秋の牢獄

著者 :
  • 角川書店
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感想 : 241
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738057

感想・レビュー・書評

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  • 掌編?短編小説かな。
    おもしろいけど物足りない。

  • 文章がさらさらと頭の中に流れてくるようで、とても読みやすかった。なんというか映像化のしやすい文体?特に屋上から見渡したひまわりの描写が色鮮やかで素晴らしかった。

    どの話も日常から一歩踏み外した非日常という感じの不思議な世界。細かく明かさないところがまた読者の想像力をくすぐられて良い。

  • 3篇全てを読み終わってみると、良いタイトルだなと感じる。
    繰り返す11月7日のお話「秋の牢獄」、家守として神の家に囚われてしまうお話「神家没落」、幻術の遣い手が幻に溺れてゆくお話「幻は夜に成長する」と、いずれも囚われ人をテーマにして、メランコリー溢れる情感がさらりと描かれていた。
    「異界と通過儀礼」と考えると、古典的な題材といえるかもしれない。
    帯の惹句には「透明感あふれる文体」とあって、どんなものなのかと思ったけれど、成程すっきりとそぎ落とされたシンプルな文章は読みやすくもあり、やや物足りなくもあり。

  • 日常の延長線上の様な不思議な世界。時間という概念から切り離された孤独の体験記。

  • 日常から非日常の特殊な状況に囚われてしまった人々を描いた3編の短編集。
    恒川氏の発想の豊かさにはただただ感服します。

    同じ日を繰り返す表題作。
    家守となってしまう「神家没落」。
    霊狐の力を得た「幻は夜に~」。
    囚われ人の心情が、非日常の出来事なのに何故か心にすっと染み込んでくるのは、恒川氏の筆力でしょうか。
    自分だったらどうだろうかなんて考えながら読んでしまいました。
    どのお話も物悲しさを纏いつつ静かな終わりを迎える。
    結末を読み手に委ねるような余白を残すところも大層好みです。
    リプレイヤーのお話というと、北村薫『ターン』やグリムウッドの『リプレイ』等が浮かびますが、しっかりと恒川色が出ていて良かったです。
    3編の中では「神家没落」が特に良かったです。

  • 終わらない秋の一日を繰り返す表題作「秋の牢獄」も
    面白かったけれど、「神家没落」が個人的には一番恒川光太郎さんらしさが出ていて好きです。ラストが特に。

    不思議で不気味で起こり得るわけがない、でもどこか私が暮らす日常のどこかに隠れていそうな世界。少しわき道にそれればたどりついてしまいそうな世界。そんな世界観を持つ恒川さんの短編集。どの話も面白いと同時にどこか薄ら寒いような怖い印もを持ちました。

  • ホラーと言っていいのか迷うほど、
    とても幻想的で面白い三作の短編集だった。


    【秋の牢獄】
    大学生の藍はある日突然に、11月7日の日常を繰り返すようになる。朝目が覚めると、また同じ日付で同じことがおこるのだ。閉じ込められた日々を過ごすうちに、互いをリプレイヤーと呼ぶ同じ境遇の仲間に出会えたが…。

    【神家没落】
    帰宅途中、近道をしようと公園の脇道を通ったら、見知らぬ古い民家があった。主人公はそこで暮らす老人と入れ代わり、閉ざされた家屋敷で暮らすことになった。

    【幻は夜に成長する】
    小学生の時に、祖母と名乗る老婆から修業をうけ、神のような幻覚の脳力を身につけた主人公リオ。成長すると、男たちに拉致監禁され、洗脳と薬によってある教団の教祖にまつりあげられた…。


    三作の共通点は、閉じ込められた日々だ。
    拘束され時間の流れない不思議で幻想的な世界を
    ヒヤリとした恐ろしさを交えて現し、
    その中でももがきながらも自分自身を見つめながら、
    生きていく人々を美しい文章で描いた面白い作品だった。

    恒川さんは、普通の日常生活の裏側の闇の世界を
    上手く書ける作家だなと感心した。

  • 2012年11月7日

    装画/ミヤタジロウ
    装丁/片岡忠彦

  • 『夜市』を数年前友人に勧められて読みました。この作品も同様の中編集です。2作共通の印象としては、ホラー風味の和風SFで、何というか、小説なんですが、喩えて言うなら、漫画でいうところの「主線が太い」というか、Gペンで迷いなく世界観を描ききっている感じで、それが何ともいえない味わいになっているなぁ…と思います。それが作品の長さに対してもちょうどよいと思う一方で、この世界をがっつり長編で味わってみたいなぁ、とも思いました。

  • なんとも言えない怖さ。
    決して派手ではないけれど、じわじわと追い込んでいく。日本的な恐怖を感じた。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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