少女七竈と七人の可愛そうな大人

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 665
  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737005

感想・レビュー・書評

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  • 桜庭さんの本に出てくる女の子は「超美少女」が多いように思う。

    性と生死、愛と憎がテーマなものも多いように思います。

    これもインシストに入るのだろうか??

    切ないけど、読んでよかったと思う話でした。

    ほんとに大人たちが可哀想だった。

  • 「大変遺憾ながら、美しく生まれてしまった」という一文に興味を惹かれつい手に取りました。
    辻斬りのように男遊び、という表現はユーモラスで、本来なら「尻軽で娘の子育てすら放棄している最悪の母親」と思われても仕方ない設定なのにあまり憎めないキャラクターになっているのはすごいなと思いました。中盤以降でようやく姿を現し、彼女の女としての悲しみを吐露するように描写をされるとつい感情移入してしまいました。七竈も設定上絶世の美少女ですが独特の語り口や後輩に散々「変人」だと評される中身が面白くてかわいらしい。母娘の確執、たった一人しか親友のいない孤独な美少女、いくらでも重苦しい雰囲気にできそうな物語をちょっとコミカルな文章でさらっと風のように書きあげる筆致であっという間に読めました。

  • "辻斬りのように男遊びをしたいな、と思った。"

    書き出しから一気に引き込まれ、むさぼるように読みました。

    いんらんの母・優奈と、たいへん美しい少女として生まれた子・七竈。そして、七竈の親友で同じく美しいかんばせを持った少年・雪風(ゆきかぜ)。

    「七竈」
    「雪風」
    「七竈」
    「雪風」
    「七竈」
    「雪風」
    「七竈」
    そんなたあいのない会話がつくりだす七竈と雪風の静寂な世界観がたまらなく好きです。

  • いんらんの母親を持ってしまった娘の物語かと思いきや、「母と娘」という永遠のテーマで締められて、最後は思わずじんわりきてしまった。

    純愛。それぞれに、「一番側にいて欲しい」と心から願う人が、側に居てくれない切なさ。母にかけられた呪い。叶わぬ想い。永遠につきまとう呪縛。かんばせ。

    桜庭一樹さんは、作品によってガラリと作風が変わるので楽しい。少女七竃と少年雪風の、丁寧で独特の喋り口調がとても味わい深くて良かった。また、飼い犬ビショップ目線で描かれた章もとても良かった。

    「女の人生ってのはね、母をゆるす、ゆるさないの長い旅なのさ。ある瞬間は、ゆるせる気がする。ある瞬間は、まだまだゆるせない気がする。大人の女たちは、だいたい、そうさ」

  • 読んだのは文庫版ですが、装丁が好きなのでハードカバーの方で。(文庫版の装丁も好きです)

    遺憾にも美しく生まれてしまった少女・七竈の物語。
    幼馴染の少年・雪風との、やり取りが美しい。
    「雪風」
    「七竈」
    「雪風」
    「七竈」

    がたたん
    ごととん
    がたたん
    ごととん

    という、短くて2人だけが共有できる世界。
    変わっていく人間たちの、さまざまな視点と、その変わり方。

    会話の美しさがいい。
    登場人物の行動は跳びぬけていて、それがまた魅力。

    たんたんと語るような地の文と、キャラクターの激しさが心地よいギャップ。

    耽美だけど、少女漫画過ぎない。そんなところが好き。
    七竈も雪風もすごくいいキャラクターです。

  • もっと抽象的で絶望的な話かと思ってたけど、わりと普通にストーリーがあった。
    たぶん成長と親子の物語なんだよね。意外に。
    主人公の七竈と雪風の言葉の使い方が文語調で独特。「かんばせ」なんて。
    閉じられた世界にいる七竈が、だんだん外の世界に目を向け始めたとき、雪風がどんどん色あせてくるように見える。
    頑なな七竈が、後輩の女の子と心を通わしていくのがなんかほのぼの。最後はさびしいけど清潔なあかるさがあるように思いました。

  • 旭川という地方都市の、少女七竈とその周辺の人々の物語。
    私は、好きだった。

    母親と娘の関係って難しいと、私も常々感じている。結婚して家を出た時、その解放感は凄かった。育ててくれたことに感謝しているが、一つ一つ監視されているような息苦しさに、もう限界が来ていたのだ。

    私には娘がいなくてよかったかもしれない。知らず知らずのうち、女とはこうあるべきというような、私の固定観念で雁字搦めにしていた可能性が高い。
    出てくる女たちは強い。男は流されたり、翻弄されたり・・・。
    続編があったら是非読みたい。

  • すべての女は みずからの娘に生きざまを裁かれる。
    すんなりと受け容れてから、そのこわさにぞっとした。

    七竈と雪風の美しい世界はもう、融けてしまうね。
    すべてを隠して凍らせてくれていた冬は、終わってしまったから。

  • 旭川はもっと大きい町だと思うけど、冬の空気感がいい。

    淡々と書かれてるけど、けっこう好き。

  • 母親の「辻斬りのような」淫蕩の末に生まれた美少女・七竈。
    母は彼女を産んだあとも「辻斬り」を繰り返すために出奔し、七竈はその美しさと出自ゆえに周囲から浮きまくり、ひたすら鉄道模型に邁進するか、ただひとりの友人である雪風との合わせ鏡のように静謐で広く閉じた世界ですごすか、という日々を送っていた。
    しかし周囲の大人たちは、日に日に美しい顔立ちに育ってゆく七竈をほうっておかない。
    そして徐々に周りが騒がしくなってくる…

    かなり好きな雰囲気。
    七竈と雪風の健気さも胸を打つし、母を始めとする周りの大人たちの、自分の感情にどうしようもなく振り回されるしかないところも哀しく沁みる。
    そして、少女期の終わりの不安定な堅さや、なんの過不足もなかった、でも本当は退屈な世界に突如窓が開いた瞬間の眩しさや、開いたドアを後ろ手に閉じる刹那のほろ苦い味。
    そういう懐かしい諸々が収められている小さな宝箱みたいだ。
    個人的には、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」よりもずっと好きな1冊。

著者プロフィール

桜庭 一樹(さくらば かずき)
1971年、島根県生まれの小説家。
1999年「夜空に、満点の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。
『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編部門)、『私の男』で直木賞を受賞。他の代表作に『GOSICK -ゴシック-』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』『赤朽葉家の伝説』などがある。
ゲームのノベライズやライトノベル作品や、山田桜丸名義でゲームシナリオを手がけるなど幅広く活躍している。

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