私という運命について

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048736077

感想・レビュー・書評

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  • 一人の女性の29歳から40歳までを綴った本。元カレの結婚、転勤、恋愛、別れ、昇進、再会、結婚、出産、別離……、

    肺癌や新潟中越地震といった自身の家族と似た部分や繊細な心の機微、結婚というものに対する考え、運命とは…、色々なことを考えながら明け方4時まで読み込んでしまった。

    亜紀以上に直感というものが鈍い私は、運命の相手に気づくことができるのだろうか。今はそんな気がしない。

    明日香や達哉のような相手を予め決められた許嫁の関係もいないが、達哉が作中で話した台詞が印象に残っている。「だって僕も明日香も、ほんとうに確かなものが、自分の人生の中でせめて一つでいいから欲しいし、ほんとうに確かなものは、いま僕たちが生きているとか、いずれ僕たちが必ず死んでしまうことと同じように、自分の力ではどうにもならないものだからこそ、ほんとうに確かなものなんだと思うんです」わたしも確かなものを自分の手でつくりたい。

    上記だけでなく、個々の運命に対する考えが散りばめられているのだが、結局わたしはどの登場人物たちの運命に対する考えにも腑に落ちることはなかった。単にそれは難しいから考えることを放棄したのかもしれないし、自分の中で自分なりの答えを出したかったからかもしれないし、確固たる回答なんてないのだと諦めているからなのかもしれない。
    運命の相手に出会ったら気づけるかな。もう出会ってたけど選択を誤ったのかな。書いていて、後悔してきそうなのでレビューは以上とします。笑

  • 男女で社会及び家庭での役割を分けていたり、「女性は子供を産むもの」という価値観が当然に存在したりと、現在の感覚からは遅れていると感じられる描写が多々あったが、少し前に出版された本なので「当時はこんな感じだったんだなあ」と、新鮮な気持ちで読むことができた。

  • 結婚や運命を色濃く描いた小説だと思った。
    ここまではっきりとわかりやすく「運命」は姿を現さないとは思うけれど、ひとつひとつの何気ない選択が人生を紡ぎだしていることは間違いない、と感じた。

  • 人生とは、選択の連続だと、私は思う。この話は運命論的で、また主人公亜紀の運命は、悲しいことの連続。心配してた通りの結末になり、なんともやりきれない読後感です。

  • 主人公、亜紀の20代から40代の出来事…運命について書かれていましたが、読んでるうちに悪い方に転がってしまうのではないかと不安に思いながら読んでいました。別の意味でドキドキしてしまいました。最後は良かったのかどうか不思議な運命を信じたいですが、もっと幸せな結末が良かったです。

  • かなり以前の小説。
    亜紀が純平をふるまでは面白かった。
    亜紀が純平を無理だと思ったのはわかるけど、あなたの為なら何でもするって言った亜紀の何でもするはお金をに関してに限定されてたのね。純平からのメッセージを読んでそれでも純平を切ったとき、私の心も亜紀から離れた。
    後は惰性で最後までに読んだ。

    明日香と達哉が親が軽い気持ちでいいなずけと子供の頃から言われてるのを受け入れたように、康の母からの手紙を亜紀も無意識に受け入れて人生を選択していった様が相似関係をなしていて、作者のかなりスピ系な運命論がこの物語全体に流れている。

    康のお母さんの手紙が亜紀の無意識を大きくコントロールしている。
    それもまた運命。

  • 随分前に読んだことがあったようで、読み進めるうちに結末が嫌な予感でいっぱいになって、どきどきしながら読んだ。
    運命、大袈裟でなく、普通に、出会いとか、別れとか、運命だと思う。
    家族、友人、職場の人、いろいろな出来事、自分で選んで進んでる道も、なるべくしてなるような、、だからといって流されるように生きるのではなく、運命だってきっと日々変わってるはずだから、自分で扉を開いて行くしかない。
    ラスト泣く。

  • 試練、苦難が続く内容だが、女性の芯のある強さや覚悟、そして包み込む様な優しさが終盤に描かれてる。
    もしかしたら序盤で読む手をとめてしまう読者もいるかもしれないが、辛抱強く最後の最後まで読みきって欲しい。

    義母と再会した描写は涙腺が崩壊した。
    個人的には、病院で再会した元愛人の女性との会話が男女の本質を表現しており、印象深いシーンでした。

    人生の節目や岐路に立った時、一度気持ちを落ち着かせる為にこの作品を読むのもいいのかもしれない。いつかまた再読すると思います。

  • 著者の本は20代半ばの頃に読み、複雑な思い抱いたのを覚えている。
    この本を読み、その頃とは異なる感情…20代よりもシンプルな感情を抱いた。自分の運命や出来事に対する思考する事が減ったのか?
    読んでいて、昔の感情や考え方が頭を巡る気がして新鮮でした。

  • ドラマを見てから本を読んだので、ストーリー展開がわかっていたが面白く読めた。
    人の運命は決められているのか、運命は誰にも変えられないのか、考えされられた。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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