- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048737920
作品紹介・あらすじ
もしあなたが世界からこぼれ落ちても、私が両手をのばして、受け止めよう-『博士の愛した数式』『ミーナの行進』の小川洋子が世界の片隅に灯りをともす、珠玉のナイン・ストーリーズ。
感想・レビュー・書評
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小川洋子要素たっぷりの短編集。毒気強め。
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不思議な内容すぎて、途中で断念。残念
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死の匂いが濃厚な短編集。小川さんの小説の風変わりな登場人物たちはどんな世界でもちゃんと居場所がある。多少人と違ってもそれは意外とひっそりとした差異で受け止めてくれる人もちゃんと何処かに居るのかもしれない。
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秀逸な表題。
読み進めるほど、これ以外の表題は考えられない。
登場する事物の一つ一つは知っているもののはずなのに、何もかもが違っている。 -
短編集のせいか小川さんらしい静謐さはやや薄れ、生々しさや奇妙な味が強く出た作品。特に中ほどの短編『イービーのかなわぬ望み』『お探しの物件』『涙売り』などを読みながら、三崎亜紀さんや栗田有紀さんを思い出す。いや小川さんの方がずっと大家でしょうけど。
いずれにせよ「浸れる物語」です。 -
ゾーッとする短編集。
『教授宅の留守番』が1番ゾゾーっとした。
教授に凄い入れ込んでいると思ったらそういうこと。 -
単なる名詞の羅列でさえ美しく感じるような、儚くて詩的な文章が◎部屋の隅っこで、誰にも邪魔されず、ひっそりと読みたい作品。
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とても久しぶりの小川洋子。わたしは中学時代、このひとの書くものが好きで好きでほとんど読破したのですが、どうして好きなのかということについてあまり自覚的ではなく、深化を遂げていく小川文学に馴染めなさを感じ、長い間離れていました。静謐な世界観、美しい文章、奇妙だけどしっくりくる比喩、あのころはわたしは小川文学のそういうところが好きなのだと思っていた。けど、それは一部分で、今振り返ればおそらく当時のわたしにとって本当に切実だったものが小川文学にあったからあんなに読んでいたのだとおもう。小川文学の大きな特徴である、世界の隅っこに打ち捨てられているようなものに対する眼差し、無垢なものが傷つけられることを怒りではなく掬い取り描くそのスタイル。いろんなものにうまく馴染めず孤独と寂寥感に苛まれ、無垢な子供時代から思春期に突入していったあのころのわたしにとって、小川文学は本当にかけがえのないものだった。当時のいろんなことが蘇ってきて、ふるえながら大事に大事に読みました。
小川文学には、ふつうとすこしちがう、奇妙だけど無垢なひとやものが出てくる。初期はホラーテイストで、中期はそれらが残酷に打ち捨てられてしまう情景が仔細に描かれるようになり、中学時代のわたしはここまでがとても好きだった。その後、打ち捨てられてしまうだけではなく、でも下手で決定的な救済でもなく、ほんとうにすこしだけ掬い取るようなものになって、当時のわたしは離れてしまったのだけど、今ならわかる。紛れもなく小川洋子の文学は深化を目指していて、まだ過渡期かもしれないけれど違う場所に向かっていて、あるゆるものでいっぱいいっぱいだった中学時代のわたしには届かなかったけど、今のわたしはそんな小川文学を見届けたいとおもっていて、ようやく追いつけたのだと。ほんとうに、世界の淵から零れ落ちてしまいそうなひとに向かって小川洋子は静かに、でも確実に手を差し伸べているし、もうただいま、ありがとう、という想いでいっぱいになった。もう一度きちんと出会えて良かった。ありがとう。 -
男女のさまざまな「愛」にまつわる短編集。9編収録。
純愛のようなさわやかな話はなく、全話にわたって歪んだ一途な狂気がある。
それを小川さんの読みやすい文面で書かれているため、つい読んでしまった。
「舌」「骨」「網膜」など人体の部位名や「苔」「茸」「蔦」など植物もよく出てくる。好きな人にはたまらないかも。