少女七竈と七人の可愛そうな大人

著者 :
  • 角川書店
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感想 : 669
  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737005

作品紹介・あらすじ

わたし、川村七竃十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった。-男たちなど滅びてしまえ。吹け、滅びの風。半身を奪われるような別れ、あきらめていた人への想い、痛みをやさしさが包み込む。「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」の気鋭、桜庭一樹が描き出す、最高の恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 詩的で切れ味鋭い
    センチメンタルな文体。

    思春期の女子特有の
    匂いたつような濃密で閉鎖的な世界観と
    男たちへの強烈な嫌悪感。

    北国の和情緒あふれる情景描写や
    古風な台詞、情念の世界。

    そして切実で甘酸っぱい
    未知なる恋の予感。



    さすが桜庭さん。
    この人の切ない感性は
    ほんまツボ。

    少女の痛みを書かせたら
    彼女の右に出る者はいないですよね。


    七竈が花の名前で
    七回燃やしてやっと灰になることが
    その由来であることなど、
    恥ずかしながら
    この小説で初めて知りました。




    自分を変えるために、
    こころのかたちを変えるために、
    ふしだらな人間にならなければと決意し、
    辻斬りのように
    7人の男たちと体の関係を持った母・川村優奈。


    そしてそんな母から
    遺憾ながら
    美しく生まれてしまった17歳の少女
    川村七竈(ななかまど)。


    黒い鉄の塊である鉄道模型を愛す七竈の
    美しいがゆえの苦悩と
    切なすぎる初恋を描いた
    章ごとに語り手が変わる連作長編です。
    (犬の視点もあるのですよ)


    清々しいまでに自分の美貌には関心がなく、
    鉄道オタで
    『世界の車窓から』が好きで(笑)
    男たちを毛嫌いする
    七竈のキャラが抜群にいいですね。


    田舎町において美しいということは
    なんの価値もなく好奇の目にさらされ
    妬まれるだけ。


    七竈が唯一心を許す
    幼なじみで
    おそろしく美少年の
    桂 雪風(かつらゆきかぜ)。


    ゆっくりと惹かれ合う異形の二人。

    しかし二人のかんばせは
    時が経つに連れ
    そっくりな風貌と化していき…



    いわば漫画的設定だし、
    極力感情描写を排除し
    ドライに描いていながらも
    登場人物たちの痛みが行間から滲み出て
    一人一人に感情移入してしまうのは
    やはり桜庭さんの実力なんでしょうね。
    (二人が名前を呼び合うだけのシーンなのに切なさが零れ落ちるのです)


    雪風に恋をする
    おかっぱ頭の少女
    緒方みすずや
    七竈をむくむくと呼ぶ
    元警察犬のビショップなど
    脇キャラが魅力的なのも◎。



    人は永遠の、
    限りないものに憧れる。

    でも、限りあるものほど、
    愛おしく思えるもの。


    美しさもまた然りなのかな。


    日々がただ美しいうちに
    時間よ止まれと願い続けた
    悲しき少年と少女の軌跡。


    いつまでもいつまでも余韻の残るラストも秀逸な
    記憶に残る一冊です。

  • 子どもは親を選べない。住む町も、通う学校も、生き方も。選べるようになる歳まで、人生はサバイバルだ。
    私は平凡な人間だから、人目を引いてしまう美貌の七竈の気持ちに共感するのは難しいけど、でも選べない人生の息苦しさは分かる。一方で、母である優奈の気持ちも分かる。白っぽい丸な自分にがんじがらめにされ、辻斬りしたい衝動に襲われて、殻を破ってしまう。白い花、白い雪、その白に映えて美しい赤い実──
    女にとって、母との関係・娘との関係は難しい。七竈には、穏やかな幸せを掴んでほしい。

  • 読みましたー
    なんというか、嫌いではないけど自分のタイプではなかったと思います。
    タイトルと、話がちょっと・・・。
    「とんとんとん」ていう感じの内容だったと思います。
    「とん、ズコッ!トントン、ズコッ!トン。」な話の方が好きな私なので、ちょっと・・。
    ズコッ!が欲しかったです。

  • ああ悲しい。
    最近こういうミステリー系読み始めてからかなりはまっていってる。

    そのころから、ぼくと七竈のかんばせは似始めていた。

  • 言葉が、どこまでも綺麗だった。
    雪のようで冷たくて、湿っぽい。けれど物語は七竃を、雪風をおいて淡々と進む。待ってはくれない。青春も、老いも、命も。
    さようなら、雪風。
    さようなら、七竃。
    二人は、可愛そうな七人の大人たちは、幸せになれるのかしら。

  • 世界で一番美しい別れのお話。
    綺麗で静かな文章だと思いました。少年や少女はただただ美しくて、大人は醜い。
    少女は大人になり、自分の道を生きることを知る…

  • 桜庭さんの本に出てくる女の子は「超美少女」が多いように思う。

    性と生死、愛と憎がテーマなものも多いように思います。

    これもインシストに入るのだろうか??

    切ないけど、読んでよかったと思う話でした。

    ほんとに大人たちが可哀想だった。

  • 自らの美貌を呪いながら生きていく七竈は
    遠く旅に出た母を求め、
    親友・雪風と寄り添いながら日々を過ごす。

    「ずぅっと一緒にいよう。雪風」
    そのささやかな願いも
    無常に過ぎてゆく時と
    残酷な現実の嵐の中に
    のみ込まれてしまう―


    雪の街・旭川を舞台に進んでゆく
    切なくも美しい少女の物語




    大好きな桜庭作品の中でも
    特に好きな作品です

    こんなに切なくて
    胸をぎゅっと掴まれるような作品は
    なかなかないかも

  • 「大変遺憾ながら、美しく生まれてしまった」という一文に興味を惹かれつい手に取りました。
    辻斬りのように男遊び、という表現はユーモラスで、本来なら「尻軽で娘の子育てすら放棄している最悪の母親」と思われても仕方ない設定なのにあまり憎めないキャラクターになっているのはすごいなと思いました。中盤以降でようやく姿を現し、彼女の女としての悲しみを吐露するように描写をされるとつい感情移入してしまいました。七竈も設定上絶世の美少女ですが独特の語り口や後輩に散々「変人」だと評される中身が面白くてかわいらしい。母娘の確執、たった一人しか親友のいない孤独な美少女、いくらでも重苦しい雰囲気にできそうな物語をちょっとコミカルな文章でさらっと風のように書きあげる筆致であっという間に読めました。

  • "辻斬りのように男遊びをしたいな、と思った。"

    書き出しから一気に引き込まれ、むさぼるように読みました。

    いんらんの母・優奈と、たいへん美しい少女として生まれた子・七竈。そして、七竈の親友で同じく美しいかんばせを持った少年・雪風(ゆきかぜ)。

    「七竈」
    「雪風」
    「七竈」
    「雪風」
    「七竈」
    「雪風」
    「七竈」
    そんなたあいのない会話がつくりだす七竈と雪風の静寂な世界観がたまらなく好きです。

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著者プロフィール

2000年デビュー。04年『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が、ジャンルを超えて高い評価を受け、07年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞を受賞。08年『私の男』で第138回直木賞受賞。

「2016年 『GOSICK GREEN 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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