島の夜

著者 :
  • 角川書店
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737982

感想・レビュー・書評

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  • 離婚した父と母が出逢ったという思い出のT島に、初めての一人旅で向かった18歳の波子。十年以上ぶりに再会した父が営む民宿で、今まで会ったことのない多種多様な人々と知り合う。宿泊客に次から次へ手を出すことで島中の噂になってしまった父。最愛の恋人を亡くしたばかりのゲイのトシミさん。男性経験がないまま38歳になってしまったことを恥じる小百合さん。民宿のヘルパー兼、波子の父の現在の恋人でもある二十二歳の雪ちゃんは、東京から自分を追ってきた元恋人・景ちゃんの情熱に心揺すぶられる。全体的に己の欲求に正直な彼らの姿に動揺し、感化されながら、波子は人を好きになることの未知に触れ、父や、東京で待つ母との新しい関係性を模索する。
    『あなたに安全な人』を読んで興味を持った木村紅美さん、二作目。あまりに作風が違って驚いた!本当に同じ人が書いた本ですか?
    この本はすごくおもしろいとか何か気付きがあるとかそういうことはなかったのだけど、なんとなくテンポが良くて無駄がなく、軽快な語り口ながら離婚とかトランスジェンダーとか愛する人の死とかをしっかりテーマにしていて、へえとかほおとか思っているうちに一時間くらいで読み終わった。
    木村さんの本が今もう一冊手元にあるけど(『見知らぬ人へ、おめでとう』というもの)、これを読み終わったら新人賞受賞作の『風化する女』を読んでみたい。

  • サーと読んでしまった。沖縄の一つの島が舞台のお話。前にも読んだ様な気がする展開。沖縄の風土が似た様な作品に感じさせるのかな

  • 読みやすいけど、終わりもなんか、あ、これで終わりなんだという感じだった。

  • 竹富島を舞台とした(T島としか出てこないけど)恋愛?小説。家を出て行った父親が経営している民宿に大学に入学前の春休みにやってきた主人公、その宿でであったゲイ(なんとこの人に恋?してしまう)、今まで恋人のいたことのない一人旅の女性、父親、父親の恋人、その恋人を追いかけてきた男などが織りなす島の暮らしとそれぞれの「恋」。沖縄のあの独特の解放感というか不思議感、むなしさが小説を読んでいると感じられて、何もせずに島にいる旅をしたくなる。

  • 離婚した父に会うために、沖縄のT島に来た波子。

    父の経営する宿泊施設には一人旅が多く、
    オカマのトシミさん、相部屋の小百合さんと知り合い、のんびりと過ごした。

    若いころから女好きだと母から聞かされていた父の姿は
    歳を重ねたとはいえども魅力的で、実際に父と恋する女性は多かった。

    宿を手伝いにくる透くんに、父に恋する雪ちゃん、雪ちゃんを追いかけてきた景ちゃん。

    沖縄の離島という、時の流れが止まってしまったかのような異国の雰囲気を醸し出す独特の環境で過ごした
    まだ愛とも呼べる恋愛も経験していない波子の純粋で貴重な時間。

    沖縄いいよねー。特に離島ってところが。

    居場所探しとか自分探しとか言ってる人ってビミョウな人だよねw

    あえてそうしているのかもしれないけれど
    漢字にすればいいのにひらがなで書かれている言葉、「ぜったい」「すなお」とかがやたらと多くて気になった)^o^(

  • 夏休みに過した島の話。
    その島には家を出て行った父がいて、初めて仲良くなったホモセクシュアルの男性が居て、色々な問題をかかえている女性が居る。
    普通だったら少し重く感じてしまうその場が、島の非日常に包まれて軽やかに描かれいる。
    T島へ行った事のある人なら、あの空気感を思い出さずにはいられないだろう。

  • タイトルに惹かれました。
    最近島に泊まったから。

    沖縄の島が舞台です。
    高校生の波子が、モテる父が経営する宿に春休みに遊びにいくって話。

    一人でいくから友達ができる。
    旅と観光は違う。
    トシミさんは完全に楽しんごのイメージ。笑

    旅で出会った人たちはそのときだけ、仲良くなって、いい雰囲気だったていうセリフがすごくわかります。
    そんな旅、素敵だなぁと思う。

    思えば去年の私もそんな感じだった。
    トシミさんが東京にいても旅みたいなもんて言っていたけど、私にとって今ここにいることはもしかしたら旅みたいなものなのかもしれない。

    そう思うとちょっと気が楽になって、もっと楽しく毎日を生きようと思いました。

  • 沖縄が舞台なのに涼やかな物語でした。
    さらっと読めてしまいました。

  • 2010/12/9読了。
    「居場所っていうのは、けっきょく、外側じゃなくて、心の内側にしか存在しないものなんじゃないかな。究極の居場所は、なんなのかっていうと、きざな言い方をしちゃうと、孤独なのよ」

  • 島の時間の緩さや情景が上手に描かれているのに、登場人物や相関図に関してはイマイチ。

    日常の表面をサラっとなでて書いただけのような。

    ライトの読むにはいいのかも。

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著者プロフィール

1976年生まれ。2006年、『風化する女』で第102回文學界新人賞を受賞しデビュー。2022年、『あなたに安全な人』で第32回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。他の著書に、『月食の日』『夜の隅のアトリエ』『まっぷたつの先生』『雪子さんの足音』などがある。


「2023年 『夜のだれかの岸辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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