サウス・バウンド

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 586
  • Amazon.co.jp ・本 (535ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048736114

感想・レビュー・書評

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  • 奥田作品の中では一番好きな作品。私が沖縄に憧れるきっかけをくれた本です。
    元過激派でとにかくエキセントリックで頭のぶっとんだ親父にうんざりする息子の視点で描かれたドタバタヒューマンストーリー。こんな親父いるわけないと思うでしょう?いるから。私の父は元過激派でこそありませんが、この親父に性格がどことなく似ていて、父に振り回されて辟易する気持ちがすごく分かってします。(お父さんがこのレビュー読んでませんように)
    でも憎めないから不思議なんです。
    文章のテンポが良くワクワクして一気に読めてしまいます。特に沖縄に移住してからの家族や地域の方々との交流はとても楽しそうで心が暖かくなります。本当、奥田さにヒューマンドラマを書かせたら無敵ですね。どんな最低な人間でも好きになれそうな気がする。

  • ああ、何で今まで読んでなかったんだろ。面白かったー。良かったー。「夏の100冊」のおかげです。

    思えば、「家族小説」っていうのを毛嫌いしてた頃があって、とにかくそのテの惹句がついてるとパスしてたのだった。大震災以降あからさまに連呼されているけれど、家族のつながりとか絆とか、そういう言葉が無反省に使われていると、拒否反応が起こるんである。

    ずいぶん前だが、田辺聖子先生が「大家族の良さとか、したり顔で口にするおっさんを見ると、とびかかって首を絞めてやりたくなる」と書かれていて、そうそう!と拍手したことがある。幼い頃や、カモカのおっちゃんと結婚してからの、慈愛に満ちた大家族の暮らしを心から愛おしんで書いている田辺先生にして、この発言。家族は(とりわけ大家族は)大なり小なり、誰かが我慢を強いられている上に成り立つものだと思う。そこをちゃんと見ないで、家族を描くのは欺瞞だ。

    この小説で、語り手の小学生二郎の父親は、かなり極端に「自分を犠牲にしない人」だ。第一部では、いくらなんでも…とウンザリしてくるくらいに。二郎もウンザリしているのだが、父を怖がってはいない。父親が、自分の意に染まない二郎の行動にも、最後には「見て見ぬふりをして」認めてくれることを知っているからだ。子どもに対して、自分の考え方を貫くことも、また、最終的にグレーゾーンで歩み寄ることも、どっちもなかなか難しいものだけど。

    この二郎がしばしば、自分が子どもで無力であることを悔しく思う場面があるが、これはかつて子どもだった人はみんな身につまされるのではないだろうか。子どもってほんとに「自由」がない。誰かにご飯を作って(あるいは買って)もらわなくちゃならないし、夜になったら家に帰らなくちゃいけない。家出したって、外を普通に歩けるのは午後三時から八時くらいまでの間だ。ああ、もう早く大人になりたい!と思ったことのない人っているんだろうか。(イマドキの子どものことはわからないけど)

    でもね、二郎君、あなたが先生たちを見てて気づいたように、大人だって大して自由じゃない(あなたのお父さんは除く)。そして何より、その不自由さの中に「自由」の芽は大事に育まれている。そう言ってあげたくなる。二郎君はとっくに知っているだろうけど。

  • とにかく面白い。
    主人公は小学6年生の二郎。
    舞台は前半は中野区中野、後半は西表島。
    父は元革命家、税金払う必要なし、義務教育不要
    って感じで常識でははかれない意識の持ち主。
    それゆえ、主人公の周囲にはさまざまなトラブルが。
    でもひとつひとつ乗り越えて立派に成長していく。
    前半は主人公が中学生の悪に苦しめられつつ
    それに対峙していく物語で、後半は西表島に
    移住してからの家族の生活の物語。
    すごく面白い。私は後半の方が好きだったけど、
    とにかくさっぱりすっきり爽快な読後感。
    また忘れた頃に読みたい。

  • 「卑怯な大人にだけはなるな。立場で生きるような大人にはなるな」「これは違うと思ったらとことん戦え。負けてもいいから戦え。人と違っていてもいい。孤独を恐れるな。理解者は必ずいる」
    この作品をYAに分類してしまって良いかどうか迷うところだが、難しい内容かもしれないが中高生にこそ心に響く言葉があり、こんな人がいたら良いと思える大人や子どもたちが登場する。読んでもらいたい。

  • 最高

  • あえて児童文学としたけれど。映画は豊川悦司、天海祐希、北川景子、田辺修斗、松本梨菜。

  • 元過激派の父をもつ少年の視点からの日常を描いた作品。

    東京・中野に住む上原二郎(小学6年生)が主人公。

    不良少年から目を付けられるが、友達とともに反抗する。

    父は父で右翼や、公安に自分の思想をかまし、自分の生き方を曲げようとせず、騒動が絶えない。

    そんな姿に影響されたのか、二郎少年も負けても負けても立ち上がって向かっていく。

    そのうち、家族は西表島へ引っ越すことになるが、そこでも父が騒動を巻き起こすことに。

    父・一郎の考え方は左よりではあるが、長いものに巻かれない、正義を堂々と正義という姿勢や生き方は、社会にうんざりしている者にとって、励みになりそう。

    痛快であり、元気も出るようなすばらしい小説でした。

  • とある人の物語、というのは題材、登場人物、背景を一つ間違えるとただのだらだらした文章であって物語でなくなるので、読んでいてもつまらない。
    この物語はその3つがどれも逸品で、読みながら残りのページ数がこれほど切なくなるものはなかった。
    五百数ページで収まるのかとハラハラしていたのが、きれいにまとまりストンと落ちる。
    たまたま父を送り迎えする病院の待合室にあった本を手にして読み始めたのがこんなにも冒険活劇だとは思いもしなくて
    いい本に出合えるのも運命だなぁって、でもそれはいっぱいの本を読む、という意思がなければ出会えないので、今後も空いた時間にはどんどん未知の本に手を出して行きたいと思った。

  • すごく面白かった!
    上原家の家族全員が良いキャラで好きになれる。
    周りの人達もそれぞれ個性があって良い。
    最後の方は読み終わるのが惜しくて、毎日5ページくらいを大事に読み進めた。
    また何年後かに読みたい作品。

  • ハラハラする場面と、ほのぼのしている場面と、物語に緩急があり、楽しく読める。

    父親をはじめとする、キャラクタの個性が強いおかげかと思われる。
    身近にはなかなかいない、豪快な父親が物語を盛り上げている。

    父親の言動には賛否両論あると思うが、そこは小説の中という事で、おおめに見てもらうのが良いと思う。

    この物語のような、生活も楽しそうだなぁと思ってしまう一冊。
    忙しく働くビジネスマンが、少し落ち着いて考えるためにも良い本である

  • (2007より転載)
    前半後半のギャップが激しかったけど、スピード感ありでおもしろかった。
    これも映画化されるみたい。最後のシーンは見物だろうなぁ。
    2007.7読了 

  • 夏に読みたい小説。面白すぎて止まらない。少年時代を思い出す。

  • なんだか上手く表現できないけど、すごく好きな小説家の1人。何にも考えずに笑える伊良部先生シリーズや東京物語みたいな本もあれば、ジェットコースターのように話が展開するものもあり。個人的にはサウスバウンドはその中でも一番好きかも。

  • 『サウスバウンド』奥田英朗
                                角川書店

    父も母も元過激派!どんな話?と思いながら読み始め、小学六年生の息子二郎に、すぐ感情移入(笑)
    東京中野で家族が暮らす前半は、左翼的思想を主張し、年金、税金、国家拒否を大っぴらに宣言し、変人ぶりを遺憾無く発揮する父、一郎に反感を覚え、こう言う男って働かないし、社会の恩恵を結局は受けてるのに理屈だけ。時代錯誤なオヤジを持って、子供達が可哀想。いや、ホント、子供達やってられないよなぁ…と思いながら読んでいた。
    ところが、後半西表島に家族が移住する事になって、あれ?あれれ…。何だか八重山の人々に大歓迎されて生き生きと働き出す父、カッコイイ。マキを割り、畑を耕し、漁に出る。土地の人みんなが助け合いだから、食べる物も、日用品にも困らない。自分だけ得しようと欲を出さない暮らしの中では、父一郎の考えに納得しそうになるから不思議。
    そして、八重山の歴史と、英雄伝説が父と重なった時、二郎と共に感動している自分がいた。
    とても面白かったが、こんな破天荒な両親を持ったら、この島以外では暮らせないな〜。といくらかの???を残して、満足して本を閉じた。

  • 2006年本屋大賞2位

    普通に暮らしたい小学6年生。だが破天荒な父親が起こす数々の騒動に巻き込まれ、「西表島」の廃墟となった村に移住することに。
    そこでもまたトラブルに巻き込まれるという痛快ストーリー。

    公安にもマークされるという元過激派の父。「げっ、そういう話!?」と思いきや、いい感じで裏切られ痛快。
    「これ平成の話か?」と思えるほど、昭和の香りがする小学生のアホな話もまた笑えた。
    西表島に移住した後も、沖縄独特ののんびりとした「なんくるないさぁ魂」が会話で表現されていて、これまた笑える。

    後半に行くにつれ、父親の言葉がだんだんとカッコよくなっていきます。
    最後の最後には『お話』を通じて、父親の今までの言動のタネあかしとなり、非常に素敵でした。

  • 終始痛快な作品でした。「過激派」という言葉の意味を知らない時期に読み始めた小説でしたがおもしろかったです。
    映画も見てみたいと思います。

  • 映画は、あまり良い印象じゃなかったんだけど、読んで感動!
    父さんも母さんも姉さんも妹も友達も先生も周りの人も、みんないいヒトすぎる!
    父さんの一途なカッコよさに、皆の心が一つになる!

  • 読みやすくて面白い。すごい開放感。

  • こんな無茶な人たちに親しみもってしまうのは何故?
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/9521577.html

  • 前半部分も後半部分もスピード感があって一気に読み終えた。オススメしたい一冊。

  • 世の中の規則に縛られたくなく、沖縄移住して

  • 少年の成長していく過程にグッとくる。

  • 無政府主義の父親を持つ家族の物語。八重山での生活が全てのしがらみから開放する。国家に頼っては本当の自由は得られない。

  • 最初はちょっと変わったおとうさんを持つ少年の成長物語だと思った。

    不良中学生との対立
    当たり前のように隣にいる友達
    クラスメイトの女子
    少年の成長に必要なものは全部あるように見えた。


    両親の過去が明らかになりだして物語はだんだんステレオタイプな成長物語のレールからはずれていく。

    でもおとうさんとおかあさんを見てると、どのレールが正解かなんてわからない。
    こんな考え方もあるんだなぁ。


    自分の信念を貫き通すおとうさんは確かにかっこいい。
    そのおとうさんを信じてついていくおかあさんも。

    でも、子供の人生を左右することをどう思っているんだろう。
    もう子供たちはふつうの人生を望めない。
    そんな人生に価値はないとおかあさんは言ったけど、子供たちはそれを望んでいたかもしれないのに。

    おとうさんとおかあさんがあまりにかっこよかったので、余計に複雑でした。

  • 一気読みしてしまいました。体制を批判しつつも、反体制や共産主義や運動団体に迎合しないお父さん、一本筋が通っていていいですね。登場人物が皆魅力的、いいセリフも多かった。

  • 読み終わった後、南の島に憧れた。
    理屈抜きに好きな作品である。

  • 東京編と沖縄編の2部構成。
    元過激派の父を持つ二郎の苦労と感動の話。
    読んでいて、こんなお父さんだったら面白いだろうなと思う一方で、こんな父親だったら困るなとも思いました。
    二郎はまだ小学生なのに、かなり波乱万丈な人生を歩んでいると思います。

    そして、やっぱり沖縄は素晴らしいなと思いました。
    世界の人々が、みんな西表島の人たちだったら、絶対に戦争は起こらないと思います。

  • 小説の体裁をとってはいるが、現代社会への痛烈な批判満載の本。
    この本のメッセージの本質は、無自覚な悪意・偽善への批判だと思った。

  • 右翼も左翼もわからぬ中学校時代に読んだけど、それでもめちゃくちゃ面白かった。沖縄に住みたくなる。映画化もされたけどそれはびみょうだったかなー。

  • 主人公は、「元過激派」の父母を持つ小学6年の少年。不良と対決したり、活動家の権力闘争に巻き込まれたり、沖縄で超原始生活を送ったりしながら、強く、優しく、かっこいい人間に成長していく。めちゃくちゃ爽快感がある物語。
    上巻と下巻では舞台も変わるので、違う物語を読んでいるよう。かっこいいのは下巻だけど、私は上巻が好き。もし生まれ変わることができるなら、絶対男の子になって、家出したり、殴り合いのケンカしたり、友達とちょっとエッチな夢の話をしたりしたい。

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2019年 『ヴァラエティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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