愚者と愚者 (下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ

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  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737203

作品紹介・あらすじ

応化十六年。内戦下の日本。性的差別、人種問題、経済と宗教、それぞれが孕む矛盾のなかを生き抜いていく、少年少女の一大叙事詩。「裸者と裸者」に続く、書き下ろし最新作。

感想・レビュー・書評

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  • よし、ならば戦争だ、というわけで、戦争、というよりは内戦だけども。
    日本において、というか東京でどういう戦いになるのか、と、男子ならば考えたこともあるのではないか。いやないか。
    といってもなんで東京ということさえおいておけば、新宿から池袋、環七や246などの地名から想像される戦線の雰囲気をけっこう細々と描写していて、場所が分かる人にはそこそこ楽しめるかも。
    女性差別についてはアフガンあたりで、外国人問題はフランスあたりで、既に色々話題なので、焼き直し感も無きにしもあらず。しかし差別すんなと正論を振りかざしても必ずしも大衆がついてこないというのはよく分かる。
    てか渋谷あたりでワラワラと湧き出す少女ギャング団恐るべし。渋谷こわい。

  • ″おまえが罪を犯すなら、わたしも罪を犯そう″
    パンプキン・ガールズのテーゼが心に響いた。
    戦争に人道的も非人道的もない。
    いつも飄々としている椿子の戦争に私情を挟まず、ビジネスとして淡々と進める様は、賢明だが不安になる。
    彼女自身も死を恐れないし、誰のどんな死でも受け止めてしまうから。
    死様に意味を求めないから、今を楽しんで生きる。
    だから誰よりも強いのだろうか。

  • で、3部作の2作目と知らないまま読んだ下巻は少女マフィアの戦争の場面が多く、世界観に慣れたのもあり、いくらか楽しめました。

    ただ、やっぱりシリーズを通して読まないと評価は出来ないと思うので、また次回読み直したいと思います。

  • ジェンダーという枠を破壊しろ。肉体という境を超えろ。“女の子”よ銃を取れ。戦争の終わりに熱は冷めるか。

  • 前の構成と同じで
    下巻は双子の片割れの話。

  • 作品の紹介
    裸者から愚者へと成長していく、少年・少女たちの青春群像。
    月田椿子は少女だけのマフィア・グループ、パンプキン・ガールズをつくり、欲望と感情の赴くままに世渡りをしていく--。

    応化十六年。内戦下の日本。性的差別、人種問題、経済と宗教、それぞれが孕む矛盾のなかを生き抜いていく、少年少女の一大叙事詩。「裸者と裸者」に続く、書き下ろし最新作。

  • 「裸者と裸者」同様、下巻は海人から椿子の視点に移る。
    戦局はいよいよ混迷を極め、複数の武装勢力が対立し共闘しテロを起こす。戦火はついに首都、東京にまで及ぶ。
    ジェンダーを超越した椿子に対して、世間は歪んで頑迷だ。快楽を求めながら建前を必要とする。
    戦争は大多数の人間のアイデンティティをいとも簡単に倒壊させ、寄り添うための思想が求められ、盲信される。
    椿子流に言うならば、くだらない「男根主義」が横行する。
    そんな中、奔放ででたらめで聡明な椿子はひどく魅力的だ。
    彼女が最後に幸福を掴めばいいのにと思う。

  • さまざまなジェンダーを抱えた社会で、
    内乱・戦闘が彼らを一つにつなげている。
    精神と身体がともに男性だけど、女装してAKを撃ち放つのが快感という集団が出てきたところに、支離滅裂さがよく出てて、椿子の磊落な生き様が爽快。
    「でたとこしょうぶだ!」と鬨の声を挙げる姿がかっこいい!

  • 続きが気になって仕方ないじゃないか…

  • <b>「世界を変えるには、まだぜんぜん兵力が足りないよ」<br>
     椿子の言葉に、アウグストが顔をしかめた。<br>
    「おれたちをゆうわくしないでくれ」</b><br>
    (P.166)

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著者プロフィール

1948年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。92年『灰姫鏡の国のスパイ』が第13回横溝正史賞優秀作を受賞し作家デビュー。2003年『ハルビン・カフェ』で第5回大藪春彦賞を受賞。07年10月逝去。

「2022年 『Memories of the never happened1 ロビンソンの家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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