- Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048736114
作品紹介・あらすじ
僕の父さんは元過激派とかいうやつで、いつも家にいて小説を書いている。学校なんか行く必要ないとか言うのだけれだけれど……。少年の視点を通して、変わり者の父に翻弄される家族を描く、長編大傑作!
感想・レビュー・書評
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元過激派の父と元活動家の母を持つ小六の男子二郎の目から見た日常が描かれている
第一部は東京中野での生活、第二次性徴期を迎える少年と友達との生き生きとした学校生活がとても愉快で気持ちが良かった
中学生の不良カツに目をつけられ理不尽な要求を突きつけられる。どう立ち向かっていくのか
高額な修学旅行費についてその内幕を暴こうと学校に乗り込む父に腹を立てながらも憎めない二郎
子供が理解できない大人の世界があると同時に、大人が踏み込めない子供の世界も当然あること、その中で子供は、いろんなことを学び、着実に成長していくんだなと今さらながら思い知らされる
第二部は上原一家が沖縄西表島に移住してからの話となる
これがまた、おもしろい!
緑の木々、間を縫う風とエメラルドグリーンの珊瑚礁の海、『ユイマール』と呼ばれるみんなで助け合う気風が、二郎や桃子の不安を吹き飛ばし、都会での恋に破れた洋子の心をほぐしてくれる
島の暮らしは、何もないようで、生きていく上で大切なものは、何でもそろっている気がしてくる
最後、父が二郎に言った言葉
「二郎。世の中にはな、最後まで抵抗することで徐々に変わっていくことがあるんだ。奴隷制や公民権運動がそうだ。平等は心優しい権力者が与えたものではない。人民が戦って勝ち得たものだ。誰かが戦わない限り、社会は変わらない。お父さんはその一人だ。おまえは、おとうさんを見習わなくていい。おまえの考えで生きていけばいい。お父さんの中にはな、自分でもどうしようもない腹の虫がいるんだ。それに従わないと、自分が自分じゃなくなる」
「お父さんを見習うな。お父さんは少し極端だからな。けれど卑怯な大人にだけはなるな。立場で生きるような大人にはなるな」
母が洋子に言った言葉
「お父さんとお母さんは、人間として何一つ間違ったことはしていないんだから。人の物は盗まない、騙さない、嫉妬しない、威張らない、悪に加担しない、そういうの、すべて守ってきたつもり。唯一常識から外れたことがあるとしたら、それは世間と合わせなかったってことだけでしょう。世間なんて小さいの。世間は歴史も作らないし、人も救わない。正義でもないし、基準でもない。世間なんて戦わない人を慰めるだけのものなのよ」
こう言って、二人は子供達を残して、ホテル建設のために西表の森を潰そうとする建設業者や警察に敢然と立ち向かい、立てこもる
からりと晴れ上がった真っ青な沖縄の空と海のような痛快な話だった
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元過激派の父イチローの型破りな生き方が痛快です。
それに振り回される子供達がたくましい!
第一部は都会で暮らし、イチローの破天荒な考えに
子供達の小学校と一悶着。
現過激派、公安、右翼入り乱れての事件に発展し
都会を離れる事に!
第二部は西表島での生活が始まります。
もう「北の国から」ならぬ「南の国から」
過激派とか革命とか詳しくないけど、めちゃくちゃなイチロー父がカッコ良い(〃ω〃)
息子ジローはそんな父の生き様を見て良い男になるに違いない!
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主人公の子供から見た世の中がとても 鮮やかに描かれて、本を閉じるのはもったいないぐらい引き込まれてしまいました、傲慢でどうしようもない父親、冷めた 年上の姉、またあまり物事にこだわらない母親 それらがページを重ねてるうちにとっても魅力的な人間に変わっていく様はさすが 奥田さんの筆の力、とてもステキな本でした!
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奥田作品の中では一番好きな作品。私が沖縄に憧れるきっかけをくれた本です。
元過激派でとにかくエキセントリックで頭のぶっとんだ親父にうんざりする息子の視点で描かれたドタバタヒューマンストーリー。こんな親父いるわけないと思うでしょう?いるから。私の父は元過激派でこそありませんが、この親父に性格がどことなく似ていて、父に振り回されて辟易する気持ちがすごく分かってします。(お父さんがこのレビュー読んでませんように)
でも憎めないから不思議なんです。
文章のテンポが良くワクワクして一気に読めてしまいます。特に沖縄に移住してからの家族や地域の方々との交流はとても楽しそうで心が暖かくなります。本当、奥田さにヒューマンドラマを書かせたら無敵ですね。どんな最低な人間でも好きになれそうな気がする。 -
ああ、何で今まで読んでなかったんだろ。面白かったー。良かったー。「夏の100冊」のおかげです。
思えば、「家族小説」っていうのを毛嫌いしてた頃があって、とにかくそのテの惹句がついてるとパスしてたのだった。大震災以降あからさまに連呼されているけれど、家族のつながりとか絆とか、そういう言葉が無反省に使われていると、拒否反応が起こるんである。
ずいぶん前だが、田辺聖子先生が「大家族の良さとか、したり顔で口にするおっさんを見ると、とびかかって首を絞めてやりたくなる」と書かれていて、そうそう!と拍手したことがある。幼い頃や、カモカのおっちゃんと結婚してからの、慈愛に満ちた大家族の暮らしを心から愛おしんで書いている田辺先生にして、この発言。家族は(とりわけ大家族は)大なり小なり、誰かが我慢を強いられている上に成り立つものだと思う。そこをちゃんと見ないで、家族を描くのは欺瞞だ。
この小説で、語り手の小学生二郎の父親は、かなり極端に「自分を犠牲にしない人」だ。第一部では、いくらなんでも…とウンザリしてくるくらいに。二郎もウンザリしているのだが、父を怖がってはいない。父親が、自分の意に染まない二郎の行動にも、最後には「見て見ぬふりをして」認めてくれることを知っているからだ。子どもに対して、自分の考え方を貫くことも、また、最終的にグレーゾーンで歩み寄ることも、どっちもなかなか難しいものだけど。
この二郎がしばしば、自分が子どもで無力であることを悔しく思う場面があるが、これはかつて子どもだった人はみんな身につまされるのではないだろうか。子どもってほんとに「自由」がない。誰かにご飯を作って(あるいは買って)もらわなくちゃならないし、夜になったら家に帰らなくちゃいけない。家出したって、外を普通に歩けるのは午後三時から八時くらいまでの間だ。ああ、もう早く大人になりたい!と思ったことのない人っているんだろうか。(イマドキの子どものことはわからないけど)
でもね、二郎君、あなたが先生たちを見てて気づいたように、大人だって大して自由じゃない(あなたのお父さんは除く)。そして何より、その不自由さの中に「自由」の芽は大事に育まれている。そう言ってあげたくなる。二郎君はとっくに知っているだろうけど。 -
過激派の父に振り回され、不良のカツには目をつけられ、さんざんな二郎。けど、親友がいるから学校は楽しい。
沖縄に引っ越してから、母も人が変わったように自由になり、ぐうたらしていた父が汗水流して働いてる。家族の絆もより深まり、すごくいいなあと思う。沖縄の助け合いの気持ちも良い。
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凄まじい生き様を見せてくれる父親と、共に生きる母親。
振り回される子どもたちと周囲。
息つく暇もない展開にドキドキ、ハラハラ、そしてほんのりとしながら読み終えたものです。
生きるとはなにか。
自由とはなにか、、、、、
信じるもののために闘うとはなにか。
そして、
信じ抜くとはなにか、、、、、
と、考えさせられる小説でした。 -
とにかく面白い。
主人公は小学6年生の二郎。
舞台は前半は中野区中野、後半は西表島。
父は元革命家、税金払う必要なし、義務教育不要
って感じで常識でははかれない意識の持ち主。
それゆえ、主人公の周囲にはさまざまなトラブルが。
でもひとつひとつ乗り越えて立派に成長していく。
前半は主人公が中学生の悪に苦しめられつつ
それに対峙していく物語で、後半は西表島に
移住してからの家族の生活の物語。
すごく面白い。私は後半の方が好きだったけど、
とにかくさっぱりすっきり爽快な読後感。
また忘れた頃に読みたい。 -
想像の斜め上をゆく展開に驚き。お父さんサイコー。善し悪しはともかく、自分を曲げないってのはすごいな。二郎くんらも成長しつつも、この先どうなるんだとも思うが、そこはやはりナンクルナイサーなんだろうなぁ。勢いのある一冊でした。
著者プロフィール
奥田英朗の作品





