薄闇シルエット

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 750
感想 : 157
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737388

作品紹介・あらすじ

ハナは下北沢で古着屋を経営している37歳。仕事は順調、というかむしろ勝ち組。ある日、恋人から結婚を迫られたことを契機に、恋愛と仕事について模索していくことになり…。生き惑う女性の心情を描く極上長編小説

感想・レビュー・書評

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  • アラフォー女性に優しい本。
    今読むべきして読んだ本。
    角田さんにやはり救われる。
    何もできない自分、前に進めない自分、少し優しくしてあげよう。

  • 女性にしか分からない女性の心の機微が細かに描かれている。
    これは男性が読んでも、あまり面白くないしよく分からない。で終わっちゃいそう。

    主人公のはなちゃん、アラフォー。
    あれもしたくないこれもしたくない、自分の好きな事しかしたくない。けどふと気がつくと周りはいつの間にかしっかり自分の居場所や目標を持ってて、何もしてこなかった自分にはもちろん何もない。
    私も結婚してなかったら、こんな女性になってたかもな。
    自分は自分だし、何にも縛られない自由を手に入れたいのだと思う気持ちと、周りと比べて何もない自分に焦る気持ちの間で揺れ動いて不安定になっていくはなちゃんが痛々しかった。

  • 前へ前へ、プラスの方向へ進むことが正解なのか。三十七歳になってもハナにはわからない。

    長年付き合ってきたタケダくんはハナと別れたあと、正社員になって若い女と結婚した。
    ハナと一緒に古着屋を営んできたチサトはブランド品買取に手を付けて、質屋の息子と結婚した。
    ハナの妹は家事と育児に悪戦苦闘している様子で、自分の母親のようにはなれていない。

    ハナは着古した子ども服から絵本をつくることを思いつき、天才的なひらめきを持つキリエに手伝ってもらって話題になる。
    承認欲求は満たされたような気もするけど、なんだか自分のやりたかったこととは離れてきたみたいだ。
    チサトもタケダくんもみんなそれぞれ自分なりの幸せを手に入れたのに、自分だけ何も持っていないとハナは感じて泣いてしまう。

    そして気づく。誰かの価値観を自分のもののように錯覚していただけではないか、と。
    間違って何かを掴んでも離せばいい。それでまた何かを掴めばいいのだ、と。

    ---------------------------------------

    鳥の鳴き声を聴いて勃起(!)する人もいるくらいだし、人によって幸せの定義はぜんぜん違う。
    なんでもかんでも手作りしていたハナのお母さんと、ハナの妹の子育てが違うのも当たり前。何が正解なのかはわからない。全部正解なのかもしれない。人に答えを求めることはできなくて、答え合わせは自分のなかでするものなのだ。

    セレブチサトの結婚式で、「結婚なんてつまんない。結婚も陣内さんもチーちゃんを幸せにできない。でも、チーちゃんは自分で幸せをもぎとってくる腕力を持った人」とスピーチをするハナがかっこよくてしびれた。

  • 本の表紙がこの物語をすごく良く語っているなと、読み終わってしみじみ思った。
    生きるって、いろんな道を選択していくことなんだろう。
    一つ一つの選択を積み重ねて、一人の人格が出来上がっていく。
    そして、選ばなかったものの、確かにそれも自分の一つになるのだろうと思う。
    主人公が最後に思い決めたこと、とても大切な生きていくうえでかけがえのないものだと思う。

    • kuroayameさん
      以前、えぬもこちらの本を読んだので、レビューを拝見させていただき、とても『わかるわかる』と頷いていました(^o^)。
      以前、えぬもこちらの本を読んだので、レビューを拝見させていただき、とても『わかるわかる』と頷いていました(^o^)。
      2012/10/20
    • sorairokujiraさん
      この本、えぬさんの本棚を参考にして読んだものです。
      えぬさんの本棚、読みたいと思えるものが多いので、楽しみにしています。
      この本、えぬさんの本棚を参考にして読んだものです。
      えぬさんの本棚、読みたいと思えるものが多いので、楽しみにしています。
      2012/10/20
  • 一度読んだことがあったことに気がつかず図書館で借りました。
    読み進めていく中で、野鳥観察が好きな男性のくだりでふと「なんかこの話知ってる!」と思い出したものの(よっぽどインパクトがあったのでしょうね)、結末までは思い出せなかったのでそのまま読み進めました。
    前回読んだ時よりも主人公の年齢に近くなっているせいか、他人と自分を比べて一喜一憂することや既婚の親友との距離感など、うなずける心情が多くなっていたと思います。
    やりたいことをやり遂げられない人、自分の道に迷いがある人に読んでもらいたいです。

  • 前半が超絶に面白かったのだけど、後半少し失速。

  • 何気ない日常の物語。
    とりたてた刺激もなく、淡々と進んで行く中に
    ああ、この気持ちわかるなぁ、とか
    へぇ、なるほどねー、など いろんなことを感じた。
    ところどころ、くすりと笑える場面もあり。

  • 何か始めようとするたびに、人と比べたり、昔を振り返り、自分自身駄目さを確認する主人公。
    お話が長いので、繰り返し読むのが段々辛くなってきてしまいました。

  • 15年後、自分がこうなってたらやだな、でもなってそう…って思う、角田さんお得意(?)のイタい女シリーズ。
    角田さんの描く主人公って、自分も下手したらこうなりそうって思う身近さ、リアルさがすごくある。
    日常の心理描写がとても上手いと思う。
    でも、、やっぱり話の内容はすっごい好き!って言える程には愛せないなぁ。
    それでも、次々と角田作品を読みたくなってしまう、マジック。

  • 女の人生は大変だ。
    仕事をしてるか、結婚してるか、子供はいるか、選択肢が多すぎて選ぶ道によって疎遠になる友情もある。
    完璧な主婦の母親、不満だらけの専業主婦の妹、仕事も結婚も手に入れた親友、バリバリ仕事してるクリエイター達…、結局どれもこれも違うと思うから自分の人生を自分で生きていくしかない。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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