秋の牢獄

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738057

感想・レビュー・書評

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  • 2020.10.27

    何度も同じ11月7日を繰り返すというなんとも面白そうなあらすじに惹かれ、読んでみた。
    最近ハマっている恒川光太郎さん、今回も期待を裏切らないブラックファンタジー。

    表題作『秋の牢獄』は、北風伯爵がよくわからなかったけど、それはファンタジーなのでフワッと終わってもまあいいかという感じ。
    永遠に同じ日を繰り返す中で仲間ができたなら私も1日で行ける全ての場所に旅行に行きたい!と思った。

    『神家没落』
    本当によくこんなストーリーを思いつくなあと読むたびに毎回思う。
    突然家に囚われて神?になったしまった主人公。ちょっとミステリ寄り?殺すとか殺人とかグロいワードが出てくると嬉しい。
    生かさず殺さず家に繋いでおけば家から自由にでられる…なるほど。

  • 彼らはそれぞれ、牢獄に似た何かに囚われてしまった。それは、ある一日だったり、奇妙な家だったり、狂信者たちだったり。文章は美しいがそこはかとなく漂う不気味な雰囲気。そして切なさ。まさに色づく秋の美しさと切なさが混ざったようだった。一番最初の話は、こんな目に自分があったら嫌だなぁとも思ったが主人公が得られたものも多く、過程としては良かったのかなとも思えた。それぞれが、道を決めて行ってしまうシーンは悲しくて胸が締め付けられた。あとに続く二話は幽霊などの恐ろしさではなく、人間の恐ろしさが際立っていた。

  • そこまで怖くないな、と思いながら読んでいたけれど、自分がその状況にあったら絶望的かも…と思った途端に急に不安で孤独で怖くなった。
    短編3作品どれもそんな感じで、派手ではないけれど好きな雰囲気のホラー。
    また読み返したい。

  • 11月7日を何回も繰り返すリプレイヤー。ひとり、ふたりといなくなるのは北風伯爵のせいなのか?ホラー要素のあるループものでした。「いろいろあったが悪い一日ではなかった」という締めくくりが好きです。他の短編、「神家没落」は面白かったです。「幻は夜に成長する」は印象が薄いです。

  • 世界の30%ほど暗くなる
    北風伯爵の登場だ

    3度目
    しかし ほとんど ストーリーを覚えていなかった
    ストーリーなのではない

    世界のイメージが 
    醍醐味なので...ある

    時に 大時代的
    時に 今風 カジュアル
    変幻自在の文体も 妙なリアルさに一役買っている!

  • なんらかの形・状況で閉じ込められた人をテーマにした3篇の中編を収録した1冊。

    最初に配されている表題作が良かった。何度も何度も同じ11月7日を過ごす主人公、しかし11月7を過ごすのは主人公だけではなかった…。11月7日の描写がすごくいいねんなぁ。閉塞感がありつつも美しく、繰り返す同じ日々に苦しみつつも何とかやり過ごし、来る11月8日を待望する主人公たち。

    考えてみたら、俺たちの現実も閉じ込められた世界である(2020年4月19日現在)
    外に出るな、人とは会うな近寄るな、密閉空間にいるな…。
    仕方のない事とはいえ、かなり奇妙な閉じ込め方をされている。さてこの現実に、俺はどう対処していこうか?

    この小説の登場人物たちのように、少し乾いた態度で、葛藤しつつできることをやりながら、脱出を図ること。何よりもパニックを避けることだろうなぁ。

  • 収録されている3つの短編は、いずれも、何かに囚われている点が、共通しています。「夜市」に比べて、人間の闇の部分の描写が多いため、現実的な怖さを感じました。

    表題作は、11月7日を繰り返し続け、「神家没落」は、誰かと入れ替わらないと、家の敷地内から出られず、「幻は夜に成長する」は、人智を超えた能力に囚われています。

    最初の2作品は、囚われた状況の中、どうやって抜け出すかを考えていたのが、考え方次第で、この状況を、いかに楽しむかに変わっていき、どんな時でも、発想を転換させること、気の持ち方を変えることの大切さを、ふと覚えたりしました。今の、世の中が色々あるので。
    それでも、最後は、予想だにしなかった終わり方になり、物語の内容が良いですね。

    また、特に、印象に残った話が、「幻は夜に成長する」です。
    その能力ゆえに、周りとの確執が起こるのは、よくある話だと思うのですが、大人や子供、いろんな人間の闇の部分が描かれている怖さに加え、正確に表現しないゆえの怖さがあり、主人公自身も最後には・・結末がいちばん怖かったのですが、主人公自身に、嫌なイメージは湧かず、むしろ、恐れられている能力が描く美意識にすごく牽かれたし、最後に至るまでの、何とも言えない孤独感がすごく切なかったです。

    美しいといえば、タイトルも、洒落てて、好きです。

  • 生活の中にあることばにするのが難しい薄ら寒さ、怖さ、が小説に。ふむ。おもしろい。

  • 叙情的な、怖くないホラー。
    『夜市』の恒川光太郎の三冊目。

    『夜市』を読んだとき「(古い文化と現代を組み合わせる感じの)好きなタイプのホラーを書く人が出てきた!」ととても嬉しかった。

    今回の短編集は「ある場所にとらわれた」人の話がテーマ。同じ一日にとらわれてなんども繰り返す話、日本全国を移動する不思議な家、不思議な力を持つ少女の話。

  • ホラー文庫に出てたので。
    何だろう、少し切なく綺麗な文体を楽しみたい人は、恒川光太郎がオススメ!
    自然の表現が美しいです。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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