シャングリ・ラ

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  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048736404

感想・レビュー・書評

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  • 地球温暖化により炭素税が導入され、森林化した東京に聳える空中積層都市アトラス。
    オカルトとバイオレンスで編み上げた破茶滅茶SF活劇。ギャグと悪趣味の紙一重な濃厚な物語に圧死されそうになりながらも読みふける。
    これはもう面白いと言うしかない。

  • なんかハチャメチャなSFを読んでしまった。つっこみだしたらキリがないし、ネタバレのオンパレードだから詳しくは書けないけど。いやはや、こんなSFいまだかつて読んだことありませんでしたよ。


    物語の舞台は地球温暖化が進行した未来。世界は炭素を中心に回っていた。二酸化炭素を排出する国は炭素税というペナルティーが課せられる。またカーボンナノチューブの生産も重要な位置を占めていた。そして世界経済も炭素によって成り立っていた。
    東京は二酸化炭素を削減するため土地の森林化を推し進めて行った。遺伝子改造で生まれた木々は、東京の街を次々に飲み込んでいく。地上の土地を手放した人々は、アトラスと呼ばれる巨大空中人工基盤に移り住む。しかし、全ての人がアトラスに移住できるわけではなかった。アトラスに行けなかった人たちは、スコールと暑さが襲い掛かる地上で生きていくほかなかった、迫りくる森の恐怖に怯えながら。
    そんな政府の無理な森林化に反旗を翻したゲリラ組織メタル・エイジ。彼らの本拠地には大きな煙突が立ち並び、火を焚き炭素を出すことを反抗の一環とする。彼らの統領、國子はナイスバディでめちゃくちゃ強いニューハーフのモモコさんに育てられた少女だ。(これだけでもずいぶんぶっ飛んじゃっている設定なのに、これはまだ序の口)國子はアトラスと政府を相手に戦っていくうちに、アトラスがただの人工大地ではないことに気がつく。

    ブーメランが、鞭が、メスが、ミサイルが乱れ飛ぶ中、美少女が、ニューハーフが、デブが、女医が、巫女が、女官が、軍人が、人間じゃない何かが戦いの火花を散らしまくる。この戦いの果てに待ち受けているのは・・・。


    こんなかんじのストーリーで、私は一体何度ありえねぇと叫んだだろうか。解っているよ、目標にあたったブーメランは手元に戻ってこないなんて野暮なことを考えちゃいけないってことぐらい。きっとこのブーメランは当たったものをサクッと切り裂いて、運動エネルギーを弱めないまま飛び続けるんだろうさ。ちゃんとした物理的な説明なんて求めちゃいないよ。

    まあ、なんだかんだ言っても飽きずに読める本ってことに間違いはないと思う。

  • 世界観や登場人物は良かったのに、
    どうも読み辛かった。
    後半のコミカルな描写が多すぎて冗長な印象を受けた。
    あと、
    「死なない」物語ではないのに、
    一部キャラクターのギャグに近いタフさに強い違和感を感じたのも楽しみきれない要因だった。
    何度致命傷らしきもの?をくらっても、
    すぐに再登場するキャラの繰り返しに最後の方は少しうんざりした。

  • アニメから入ったのだがアニメよりはるかに分かりやすかった。この物語はSFであり、オカルトであり、エコノミーであり、神話である。アニメでは省かれていたが、この物語は国産みの物語で、東京の物語なのだ。アニメのラストも悪くはないが、原作を読むと原作のラストのほうがある意味しっくりくる。

  • 表紙詐欺。

  • 地球温暖化防止のため、森林都市に生まれ変わる東京。しかし、そこは理想郷(シャングリ・ラ)ではなかったー。近未来、スコールで瀑布する地上、自然災害をものともしない空中都市「アトラス」、炭素税というビジネスなどなど大好きな世界観だったのですが。。戦闘シーンの長さ、擬態素材や武器の仕様、國子を筆頭とするキャラクターがあまにりにも漫画の様な感じで、少し物語に溶け込めませんでした。次は「テンペスト」へ!

  • 設定・世界観は胸躍るものがあるけれど
    肝心要の物語がイマイチという
    ものすごくもったいない感が強い本だった。

  • テンペストが面白かったので、こちらも読んでみました。
    奇想天外な展開が次から次へと。ありえへんと思いながらも一気に読み切りました。読了の爽快感がちょっと足りなかったので★4つ

  • 地球温暖化が深刻になり、森林化が進んだ東京が舞台の超長編SFアクション物語。”戦う美少女”が活躍する様はラノベに近い印象を受ける。
    読書速度が人より遅い自分ですらこの量を一ヶ月で読み終えた事実がこの小説の面白さを物語っている。
    ただこの小説について書けと言われるとこれがまたスケールが大きすぎて何に触れていけばいいのか迷うが、ただやはり超長編小説の面白さはストーリーなのだなと改めて実感。長ければ長いほど登場人物に感情移入させやすい気がするし、世界観や舞台だって書けば書くほどその詳細まで描くことができる。それに対してストーリーは読者を惹きつけておくのが難しくなる。だからこの作品が面白かったのは一意に最後まで飽きさせないストーリーゆえなのだろう。あとの読み所は、映像化したくなるほど濃ゆい登場人物たちか。
    一つマイナスなのは戦闘シーンが雑。まるで目の前に迫ってくるような緊迫感、そんなのが欲しかった。

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著者プロフィール

池上永一
一九七〇年沖縄県那覇市生まれ、のち石垣島へ。九四年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス』で第六回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。九七年刊の『風車祭』が直木賞候補に。二〇〇八年刊の『テンペスト』はベストセラーとなり、一一年の舞台化をはじめ、連続テレビドラマ、映画にもなった。一七年『ヒストリア』で第八回山田風太郎賞を受賞。他の著書に『シャングリ・ラ』『レキオス』『ぼくのキャノン』『統ばる島』『トロイメライ』『黙示録』などがある。

「2023年 『海神の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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