少女七竈と七人の可愛そうな大人

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 3276
レビュー : 665
  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737005

感想・レビュー・書評

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  • 『私の男』がなかなか良かったので同じ作家を読んでみることに。同じ旭川を舞台に、あちらが重く湿った肉をそなえた人々の世界であるのに対して、こちらは、神話めいた美貌の少年少女を中心とする、おとぎ話のような物語だ。
    時間がとまったような小さく静かな町の中で眠ったように生きていた少女たちは、ある日突然、次のページがめくられたように、あるいは何かが身体の中を通り抜けたように、変化する。どうしても手に入れたいひとりの男を自分の力で見つけだした女は、その日から女の辻斬りとなり、さまよいつづける旅人となる。その娘は、自身の分身と築き上げた美しく精巧な世界を永遠に捨てて、外の世界へと歩きだしていく。静かで小さい安定した町は家族たちの世界であり、その中では「いんらん」の印を刻まれた2人のおんなたちは異形のものとなってしまうのだが、しかし彼女たちに欲望を自覚させ、小さな世界を壊して生き始めさせるものが、それぞれの母親からの解放であったという事実は、これが永遠にすれちがっていく男女の物語であると同時に、母娘に伝わる呪い、そそして解放という贈り物の物語でもあるということを教えている。「七竈」「雪風」という不思議な名前と、古風にジェンダー化された話し言葉が、この物語世界に神話めいた風貌をあたえることに成功している。老犬までが「女というのは可愛いものだ」などと考えていたりするのが愉快で、全体に流れる淋しさ切なさと絶妙なバランスだ。

  • 七竈と雪風の、複雑だけども純粋な関係がとても好き。

  • 古文っぽい文章というか、そうゆう文は苦手だったのですが、これは良かった。どんどん読めた。それどころか、この少し古い言葉が味を出しているような気がした。桜庭さんの文で良かった。スラスラ読めた。
    親を憎みながら、愛してほしいと願う七竈。人の感情はそんなに簡単ではない。大人は身勝手に、子供を振り回す。子供は運命を選べない。
    時は流れる。いつまでも同じではいられない。

  • 淡々と進んでいく物語。小さな町でこんなにドラマがあるんだなぁと妙に感心してしまいました。しかも繋がりの濃さといったら想像以上です。
    主人公の口調が深刻にならない要因なのかな。皆薄々と気付きつつも、核心に触れることなく、今までの生活を続けていくのでしょうね。それが大人なのだなぁと思ったりしました^^

  • 初、桜庭一樹さん。

    桜庭さんという作家のことを、何にも知らずに読んで、この世界観にびっくりしたんですけど、ライトノベル作家なんですね。それを知ったら納得。

    「辻斬りのように」だっけ?
    この始まりの話、すきでした。
    辻斬りのように。
    いいですね。
    すきです。

    全体的に、かなり切なかったです。

    ぐっと響いてくるところもあったけど、
    こういう作風はあんまり好きじゃないなあ。

  • 文体が独特のリズムを持っていて、読んでいて楽しい。
    言葉選びも、主人公の名前「七竈」からして独特。

  • 平凡どころかそれ以下だと思っている私からすれば、美しすぎて困っちゃうなんて、理解出来ないと思ったけれど、でも大変なんだなと。
    いきなりの辻斬りスタートに驚き。
    後輩ちゃんウザかったのに、だんだん可愛くなって、苺苺苺苺苺先輩思い出しました。

  • 青春・恋愛・家族・純文学。
    主人公の口調が独特で、不思議な雰囲気を漂わせる。
    派手なストーリーがあるわけではないが、少女の成長というか、心に区切りがつく様子を感じる。

  • 気づけてなかっただけで、本当はお互いを必要としていたはずなのに。
    彼らの古風な話し方が物語を少し現実と遠ざけているなと感じる

  • かなりドロドロしてるのに語り方が妙にアッサリしていて読みやすいのか読みにくいのか不思議な1冊。七竃と雪風が切ない。これが恋なのかただの血のなせる技なのか。でも切ない切ない恋なんだろうな。

著者プロフィール

桜庭 一樹(さくらば かずき)
1971年、島根県生まれの小説家。
1999年「夜空に、満点の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。
『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編部門)、『私の男』で直木賞を受賞。他の代表作に『GOSICK -ゴシック-』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』『赤朽葉家の伝説』などがある。
ゲームのノベライズやライトノベル作品や、山田桜丸名義でゲームシナリオを手がけるなど幅広く活躍している。

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