雷の季節の終わりに

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 865
レビュー : 190
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737418

作品紹介・あらすじ

現世から隠れて存在する小さな町・穏で暮らす少年・賢也。彼にはかつて一緒に暮らしていた姉がいた。しかし、姉はある年の雷の季節に行方不明になってしまう。姉の失踪と同時に、賢也は「風わいわい」という物の怪に取り憑かれる。風わいわいは姉を失った賢也を励ましてくれたが、穏では「風わいわい憑き」は忌み嫌われるため、賢也はその存在を隠し続けていた。賢也の穏での生活は、突然に断ち切られる。ある秘密を知ってしまった賢也は、穏を追われる羽目になったのだ。風わいわいと共に穏を出た賢也を待ち受けていたものは-?透明感あふれる筆致と、読者の魂をつかむ圧倒的な描写力。『夜市』で第12回日本ホラー小説大賞を受賞した恒川光太郎、待望の受賞第一作。

感想・レビュー・書評

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  • ◆先入観で8月だと思った雷季とは、冬と春の間にある神の季節。◆恐ろしかった。舞台描写は『夜市』同様キラキラと美しかったけれど、描かれている暴力の連鎖が恐ろしい。キュウちゃん・ナギヒサ・沙智子・トバムネキのおぞましさ。「殺さなければ殺される」…卑劣な暴力に立ち向かうため、思考を停止し、同じ土俵に立つことを強いられ、自らの手を血で汚すことを正当化せざるを得ない恐怖。◆高天原の草原の上を飛び交う風わいわいを想像することはとても素敵。本当にふと「穏」に迷い込んでしまいそうなその世界観は流石。◆読後、無性に『ゲド戦記』を再読したくなりました。【2013/08/27】
    ◆「風わいわい」…勝手にハシビロコウのビジュアルを当てて読みました(笑)

  • 「隠」という地図上に無い閉じた世界から始まる物語。
    恒川氏の言葉選び、造語の妙と巧みな描写力で冒頭から物語の世界に引き込まれます。
    古い因習・風習の残る「穏」という場所は郷愁を誘うけれども、閉鎖社会の息苦しさや余所を受け入れない頑なさがどこかリアルでもあり、まるで本当にこの世界と隣り合わせに存在するのではないかと思わせる。
    現実世界との境界・歪みを表す描写も、目に浮かぶようでした。
    中盤から少し色を変え、ラストはちょっと駆け足で過ぎた感はありますが、恒川氏の世界観は本当に素敵です。
    本当に怖いのは人の歪んだ悪意。

  • 恒川光太郎2冊目。(一冊目=夜市)
    いやー、この方の独特の妖しくて美しい世界、素晴らしいです。
    でも「夜市」にはかなわないかな。
    ・・・長編=登場人物が多く、その登場人物に寄りそうように細かく描写しているせいか、ちょっと全体的にボヤケた感じになってる気がするのはワタシだけでしょうか?
    でも、それでも素敵な本でした。
    まだまだ恒川光太郎氏の本、読み続けたいと思います♪

    • まっき~♪さん
      はじめまして。

      はなまる、ありがとうございました。
      みつきさんのブログ拝見しました。ひまわりの写真がきれいで、鮮やかで感動しました。

      あ...
      はじめまして。

      はなまる、ありがとうございました。
      みつきさんのブログ拝見しました。ひまわりの写真がきれいで、鮮やかで感動しました。

      あと本棚も素敵なのでフォローさせてください。

      私も恒川さん好きで、「風の古道」が一番印象深いです。
      私の本棚はフォローしなくてもOKなので、気になさらないでください(o^∀^)
      2012/09/14
  • 現世から隠れて存在する小さな町・穏で暮らす少年・賢也。彼にはかつて一緒に暮らしていた姉がいた。しかし、姉はある年の雷の季節に行方不明になってしまう。姉の失踪と同時に、賢也は「風わいわい」という物の怪に取り憑かれる。風わいわいは姉を失った賢也を励ましてくれたが、穏では「風わいわい憑き」は忌み嫌われるため、賢也はその存在を隠し続けていた。賢也の穏での生活は、突然に断ち切られる。ある秘密を知ってしまった賢也は、穏を追われる羽目になったのだ。風わいわいと共に穏を出た賢也を待ち受けていたものは―?透明感あふれる筆致と、読者の魂をつかむ圧倒的な描写力。『夜市』で第12回日本ホラー小説大賞を受賞した恒川光太郎、待望の受賞第一作。
    (BOOKデータベースより)

  • 「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞した恒川光太郎さんの2作目。「夜市」(というより一緒に収録されていた「風の古道」)がよかったので期待しつつ、期待しすぎないように気をつけながら読み始めました。2作目だからね。でもそんな気を配る必要はなかった。面白いです、これ。ここではない別の世界が舞台なんですが、細かい描写もしっかりしてて薄っぺらくなっていない。雰囲気あります。伏線もうまく張られ、きれいに収まっていて。ラストの展開が微妙っちゃ微妙。それでも次の作品(もう出てるみたいね)も必ず手に取ろうと思えるくらいよかったです。

  • 「穏」という不思議な里は,現実の世界と隔絶されたところにある一昔前の田舎の村のような場所。主人公はそこに暮らす少年で,不思議なしきたりとか心霊的なあれこれとか廃墟となった隔離地区墓街にこっそり忍び込むとか,そういう空想上の街での不思議がメインテーマなのかと思ったら。

    僅かにつながっている現世とストーリーが少しずつ交わってゆくという話でした。

    幼い頃主人公にとりついた風の霊鳥が,思いのほか話のキーポイントだった。ホラー風味。おもしろし。

  • この世界ではない、どこかが舞台。
    少年は自分のうちに棲む何かとともに旅立った。故郷に生きて戻ることはないだろう…。

    常川氏といえば美しく幻想的なファンタジー世界を書く名手だけど、この作品では美しさよりも少年が旅を通して心身ともに成長していく様が際立っていたように感じられた。
    人知の及ばない存在、場所、事柄。想像力豊かな作家さんの頭の中はどうなってるんだろう。
    「夜市」ほどの衝撃はなかったけど、この作品もなかなか。好きな感じでした。

  • 『穏』と言う世界から隔絶された世界から離れる少年少女と世界から『穏』へ向かう幼児と少女の物語。
    後半でこの二組の関係が明かされて話が一つの物語になる構成に唸りました。そう来たか、と言う感じです。
    『穏』の風習、世界観や風わいわいと呼ばれる鳥の生態、トバムネキと言う異能、どれも不思議ではあるけれどどれも違和感を感じずに物語が進み、作者の上手さを改めて感じました。

  • 暗めのファンタジー。こういう雰囲気好きだなぁ。風わいわいがいるような世界観も、茜の話と賢也の話の繋がり方も好き。お姉ちゃん!!最後の2ページは胸が苦しくなった。賢也のこれからの人生が、穂高と姉の人生とは交わらないであろうことが辛い。でも、賢也にとってはその方がいいのだろう。

  • この世界とどこか接点を持った異世界を舞台に,悪意が行き来する.「風わいわい」という鳥のようなもの,神の使いのような存在なのかもしれない.この存在は不思議だが,どちらの世界にも同じような悪もあれば善もあるということかな.

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プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2018年 『滅びの園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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