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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784048737753
作品紹介・あらすじ
広大な屋敷の離れにひっそりとアトリエを構える一人の裁縫師。たいそう腕が立つというその裁縫師の元を訪ねた9歳の幼女は、そこで禁断の恋に身をまかせることになる――。女流作家による新感覚小説集。
みんなの感想まとめ
独特な世界観と詩的な表現が魅力の作品で、登場人物たちの孤独や禁断の恋が繊細に描かれています。裁縫師との出会いを通じて、9歳の少女や生涯独身の女性、母に捨てられた小学生、女神のような薬剤師に魅了される男...
感想・レビュー・書評
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小池昌代の短篇には物語がない。それは散文でもなくかといって小説でもない。強いて言うならば切り取られた風景画に対するキャプションのような趣きのある。あるいは語られたできごとに対するあれこれの思いの吐露、といったところであろうか。何故か、自分には小池昌代が語っているプロットが動いているようには思えず、1コマ1コマゆっくりと進む映像を辿っているような印象が残るのである。焦点は物語ではなく、思いに寄っている。
それを詩人特有の視線のせいである、と言い切ってしまうのは余りに簡単なのであるが、果たして本当にそのようなことなのであろうか? 何か決定的にスムーズな話の展開を維持することを拒む特徴がこの詩人にはあるような気がするのである。
一方で、紡ぎ出される言葉の滑らかさ、そして湿度は相変わらずだ。時に湿度は過剰に鋭敏であり、不意打ちでもあるのだが、切り取られた映像の指し示す理(ことわり)を無視して読むものに迫ってくる。その為に小池昌代の文章を好む人が出てきてしまうのではないか、などという実に意味のない心配を撒き散らしながら。
収められた短篇の中では「空港」と題された文章に、鮮やかなエピローグが添えられているのだが、その展開の手に届きそうで指先からすっと逃げていく感じに小池昌代の小説家としての可能性を感じた。後は、ただひたすらに「詩人」である小池昌代なのであった。勿論、それは決して悪いことではない。
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不思議な世界観。でも、私の中にもありそうな感覚。ソフトに官能的。
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きれいな文章の、孤独な話。
9歳のときに裁縫師と出会って、生涯独身の女性、母親に捨てられた小学生、女神と呼ばれる薬剤師に魅入られた男性。
裁縫師の服装の描写はとても好き。 -
現実と隣接する異空間。記憶の再構築。読んでる間、何度か自分の中で忘れ去られていた記憶が蘇った。胸がちくっと痛んだ。
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不思議な感じがする短編集。
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表題作のあらすじに惹かれて、ずっと読みたかった本。文庫化を待つつもりだったけど、短編集とは知らなかったから借りて来て正解だったかも。内容は期待通り、実際に読んでみてこの世界観には惚れた。
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5つの作品からなる短篇集。
裁縫師、タイトルが潔くて素敵。
それだけで、おぉっと思って手に取った。
少女の頃の追想という形で描かれる。
初めて洋服を仕立ててもらったときのこと。
しかし、あまり好きではない方向へ。
もしかして妄想なんじゃないかとさえ思えてくる。
素敵な記憶を反芻しすぎて、おかしくなっちゃった、みたいな。
むしろそうであって欲しい。
他の作品も幻想的というか少し不思議な物語たちでした。 -
高価な単行本は買うまいと心に誓っている。あっという間に文庫化されたりするといつもそう思う。
この短編集のことは、共通の本のレビューを書いたもの同士として知り合った方の新しいレビューで知った。共通の本とは小池昌代さんの前著『タタド』、その方の新しいレビューを見たのは昨夜だった。
最初の2行を読んで、迷わずレジへ。いつもの誓いは反故にした。
あまりにも瑞々しい筆致に、もう続きを読みすすめば引き込まれてゆく予感が確かにあった。
それはともかく、角川書店さん、売りたいのはわかるけれど、「エロス」だの「9歳の女も感じるということを」だとか赤い文字で帯に入れるの止めてくれない。
下世話なキャッチコピーが不愉快な夾雑物の様に感じられるほどに、小川のなめらかな流れのごとく、物語は何の滞りも一切の抵抗感も感じさせずに流れてゆく。
私は文芸評論家でもないし、自分が物書きであるわけでもないから追求してみても意味はないのだけれども、この作家の文体のなめらかさは一体何処から来るのだろう。理由もわからずにいつも一緒に流されるかのごとく読みすすんでしまう。
表題作の『裁縫師』を読み終えたところで、不意に小学生だった頃のクラスメートを思い出した。確かいく子ちゃんという名前だったその子は、二年生のとき東京から転校してきて、あっという間に三年生のときまた東京へ帰っていった。
いく子ちゃんの上品で賢そうな立ち居振る舞いに私はいつもちょっと引いていた。私は田舎者だった(今でもそうか)。
こんな事もあった。なぜだか二人きりで神社の境内で遊んでいたとき、突然彼女が姿を消した。あれ、あれと思っているうちにまた姿を現し、私の耳元で囁いた。
「おしっこしていたの。誰にも言わないでね、恥ずかしいから」
世田谷あたりのコが話す綺麗な標準語、しかも聞き慣れない女の子のひそひそ声だった。
どきどきした。
やはり「良い」ですな。こういうの。
だから角川さん、「七歳の男子でも欲情する」って書くのと同じだよ、もう止めなさい。 -
書籍番号
M110201-060-9784048737753 -
綺麗な文章と質感の短篇集。表題作が好き。
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非常に読みやすい本だと思います。
私はなんだか国語の教科書を思い出しましたが。
この文章を書いたとき、作者はどう思っていたでしょう。知るか。
みたいな。
面白くないわけでもないのですが、面白いわけでもない。
読み終わったときに思うことは「ふーん」
という。
何も残らない。
いわば現実的幻想文章。
教科書思い出すとか書きましたが、教科書に載ることはないでしょう。内容的に。
ちなみに一番気に入ったのは表題の裁縫師の途中まで。 -
もの寂しいようで逞しい強さをもった妖しさが交錯する物語集でした。
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非現実の中に、確かに知っている感覚が見え隠れする。
最後の一編「野ばら」に、奇妙な共感を覚えた。自分と重なることなど、何ひとつないのに。
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著者プロフィール
小池昌代の作品
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