から電話がかかってくる。泉はときめくと同時に、卒業前に打ち明けられた先生の過去の秘密を思い出す。今、最も注目を集めている野間文芸新人賞作家・初の書き下ろし長編。

みんなの感想まとめ

恋愛の痛みと成長を描いた物語は、主人公・泉の大学生活を通じて、過去の片思いと再会した葉山先生との微妙な関係を中心に展開します。泉は、先生との言葉のやり取りや、彼女に好意を寄せる小野君との関係に揺れ動き...

感想・レビュー・書評

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  • 再読。10年ぶりくらい。

    島本さんの作品は、いつも女性の心情にばっかり目がいっちゃうのだけど、再読したら、先生と小野君の言葉や行動をおってる自分がいました。

    先生の言葉の中で最もずるいと思ったのは「どうしてかは分からない、だけどとにかく君には、ほかの相手よりも正確に僕の言葉が伝わっているという実感がある。」という部分。こんなん20歳の女の子が言われたら、先生のことをわかってあげられるのはーって勘違いしちゃうから。というか勘違いじゃなくて、言われた本人は、確信したくらいに思っちゃうから。
    また、私の職業柄これはその通りだなって思ったのは、「たまたま僕の言ったことと、それを受け取る側の波長が合っただけだよ。」という言葉。同じ言葉でも受け取る生徒しだいで効果は変わってしまう。(変わるというか、ない場合も)そしてこれだって、波長が合いすぎちゃったことによってこうなっちゃったんでしょうよ。でも効果は出てからじゃないと気付かないし、気づいた時にはもう手遅れだったりするのよね。

    一方の小野君。再読して改めて感じたけど、狂気。外堀を埋めてく感じとかほんと怖すぎ。というか実家帰りすぎじゃない。東京から長野ってそんな近くないよ。実家のお母さんから見た小野君の話を聞くと、好青年に見えた小野君が一気に寂しがりやで依存心の強い男の子に。先生への気持ちが残ったままでもいいって言っておきながら、不安に耐えきれなくて様々な行動に出てしまう小野君の気持ちがわからないでもないけど、それにしたって狂気。こういう男の子は泉のような女の子と付き合ってはいけないよ。でもこれも一瞬波長が合った気がした(たぶんこれは気のせいだった)からこうなったんだよね。

    10年も経つとまた全然違う気持ちで読めるものだな。また10年後読もうかな。

  • 著者、島本理生さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    島本 理生(しまもと りお、女性、1983年5月18日 - )は、日本の小説家。
    東京都板橋区生まれ。母は舞踏家・鍼灸師の長岡ゆり。島本が幼少期に実の父と離婚。その後すぐに母は再婚するが高校進学以降に両親が離婚し、母子家庭になる。母子家庭の経験はのちに『リトル・バイ・リトル』に反映されている。

    で、本作の内容は、次のとおり。(コピペです)

    壊れるまでに張りつめた気持ち。ごまかすことも、そらすこともできない-二十歳の恋。これからもずっと同じ痛みを繰り返し、その苦しさと引き換えに帰ることができるのだろう。あの薄暗かった雨の廊下に。野間文芸新人賞を最年少で受賞した若手実力派による初の書き下ろし長編。

    本作は2005年刊行なので、著者が21歳位の時に書かれた作品になります。
    若い女性ならではの視点で書かれた、恋愛小説になりますか。
    ブクログで、本作を登録されている方が多かったので、手にしてみましたが、61歳男の私には不向きでした。
    当然かね。

  • 初めて読みましたが、前に高校生作家さんで話題になった人なんですね。
    若い女性らしい実感のこもった読みやすい文章です。
    高校時代の先生に恋をしていたのを諦めきれずにいた泉が大学2年になって再会、先生とは微妙な気持ちの交流もあるのですが、決して結ばれることはない理由がありました。
    先生に高校の演劇部への助演を頼まれた仲間内で、好意を寄せてくれる小野君とつきあい始めますが…
    葉山先生も小野君もそれなりにかなり良い所はあり、でもな!だめだよ!という所もあり?その辺がリアル。
    ヒロインも等身大の感覚で、丁寧に描かれた、ストレートな恋愛の物語です。
    最初のうちは歯がゆいぐらいぐずぐずしているけど、途中でたががはずれて来るあたりも、あり得そうな感じ。
    恋愛そのものを描いた話というのは意外と最近少なかったかな?
    後輩の柚子ちゃんのエピソードは唐突で重すぎる…
    ナラタージュというのは主人公が回想する形式をさす映画用語だそうです。
    しかし、本当にこれで良いのか…
    引き込まれて一気に読めたのでそれだけで合格点ですが、リアルなだけにあれこれ考えてしまう所もありました。

  • 優しくて、あたたかくて、ずるくて。
    弱くて、でも、力強くて。


    つらかった時に、手を差し伸べてくれて。
    不器用だけれども、向き合おうとしてくれて。


    人間、生きていればなにかしらの事情がある。
    事情を抱えずに、生きている人間などいない。
    一緒にいられない事情があって。
    終わりにしなければならない事情がある。
    それでも、感情は事情で割り切れない。


    好きになることに理由はない。
    事情があっても、感情で割り切れない。
    好きであったことを忘れられなくても、過去を受け止めて生きていく。


    終わった恋に、意味がない。
    大輪の花を咲かせずに散る恋は、最初から存在すべきではない。

    そんなことは、ない。

    どんな恋であれ、どんな結果であれ、何かしら得たメッセージがあって。
    そのメッセージを、私たちはそっと胸の奥底にしまって生きていく。

    意味のない恋など、存在しない。


    若かったころの恋。
    浅はかで、幼い恋だったのかもしれない。
    それでも、私は確かに彼を愛していて。
    背伸びをしているような、ビターチョコレートをちょっとかじったような。
    タバコの癖のある匂いのような、言葉がわからない国へ一歩入ってしまったような。
    そんな恋だった。



    終わってしまった関係でも、忘れることができない。
    そんな弱さをかかえて、また新たな恋をしていくのだろう。

  • 教師を本気で好きになったことがある女の子は読んでほしい。恋に恋しているなんて誰が言ったんだろう。なにが「本当の恋愛」なのか、全身全霊をかけてその人のことをまっしぐらに想うことが、学生だという理由で嘘の愛だというのだろうか。葉山先生はぼうっとしている存在だからこそ虚ろになって、きっと初恋の人を重ねてしまいます。とても切ない。

  • なぜだかものすごく惹き込まれてしまった。
    恋愛において「良い」「悪い」があることを決して否定することはできないが、それでもそういった"評価"を越えたものがそこにはある。
    人々の行動は常に理性と本能のバランスのもとにあるが、恋愛感情が伴うと途端に崩れてしまう。
    どちらに従うべきだというのではなく、理性も本能も自分の気持ちとして、無理に無視しようとせず丁寧に見つめてあげても良いような気がした。

    著者が21歳の頃に書かれたものらしい。
    今の私も21歳。
    今だからこそ感じるものが多く詰まっていたのだと思うと、ものすごく貴重な瞬間だったと感じた。

  • あまりにも有名で今まで読まなかったが、とうとう読んでしまった。

    繊細で脆くて、時に恐ろしい。
    こんな風に女性なら誰しも直面するかもしれない問題にアプローチするのは、やっぱり島本理生さんだなと感じました。


    私にも忘れられない先生がいます。
    高校生の時の家庭教師の先生です。

    好きだと言ってくれても、ずっと名前のない関係でした。
    それでも良いと思えるほど好きでした。

    いつも会いたいと言うのは私。
    このままではだめだと連絡を絶って1年後、彼から連絡がありました。

    久しぶりに会う彼は、まるで私と何もなかったみたいに恋愛について聞いてきました。
    そして、3年後お互い結婚してなかったらまた会おうと言いました。

    どんな気持ちでそんなことを言うのでしょう。


    どこかでやっぱり忘れられない人です。

  • 『壊れるくらい、あなたが好きでした』

    4回読んだが毎回どこかが痛くなる
    やっぱり葉山先生はずるいし小野くんは怖い
    素直に好きと伝えられない関係が
    こんなにも、もどかしく辛いのか
    辛いけれど何度も読みたくなってしまう
    好きな人を思い出さざるおえない本 

  • 先生と生徒の禁断の恋愛ものだけど、どこまでもピュア。主人公も先生もまっすぐすぎて心がえぐられる。主人公を想う同級生の気持ちも切なすぎる。
    小学校のときにこれを読んでこんな恋愛がしたいと思ったなぁ、しなかったけど笑。
    一番好きな恋愛小説。

  • きっと
    子供だったから愛とは違うとかじゃなくて
    子供だったから
    愛してるってことに
    気付かなかったんだよ
    .
    .
    切なすぎた。
    好きで好きで好きで好きでたまらないのに
    2人が同じ気持ちなのに
    付き合うことも出来ず
    それぞれがそれぞれを想い続けたまま
    違う人生を歩んでいく。
    .
    はあ、切ない。

  • 読了。ひとことで言うと「恋愛した時のどうしようもない人間の弱さ」の話。それを共感できるかどうかによって、作品への評価も変わると思う。読了後、数時間経ってもなんか色々引っかかるものがあって、それがこの作品の魅力なのかな。他の方のレビューとか読んで、他の方がどう感じたかを知りたくなるのも、それだけこの世界に引き込まれたからこそなのかも。回想から始まるからこそ、すべての描写が物悲しく思えるし、恐らく今もう一度読み直したらもっと寂しく思える。

  • とても切なくて、煮え切らなくていらいらして、私も葉山先生と泉に振り回された。
    でもなぜか読み終わってからずっと余韻が残る。
    そして、最初のページを読み返すと無性に泣きたくなる。そんなお話だった。

    この2人の関係、周りからみたら自分たちの世界に酔いまくっててまったく理解できない関係。
    葉山先生も泉の前では意味深に淋しい雰囲気を出してどうにかこうにか繋ぎ止めようとするし、泉も葉山先生に対しての気持ちが盲信的過ぎて恋愛で身を滅ぼすタイプ。
    こういう人たちって「この人とは空気が一緒だ」と感じたら、どんどん深みにハマって不幸になるよね…って、読みながらやるせなくって、いたたまれなかった。

    そんな2人に振り回された、爽やかで優しくてでも独占欲が強い小野くんが、不安と嫉妬からどんどん嫌な男に成り下がっていく様が悲しくて辛過ぎた。

    泉が不安定な葉山先生にハマったように、小野くんも泉みたいな不安定な女性にハマるタイプなんだろうなと思う。
    結局、深みにハマり過ぎて暴走しちゃったけれど、泉がもっと向き合ってあげてたら、彼はもの凄くいい彼氏になったんじゃないのか。。
    彼は、自分の嫌な部分を包み隠さず泉に打ち明けてくれたし、地元にも大学にもたくさんの友達に囲まれていたし、泉との会話でちょくちょく砕けた発言(「すげぇ!」とか)を見るからに、本当はもっと年相応の若者なんだろう。
    なのに、泉の葉山先生への想いに対しての嫉妬から、無理して少し背伸びした落ち着いた好青年を演じていた気がする。(葉山先生に寄せてた感じ)

    彼も彼ですごく無理してた。
    そして、同性として葉山先生の男としてのダメさにも気づいていた。
    なのに、それでも良いと言わんばかりの泉に対して、もう気持ちがどうしようもなかったんだろう。
    それだけ泉のことを好きになり過ぎたってことなんだろうけど…
    小野くんにとって、あの夏の演劇の日々はたぶん人生の中で思い出したくない過去なんじゃないかな。
    泉との恋愛、演劇部の子の自殺、暴走した自分…
    泉と付き合うために周りから固めていった感じとかあれも全部、葉山先生への恋心への対策だった気がする。
    小野くんみたいな人に合う子って、少しワガママだけど素直に喜怒哀楽を出してくれる人かも。
    泉みたいな子に惹かれるんだろうけど、たぶん上手くいかないと思う。

    ただ、泉は小野くんと付き合った時点で完全に葉山先生を断ち切るべきだった。
    あそこで病院に戻った事で幸せになれない人生を選んでしまった気がする。

    そのタイミングに葉山先生は結局奥さんに戻って、エーッ!?て感じだけど、最終的に泉との写真を隠し持っとくくらいなら全てを捨てて、自分の気持ちのままに泉とくっつくべきだった。

    奥さんとヨリを戻したのも愛情というより情。
    本当は泉と会うたびに離婚届けを出していない事、後悔していたんじゃないのか、、?
    タイミング悪く奥さんの父親とも会ってしまい、葉山先生も引くに引けなくなった感じ。
    そりゃあ、今さら離婚届け出して10個下の教え子と付き合うなんて言えないよねー…

    泉はやっと結婚したい人と出会っても結局、思い出しては1人で泣いて苦しんで…という生活を一生する事になって、そんなの私にはしんど過ぎて絶対耐えられない。

    冒頭の泉と婚約者との会話、結局なんやかんやで小野くんとヨリが戻って婚約したのかと思ったら、まさかの職場の男性との会話だったのか、と最後、読んで拍子抜けした。
    ただ、泉と一緒になる人はこれくらい芯が通ってる人がいいんだろうとも思う。
    じゃないと小野くんみたいに相手を翻弄させちゃうから…

    小野くんは結局、泉と出会ってしまった事で辛い恋愛を経験してしまって可哀想だなぁ、、
    彼は幸せになってるといいなぁ。。。

    演劇部の子たち、1人は自殺、1人は消息不明、そして疎遠になった友人、、と少し悲しい結末。
    志緒と黒川くんはどうなったのか気になるけれど、ここも上手くいってない気がするなぁ。。。

    読み終えて、モヤモヤするしわだかまりも溜まったけれど、たまにはこういう切ない恋愛小説もいいなと思った。
    まわりを振り回しながらも一生忘れられない人と出会う恋愛、少し憧れる。

  • #3920-165-89-341

  • 3.9
    インパクトはありました。
    ただ、あまり納得はしてません、なんでこうなるの?
    という展開が多く、敢えて不幸な方へ話を展開させている気もしました。

  • 本を手にした時は、
    ナラタージュとは何だろうと思った。
    展開が全く読めない本だった。

    泉と葉山先生との物語だけど、
    先を読んでいくうちに物語自体が重たく感じた。

    高校生の時、泉は
    葉山先生のことを好きだと思っていたけど
    思いを伝えないまま、卒業してしまって
    泉が大学生になって連絡があり
    そこからの展開が切なくて、
    気持ちが交差してるのが読んでいてわかった。

    最後の場面になるにつれて、先生との恋を、
    終わらせようとしている泉の姿を見て、
    終わらせようとしないでという気持ちと、
    新しく出会った彼と、
    上手くいってほしいという気持ちで
    いっぱいだった。
    泉の気持ちが、十分伝わった。

    題名では分からない、
    切ない純愛と、先生との深い恋の形があって
    吸い込まれるような感覚があった。

  • 愛が少しわかる
    だから思い出は切なく人生は苦しくそして甘美なのだなあ
    歳を重ねると頭で考えることが多くなって恋愛自体に酔ったりいわゆる盲目になれなかったりしちゃうけど、それとは対岸をいく内容だった
    現実的には確かにどうなの?と思うけど、これくらい自己陶酔する必要あるよなって思った
    高校のときの恋人のことを思い出した

  • ◆二人に降り注ぐ雨が物語を引き立てる◆
    大学2年生となった泉の元に、かつて想いを寄せていた高校の恩師葉山から、高校の演劇部の手伝いをしてほしいと電話がかかって来るところから物語が始まる。映画化され、話題を呼んだ作品だ。心が弱い二人が互いに心の傷を慰め合いながら、寄り添う複雑な恋模様や感情を天気によって繊細に表現しているのが印象的な作品だ。特に、許されない二人に降り注ぐ雨のシーンはグッとくるものがある。ぜひ雨の日に読んでほしい小説。

  • ひさしぶりに心が揺さぶられた。
    大切なひとを失いたくなくて必死でもがいたり、行き場のないどうしようもない感情を持て余している描写が心にせまる。
    人生で一番の恋を思い出す本。

  • お願いだから、私を壊して?
    なにを寝ぼけたことを言ってんだって感じ。

    家庭不和の悩みを教え子の小娘に話す葉山貴志先生、
    ふつう逆だろう!

    しかも、君が好きだとか言って
    離婚し独身のような素振りをふりまいておいて
    実は、妻と縁りを戻すのでさようなら。

    ラスト、記念のように結ばれる二人。
    いや~ひどい話、まるで詐欺。

    中盤に柚子という少女が何者かに犯され
    それを苦に飛び降り自殺する事件が起きる。

    犯人が葉山先生だったら面白いなと
    期待したが、なにも起こらず死んだ事実のみ。

    罪な男、葉山先生でした。

  • 映画化されると聞いて、ずっと積ん読になっていたのを引っ張り出して読んで見た。まあ恋愛小説ということで敬遠していたのもあるのだが、最近なぜか女流作家の恋愛小説を続けて読んでいるのだが。まあなんと言うか思いは分からんではないが粘着質で複雑で淫靡である。この葉山という教師も随分罪作りな男だと思うよ、ちょっと間違えばただのロリコン教師ではないか、そんな消せない恋愛感情を持ったまま結婚する男と主人公に本当の幸せが訪れるのかしら、続・ナラタージュがあってもいいのでは?

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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