秋の牢獄

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738057

感想・レビュー・書評

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  • 2011.8.14

  • ■十一月七日、水曜日。女子大生の藍は、秋のその一日を何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。朝になればすべてがリセットされ、再び十一月七日が始まる。彼女は何のために十一月七日を繰り返しているのか。この繰り返しの日々に終わりは訪れるのだろうか―。まるで童話のようなモチーフと、透明感あふれる文体。心地良さに導かれて読み進んでいくにつれて、思いもかけない物語の激流に巻き込まれる―。数千ページを費やした書物にも引けを取らない、物語る力の凄まじさ。圧倒的な多幸感と究極の絶望とを同時に描き出す、新鋭・恒川光太郎の珠玉の作品集。

    ■■不思議。ただその一言。決して多くの言葉で文章や物語を飾り付けているわけじゃないのに、とても綺麗な言葉たち。綺麗だけれど物悲しくて、綺麗だけど恐ろしい、そんな作品です。

  • 恒川光太郎3冊目。
    それなり。

  • 同じ日を何度もリプレイしてしまう事態に陥った大学生の藍。
    毎日同じ日々を繰り返すうちに、自分と同じような人々
    「リプレイヤー」たちと出会い、共に過ごすようになる。
    そこで彼女は、リプレイヤーたちだけが見える
    「北風伯爵」という存在を知ることになる…
    という一遍含め、3篇が入った一冊。

    この方の作品は初めて読みます。
    ファンタジックなものを想像していたのですが、
    ごく普通の日常がある日、ふいに歪んで非日常が起こる…
    そんな「すこしふしぎ」の類。

    歪み方はスッとしているのですが、
    展開そのものは非常に幻想。
    表題作の中でキーとなる「北風伯爵」が
    作品そのものの印象と被ります。

    白くて寒い、儚そう不確か、
    どこか幽玄な美しさを持ちつつも
    怖い、そんなイメージ。
    文体自体や幻想的な展開は細くて綺麗、
    だけどどこか冷たい怖さが見える作品です。

    「背筋がカチカチ凍る」露骨な怖さで無く、
    狂気的な面がふいに姿を見せてすーっと背筋を
    冷たいものが過ぎていく感じ…。

    リプレイヤーの中の一人が繰り返しの日々を過ごす中で
    妻の不倫を知り、妻を何度もリプレイ中に殺してしまう、
    それが情念渦巻く出エピソードなのに決してドロドロしさを
    感じさせず、どこか薄ら寒い狂気をを感じます。

    「幻想は夜に成長する」なんてあらすじだけ追うと
    恨み辛みを色濃く出しそうなのにその枠組みを曖昧に描くせいで
    現実離れしていてほのかにゆらゆらする不思議さ。

    孤独で切なくなる素敵な一冊です。

  • 「夜市」「草祭」と読んだ後の3作目。

    3作の中では、
    これまでで一番ダークな色合いを帯びた作品だと感じました。
    わたしの好きな、幻想的で広がりをもったイメージの
    恒川作品とはちょっと異なる雰囲気。

    人間の暗く汚い部分がたくさん出てくるので
    読後感はあまりすっきりしません。
    それでもこの作者の圧倒的な想像力の世界を眺めるのは
    怖いけれども見てみたい。
    そんな気持ちにさせる一冊でした。

    他の作品も是非読んでみたいと思います。

  • 女子大生の主人公は11月7日を繰り返す。
    一日が終わっても、朝起きるとまたはじまる「11月7日」。

    あるいは、

    一人が足を踏み入れると、別の人を誰か残さない限りでていけない神域。とか、まあ設定自体はかなりベタなものを使っている・・・わけですが、これをこの作者はどう料理するか?という。

    おもしろかったです。

    これまで読んだこの作者の作品に比べると「ホラー」テイストが強めに感じました。「神家没落」とかぞくぞくするような怖さがありました。しかもこの作者のお家芸ともいうべき「幻想的」なそれではなく人間の怖さみたいなものがその幻想世界といい感じに融合して怖さがでているというか・・・美しくも悲しい、というか。

  • 不思議で怖い本だった。
    まったく同じ日を何回も何回も繰り返し、そこから抜け出す方法は、白い何者かに連れ去られることだけ。
    しかも連れ去られること=元の生活に戻るのかどうかは分からず、主人公たちは日々の繰り返しに疲れながらも、白い何者かを恐れ続ける。
    “死”について違った側面から考えさせられる本だった。

  • なになに?
    繰り返し??
    今回無理・・・・。

  • 11月7日、水曜日。
    大学生の藍が一日を終えると、すべてはリセットされ11月7日がやって来る。進まない講義、同じ行動を繰り返す友人。この繰り返しに終わりはあるのか。


    延々と繰り返しやって来る同じ一日。
    このモチーフを含んだ物語は他に少なくない。
    ある物語では、対象を危機から救うことで。
    ある物語では、正しい行動を起こすことで主人公は前に進んでいく。

    同様に、この物語では主人公の藍と、同じ境遇の仲間たち(リプレイヤー)は北風伯爵なる白い異物が11月8日へ連れていくとされている。
    目的もなく、ある日突然リプレイという牢獄へ取り残された彼らがすべきことは、ただその時を待つのみ。
    学校、職場を放棄し、一日限りの旅行や道楽に興ずる幾つもの同じ日。
    大勢いたリプレイヤーたちは日ごと北風伯爵に連れ去られていく。

    北風伯爵は善か悪か。
    繰り返される同じ一日は天国か地獄か。

    目に見える使命がないだけに、深く深く考え込んでしまう。
    どんなに遠くへ出掛けて行っても、一日経てばリセットされてベッドへ戻る。
    欲しいものをいくら買い揃えても同じだ。
    積み重ねることの出来ない日々。手応えのない経験のみが残る日々。
    やがて一日で出来ることの限界が見え、一日という檻に閉じ込められる。
    やはり地獄かもしれない。

    本書、他の短編に「神家没落」「幻は夜に成長する」の2篇を収めているが、
    どれも“閉じ込められる”物語になっていて、ひとつひとつが傑作。


    恒川光太郎 その他の著書

    ・草祭
    ・雷の季節の終わりに
    ・夜市

  • 借本。
    3作品収録とは知らずに読んだので、表題作がサクッと終わってしまい物足りなさを感じました。
    でも、その後の2作品が、感じた物足りなさをなくしてしまう程イイ!
    ちとおすすめな一冊です。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2019年 『白昼夢の森の少女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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秋の牢獄 (角川ホラー文庫) Kindle版 秋の牢獄 (角川ホラー文庫) 恒川光太郎

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